くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「晴れ着のゆくえ」中川なをみ

2019-01-01 06:44:01 | YA・児童書
明けましておめでとうございます

 ネットで表紙カバーを見て、これは読みたいと思いました。
 中川なをみ「晴れ着のゆくえ」(文化出版局)。
 カバーリングしてもらったのですが、紫根染めの下に茜染めの表紙が入っているようです。それが隠れて見えないのが残念……。

 祖父が染めてくれた紫色の着物。足の悪い千恵は、それを着て新年の挨拶まわりに出かけます。 
 千恵の着物を羨んだ従妹の春子は、数年後に譲り受けます。祖母が染めてくれた茜染めの襦袢とともに。そのとき千恵は、着なくなったらまた自分に戻してほしいといい、春子も承諾します。
 しかし、東京に転居した春子は、その着物をイギリス人のアネットに譲らざるを得なくなったのでした。
 その後も、着物は人々の間を転々とします。 
 オムニバスで描かれた連作です。持ち主になった誰もが着物に愛着をもち、自分の大切な人のことに思いを馳せます。
 スリランカの内戦や、戦争の悲劇、家族への思いなどが描かれ、いとおしく切ない一冊になっています。
 大晦日に、この本を読めて良かった。
 実はもう一冊、「ON 猟奇犯罪捜査班藤堂比奈子」を読みましたが、新年早々それはあんまりかなと思うのでまた今度。
 今年もよろしくお願いいたします