書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

チャールズ・マックファーレン著 渡辺惣樹訳 『日本 1852 ペリー遠征計画の基礎資料』

2010年11月15日 | 日本史
 日本人はまさに最高に洗練されたタタール人である(super-refined Tatars)。 (「第十一章 言語、文学、音楽、芸術」 本書293頁。本章最終章および本書全体の結語)
 
 当たりー!

(草思社 2010年10月)

「‘The Merchant of Venice’: Love and Dirty, Sexy Ducats」 から

2010年11月15日 | 抜き書き
▲「The New York Times」November 13, 2010, 'Theater Review', by BEN BRANTLEY. (部分)
 〈http://theater.nytimes.com/2010/11/14/theater/reviews/14merchant.html

 アル・パチーノのシャイロック。映画でも観た(マイケル・ラドフォード監督『ヴェニスの商人』、2004年)。今度は劇場で(ダニエル・サリヴァン演出)。
 ほぼ激賞。

  Giving what promise to be the performances of this season, Lily Rabe, as Portia the heiress, and Al Pacino, as Shylock the usurer, invest the much-parsed trial scene of this fascinating, irksome work with a passion and an anger that purge it of preconceptions. You may find yourself trembling, as one often does when something scary and baffling starts to make sense. At the same time you’re likely to have trouble figuring out exactly where your sympathies lie. For at this moment everybody hurts.

「横田めぐみさんの拉致から33年」 から

2010年11月15日 | 抜き書き
▲「時事ドットコム」「今日の注目予定 11/15」(全)
 〈http://www.jiji.com/jc/calendar?top_no=2

 横田めぐみさん=失跡当時(13)=が北朝鮮に拉致されてから、15日で33年となる。


 山際澄夫『拉致の海流』(恒文社21、2002年12月)は何度読み返してもいい本だ。同氏の人格攻撃をして氏の著作や言論を相殺できている気になっている(つまり北朝鮮とその日本における自分も含めた支持者たちの擁護に成功しているつもりの)アホは、尖閣諸島に島流しにでもすればいいのである。それか、お前たちが拉致されてみるか?

上田文世 『笑わせて笑わせて桂枝雀』

2010年11月15日 | 伝記
 たぶん、現状まとまった形としては枝雀さんの唯一の伝記ではないか。もっとも枝雀さんの師匠の米朝さん(この本に序文を寄せている)にしても、『桂米朝 私の履歴書』きりないが。

 今でも面白く演じているのに、なぜ「もっともっと」なのか。その問いに枝雀はこう答えた。
「私はいつもおかしくありたいんです。今までのしゃべり口で笑わせてますが、それからさらに一歩前へ出たい。自分の中にある別の自分が『おじさん、もうちょっとや。ポンとはじけるところまで来ていますよ』と一年ほど前からから言うてくれてるんです。あと少しで抜けられそうな気になっているんです」
 (「『萬事気嫌よく』のはずが・・・」、本書150頁。1996年12月12日「枝雀独演会」開演前のインタビュー)

 この人にも“もう一人の自分”がいたんだな。私の“もう一人の自分”は、二十歳を少し過ぎるあたりから、声が聞こえなくなった。私本体に融合してしまったのか、あるいは寝ているのか。寝ているのなら、そろそろまた起きてくれないかと思う今日この頃である。十代のころの“もう一人の自分”は、何かに集中しているこちらに横から茶々を入れて邪魔をしてくるヤツとしか思えなかったが、しかしあれだけ別人格なら、いまなら話してさぞ面白かろう。

(淡交社 2003年5月)