くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ぶちええね! 広島県民」白鳥キヨコ

2019-01-08 05:55:17 | コミック
 広島空港行きのリムジンバス出発前に蔦屋家電で買いました。駅前に本屋が結構あって嬉しいわー。
 白鳥キヨコ「ぶちええね! 広島県民」(KADOKAWA)。「ぶち」は「すごく」を表す広島弁。このまんがでは、広島弁に関する話題もたくさんありました。
 出発ロビーで読んでいたので、「これ知らない!」「行けば良かった」というスポットも多々ありましたが、二泊三日の広島滞在を振り返るのに最適です。
 広島、宮島、呉に行きましたが、尾道や福山にも行ってみたいなあ。
 で、方言の話題を蒸し返しますが、広島の一人称は男性「わし」、女性が「うち」だそうです。
 キヨコさんは、男性が「ぼく」「オレ」というのを聞くとむずがゆくなるといいます。
 そうかぁ、広島の男性は「わし」というのかぁ。それはやっぱり小中学生も「わし」なんだよな……。
 頭の中に知っている広島出身の人が去来します。主にバレーボール選手。あの人やこの人や……。
 そして、地元でインターハイが開催されたとき、ギャラリーにいたら広島代表校の応援の方々が次々と現れ、わたしにまでしゃもじを渡してくれて一緒に応援したことを思い出しました。

 キヨコさんのお好み焼き愛。そして、友人への付き合いのよさ。さらに弥山などの高地でもアクティブな様子が素敵です。
 こういうご当地本、もっと読みたいな。

「この世界の片隅に」こうの史代

2019-01-07 05:50:18 | コミック
 広島に行く事前学習として読んでみました。こうの史代「この世界の片隅に」。
 戦時中の広島、といえば、原爆のイメージがあったのですが、舞台は呉。
 幼い頃のきっかけから呉に嫁ぐことになったすず。夫の周作と、ある女性との関わりが気になったり、初恋の人が訪ねてきたときの対応に苛立ったり。
 義理の姉の人生に、辛さを感じました。
 夫を亡くして戻ってきて、空襲、さらにむごい運命が……。
 戦時下の文化や、呉という町の船の様子などがいろいろと伝わってきました。
 りんどうの花の茶碗とか、タイトルとか、印象深いシーンがたくさんあります。
 つい先日、どなたかが、この本を中学生に読んでほしいと書かれていたのですが、誰か思い出せない。誰だったかな? (杏さんかも……)

 旅行の計画を立てたときには、市内(原爆ドーム周辺)と宮島はすんなり決まったのですが、もう一日をどうするかはっきりしなくて。
 で、呉で海軍カレーを食べることにしたのです。

 まず市民ギャラリーへ松本零士の展示を見に行くことに。そこには「この世界の片隅に」のイラストなどもありました。
 「ヤマト」のストーリーを説明したボードがあって、イスガンダルには放射能除去装置を取りに行ったのだとやっと理解。裏番組を見ていたので、機械の体を手入れるのは「999」だし、どうしてだっけと思っていました。
 
 その後、戦艦大和ミュージアムを訪れましたが、わたし自身はこういったものには全く興味ないのです。
 でも、子規が呉で詠んだ歌なども紹介されていたり、子ども向けの科学コーナーがあったりして楽しめました。
 海軍カレー、辛いのに甘い! おいしかったです。

「杏の気分ほろほろ」

2019-01-06 05:57:42 | エッセイ・ルポルタージュ

 宮島のフェリーを降りてすぐに清盛の像がありました。平家納経ですよねー。島全体が源氏よりは平家を応援しているような。「平家にあらずんば人にあらず」と書いたTシャツ欲しかったけど、自問自答した結果買いませんでした……。
 厳島神社はちょうど満潮で海の青に鳥居が映えていい感じです。(帰りは干潮のため、近くまで歩いて行けました)
 宮島の水族館に行ってアシカショーや展示を見、その後お昼はせっかくだから穴子めしを食べることにしましたが、一時間半待ち! でも、非常に美味しい。付け合わせのしば漬けと青菜漬けの刻んだのがまた美味しい。

