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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

李甦平 『朱之瑜評伝』

2013年11月02日 | 伝記
 朱之瑜は朱舜水の本名(諱)。
 おおむねのところ、朱は正統的な儒教(朱子学)の徒であるという評価である。
 では朱の偉い所以は何か。この書の言うところは以下の四点である。

 1. 空疎な観念を持てあそぶのではなく実学を目指した。
 2. 日本の思想史、特に水戸学に影響を与えた。
 3. 董仲舒を評価し、今文学・公羊学を重視した。彼は常州学派の“開源者”である。
 4. 明に忠誠を尽くし清に抵抗した(漢)民族の志士である。
 
(南京大学出版社 2009年6月)

山本ひろ子 『中世神話』

2013年11月02日 | 日本史
 もちろん中世神話は、いわゆる起源神話と同じ位相に位置しているわけではない。中世に作成された、おびただしい注釈書・神道書・寺社縁起・本地物語などに含まれる、宇宙の創世や神々の物語・言説を、「中世神話」と呼ぶまでのことである。 (「序章 中世神話への招待」 4頁)

 〔本書は〕難解で混沌とした中世の神道書を、中世神話として読もうとする試みといえるだろう。 (同上 9頁)

 儒教経典における注釈(注・疏)の読解にも応用できないか。「前漢代経典(今文学)」「後漢代経典(古文学)」「魏晋南北朝唐代経典(玄学また訓詁学)」「宋代経典(朱子学)」「明代経典(陽明学)」「清代経典(考証学また今文学)」等々。
 
(岩波書店 1998年12月)