 待つ間に「杏の気分ほろほろ」(朝日文庫)を読み終わってしまった!
 昨日本屋で買ったばかりですが、市電で読みはじめてふじたやさんの裏の待ち合いベンチで読み終わったわけです。
 わたし、一冊目の「杏のふむふむ」も持っているのですが、こっちは少しずつしか読んでない。その前に二冊目を……。
 だって、すごくおもしろかったんですもん。
 当時「ごちそうさん」に始まって「花咲舞が黙ってない」「デート」と話題作が続き、プライベートでもご結婚。今は三人のお子さんに恵まれて……。と、ついこの前のことのようなのに、着実に月日は過ぎているんだと感じました。
 市電の中にも関わらず、おばあさんとおじいさんのエピソードは泣いてしまったじゃないですか。
 結婚式あげるから、曾孫を抱くまではなどと励ます様子にじわり、と。
 わたしはエッセイ本編以上に、その後のエピソードのあれこれが心に残りました。
 なんというかねー、杏さんは家族や友達を大切にしてるなー、と感じて。
 特に旦那さんの東出昌大さんについて、ふとした表現に柔らかい気持ちになってしまいます。
 共演が決まってすぐに二人で呼び出されて、セットとの釣り合いを検討されたり、長身だから衣装も倍かかったり(白無垢も新しく作ってもらったそうです)、大阪での撮影の合間に釣りに行ったり。
 中でも好きなのが、司馬遼太郎シンポジウムに出席が決まった東出さんが出席を本当に楽しみにしている様子。
 いつもの彼を「夏休みの少年のような二十代男子」と評し、当日の堂々とした姿と比較するのが、うまい、としか言い様がない。状況が目に浮かぶのですよね。お二人のやりとりの温かさが、読んでいて伝わってきます。
 東出さん、司馬作品をたくさん読み込んでらっしゃるとのこと。わたしも、雑誌のインタビューで三島作品について語るのを読んだことがあります。
 なんていうか、出会うべく人には出会えるのだなと思いました。

 その後ロープウェイに乗りましたが、その先二十分歩く気持ちにはなれなくて、展望台だけ見て戻りました。
 夜は讃岐うどん。帰りにまた本屋さんに寄りまして数冊買いました。カード忘れて残念……と思ってたら、別な財布に入ってたよ! わたしのばかばかー。

広島平和記念館に行く

2019-01-05 05:22:08 | 〈企画〉
 広島に来ております。
 原爆ドームを見に行きたいとずっと思っていたので、やっと念願叶いました。
 大体お昼ごろ着いたので、まずお好み焼きを食べました。
 で、折り鶴タワーに移動。息子は鶴に初挑戦。鶴を作ってガラスの下に落としてきました。展望台に昇る前に新春くじ引きで一等だったため、わたしの入場は無料でした。ラッキーです。
 原爆ドームは、その展望台からも近くからも見ました。爆風で梁が飛んでいたり地面までむき出しになっていたりする様子が、何度も写真で見てはいるのに、目の前に迫る感じです。
 平和記念館は現在本館が改装していて、東館のみ公開されています。今まで原爆の写真はかなり見てきているのです。見覚えのあるものもありました。
 中でも、一部溶けたビー玉数個。
 炸裂後、息子が亡くなったと思ったお母さんが形見にと掘り出した物です。
 しかし、息子はやけどを負いながらも帰ってきた。形見にと考えた自分を恥じた……。
 息子はやはり亡くなってしまうのですが、そういう思い、気持ちに残ります。
 爆風に破れたワンピース、時間が止まった時計、熱を受けてくっついてしまった瓶。そういう現物が、ありありと「その日」を伝えてくれました。

 広島に来たら、行ってみたい場所がありました。広島二中の慰霊碑です。
 わたしが中学生のころには既に教科書に取り上げられている「いしぶみ」という作品。
 授業で、グループによる朗読会を行います。
 今年は授業参観で見てもらったのですが、あるお母さんからは涙ぼろぼろだったと言われました。
 路面電車に乗ると、己斐だの江波だの舟入だの、作品にある地名が目につきます。
 本川端の川土手にある慰霊碑を、一目見たいと思いました。
 平和公園からわずかに離れた場所にあります。すぐ傍らにはほうきやら掃除用具が。
 ここばかりではなく、地域の方がモニュメントや象徴になるものを保とうとされていることがわかります。戦争の傷あとは、伝え続けるべきだと思いました。
 今回、外国の方もたくさんいらしていて、特にドームの前の説明を熱心に読まれていたことが印象的です。

 近くにある子ども科学館でプラネタリウムを見てきました。ボタニカルアートの展示があって、細密な絵が好きな自分に改めて気づいたり。
 夜は駅ビルでTボーンステーキを食べましたよー。

「ドアを開けたら」大崎梢

2019-01-04 05:38:43 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 発売後、図書館でなかなか見つからず、探し求めていましたが、やっと借りることができました。年末年始冬ごもり用です(笑)。
 大崎梢「ドアを開けたら」(祥伝社)。
 逗子と横浜に隣接する市の中古マンション「エクセルヴィラさくら公園」の511号室に住む鶴川は、借りていた雑誌を返そうと502号室の串本を訪ねます。
 明かりはついているのに、声をかけても返事がなく、ドアは鍵がかかっていない。旧知の気安さから部屋を覗いたら、串本が部屋で亡くなっていました。
 とある事情から通報をためらった鶴川のもとに、部屋に入る様子を動画に撮ったという高校生が現れます。そして、部屋に落としてきた手帳を拾ってきてほしいというのでした。
 翌日、良心の呵責に耐えかねた鶴川は、今度こそ通報しようとしますが、部屋から遺体が消えています。
 なぜ串本は亡くなったのか。遺体はどこに行ったのか。
 鶴川は、この高校生紘人と串本のことを調べはじめます。
 近隣で発生した女児の行方不明事件や、宗教活動サークル、串本を不審者と断じる母親たち。
 これまで信じてきた人が、考えられない行動を取ったり他の人から悪評を知らされたりする。かなり衝撃だと思います。
 大崎さんはかなりきつい状況に持ち込むストーリー展開が多いですが、最終的なラストはいつもやさしいと思うのです。今回も紘人の立ち直りにホッとさせられました。

「猟奇犯罪捜査班藤堂比奈子」

2019-01-03 06:27:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 年末年始に読むような本じゃない気もしますが、内藤了「猟奇犯罪捜査班藤堂比奈子」(角川ホラー文庫)シリーズを二冊読みました。 
 「ON」。波瑠さん主演ドラマ放映されていましたね。夫が録画していたので、ちらちら目にしていました。内容はよく覚えていないのですが、波瑠さんが唐辛子の缶を持っていたのは印象に残っています。
 読んでみたらかなり胸くそ悪い描写で、借りたのを後悔したのですが……。
 
 新人刑事として八王子西署に配属された藤堂比奈子は、宅配便配送車が乗り捨てられているという話を交通課の仁美から聞きます。
 やがて、運転手が自宅で奇妙な死をとげていることが発覚。凄惨な状況でありながら、自死としか考えられないのは、現場を自撮りした映像があったから。
 東大の検殺医石上(通称「死神女史」)、八王子西署の厚田、東海林、鑑識官三木らとともに事件を追うなか、心療内科の先生だという中島(通称「野比先生」)と親しくなります。
 度重なる奇妙な自死事件。それは、かつて自分が起こした殺人をなぞるようなものだった。
 そんななかで、仁美の死体が見つかり……。

 内容が猟奇的なので、本来ならわたしの守備範囲ではないのですが。
 脳へのなんらかのアプローチで死を引き起こすというモチーフ、とても気になって。
 さらに、一冊読み終わったら、結局比奈子と中島がどうなるのかを知りたくて、「CUT」を読みました。
 
 解体工事の現場から見つかった変死体。五人の女性は華やかなドレスを着せられ体の一部を持ち去られていました。
 今川焼「太鼓焼き」の店に集まる子どもたち、比奈子にストーカーへの不安を相談した佐和、近くで繰り返される行方不明の女たち。
 今川焼、各地で違う呼び方だという話題もありました。長野では「どりこの焼き」、新潟では「きんつば」、青森は「がめこもぢ」、東北では「あじまん」と紹介されています。
 「あじまん」って、店の名前だと思っていたのですが。(わたしは「お焼き」とか「大判焼き」といいます)
 ただ、後半でツヤが天童出身だという描写があるので、山形ではそういうのかも。
 この二冊でちょっと気になったのは、山形の扱いなんですけど……。
 「ON」では、山形出身の犯人が叔母を殺害した動機が、「豚肉味噌味の芋煮を食べさせようとしたから」!
 
 図書館から二冊しか借りてきませんでしたが、もうちょっと読んでみようかと。
 ただ、波瑠さんつながりで鈴木京香さんとのドラマの原作も読みたいんですよね。今図書館休みなんで、借りに行けませんが。

「かがみの孤城」辻村深月

2019-01-02 06:22:19 | 文芸・エンターテイメント
 今年の一冊目は、辻村深月「かがみの孤城」(ポプラ社)。
 泣きました……。
 息子の学校の司書さんが、本屋大賞作品で最も好きだと書いてらして、ずっと読みたいと思っていました。学校には入れてあったのですが、何しろ分厚い。
 辻村さんの作品を読むのは結構パワーが必要なこともあり、ちょっと敬遠してはいました。
 でも、この冬は読んでみようと。
 結果、当たりでした。もう、大大吉です! ラストを泣きながら読みました。
 
 同級生とのトラブルから登校しなくなったこころは、家の鏡から異世界に行けるようになります。
 ドレス姿でオオカミの仮面をかぶった女の子が、七人の中学生を集めて、願いが叶う鍵を探すように言うのでした。
 女子はこころの他にアキとフウカ、男子はスバル、マサムネ、ウレシノ、リオン。お互いが、おそらく学校に行っていないと思われます。
 5月に出会ってから3月のタイムリミットまでに、絆を深めていく彼ら。
 少しずつお互いのことがわかってきたとき、アキが着ていた制服から、全員同じ学校だと気づくのですが……。
 
 学校へのわだかまりを抱え、自分の居場所を探し求める彼らは、ひとくくりに「不登校」とは片付けられない理由を持っています。
 自分のことをわかってほしいのに、それを伝えることも難しい。 
 こころは、最後に一人ひとりの苦しみに触れることになりますが、それぞれ同じ理由ではないし、解決の兆しがあるわけでもありません。
 願いがかなえばお城での記憶はなくなってしまうというのですが、随所にちりばめられている彼らの未来にじわっときます。
 特に「ナガヒサ・ロクレン」と、「喜多嶋先生」。
 学校の中にいると、見そびれてしまうものがやはりあるかもしれないとも思います。ずっと休んでいる生徒の顔も思い浮かびました。
 ただ、集団って段々となじんできたり、誰か一人でも支えてくれる人がいれば違うのだなと感じました。
 
 オオカミさまの正体とか、あらすじを聞いていたけどすごく楽しめました。
 しかし、真田美織のキャラクター造形がすごいですわ。友達にはなりたくないけど、生徒だったらわたしも騙されそうな気がします。

「晴れ着のゆくえ」中川なをみ

2019-01-01 06:44:01 | YA・児童書
明けましておめでとうございます

 ネットで表紙カバーを見て、これは読みたいと思いました。
 中川なをみ「晴れ着のゆくえ」(文化出版局)。
 カバーリングしてもらったのですが、紫根染めの下に茜染めの表紙が入っているようです。それが隠れて見えないのが残念……。

 祖父が染めてくれた紫色の着物。足の悪い千恵は、それを着て新年の挨拶まわりに出かけます。 
 千恵の着物を羨んだ従妹の春子は、数年後に譲り受けます。祖母が染めてくれた茜染めの襦袢とともに。そのとき千恵は、着なくなったらまた自分に戻してほしいといい、春子も承諾します。
 しかし、東京に転居した春子は、その着物をイギリス人のアネットに譲らざるを得なくなったのでした。
 その後も、着物は人々の間を転々とします。 
 オムニバスで描かれた連作です。持ち主になった誰もが着物に愛着をもち、自分の大切な人のことに思いを馳せます。
 スリランカの内戦や、戦争の悲劇、家族への思いなどが描かれ、いとおしく切ない一冊になっています。
 大晦日に、この本を読めて良かった。
 実はもう一冊、「ON 猟奇犯罪捜査班藤堂比奈子」を読みましたが、新年早々それはあんまりかなと思うのでまた今度。
 今年もよろしくお願いいたします