笹生さん、初の一般小説かな? ヤングアダルト路線ではないのですが、最初の「サドルブラウンの犬」がちょっとわたしの好みとはいえなくて、続きを読むかどうか悩みました。
もういい加減におばちゃんのわたしとしては、この略語と流行語の嵐に辟易して、意味をつかむのに時間がかかります。
「めっさ」「かっけえ」「ストファイ」……。
いちばん悩んだのはこれ。「まっつんとオレはオナショウで、タイガくんとはオナチュウで、毎朝、おなじ通学電車で高校に通う間柄」
主述があってない? と本気で考えました。電車の駅名かと思った。同じ小学校(中学校)ってことなのね。
そのくせ「総領の甚六」なんて言葉が出てくる。
わたしはなんでもかんでも言文一致にするのは賛成できないので、大分いらいらしながら読んだのですが、まあ、続きからの連作はおもしろい。(母親世代は別に当時の言葉づかいをしているわけではなく、普通の一人称です)
高校三年のある日、セイヤ(「オレ」)が帰宅したら、家の中がやけに静か。実は母親のショーコが突然死し、妹は近所のおばさんと病院に行っていたのです。父親は単身赴任中。
慌ただしい葬式の中で、母と友達だったという吉野(学級委員風)・森川(ギャグ要員風)・陣ノ内(女王様風)が、昔一緒に作ったという同人誌をくれます。中学校の卒業を記念して作ったまんが集。セイヤはなんとなくその本をめくるうちに自分の知らない母の顔を見るような気がしてくるのでした。
続き「青の女王」は小学生の陣ノ内さん、「茜色図鑑」は中学時代の吉野さん、「パステル・ストーリー」は十年前のショーコの視点で描かれています。
わたしが好きなのは、その間にある「ぼくのパーマネントイエロー」。森川さんのことを、芹沢くんが語る物語です。
芹沢くんとは?
実はこの同人誌、四人の女の子に混じって野球部の補欠キャッチャーの芹沢くんも参加していたのです。その彼から、同人誌を作る場所を提供した(担任にメンバーに入れてやってと頼まれた)平岡くんに向けての近況報告の形で書かれています。
芹沢くんと森川さんが偶然コンパで再会して……。
彼女を見る芹沢くんの目や、お兄さんのヒサシさんがいい感じなんです。
わたしも中学校の卒業記念に、友達と同人誌を出したな……と、この本を読んでいて思い出しました(笑)。高校からは文芸部員だったので、そっちの印象が強かったんですね。確かSF小説を書いた、ような気がします。
さて、最終話は「マゼンタでいこう」。吉野さんの娘ミクの視点で、セイヤたちがその後どうしているかが描かれています。
ただ、視点が変わる連作って、一人称と三人称にギャップがありません? セイヤが捉える母親の姿と、ショーコ自身の語りや、ミクが見るセイヤの姿に多少のぶれがあるように感じました。
装丁が素敵です。画は石居麻耶さん。
「空色バトン」(文藝春秋)です。
あ、ところで、吉野さんは平岡くんのことがちょっと気になっていたんではないですかね。
彼女の「楳図かずおとつげ義春を足して二で割ったみたいな絵」で描く、「生徒諸君!」や「はいからさんが通る」の要約みたいな作品については、かなり気になります(笑)
もういい加減におばちゃんのわたしとしては、この略語と流行語の嵐に辟易して、意味をつかむのに時間がかかります。
「めっさ」「かっけえ」「ストファイ」……。
いちばん悩んだのはこれ。「まっつんとオレはオナショウで、タイガくんとはオナチュウで、毎朝、おなじ通学電車で高校に通う間柄」
主述があってない? と本気で考えました。電車の駅名かと思った。同じ小学校(中学校)ってことなのね。
そのくせ「総領の甚六」なんて言葉が出てくる。
わたしはなんでもかんでも言文一致にするのは賛成できないので、大分いらいらしながら読んだのですが、まあ、続きからの連作はおもしろい。(母親世代は別に当時の言葉づかいをしているわけではなく、普通の一人称です)
高校三年のある日、セイヤ(「オレ」)が帰宅したら、家の中がやけに静か。実は母親のショーコが突然死し、妹は近所のおばさんと病院に行っていたのです。父親は単身赴任中。
慌ただしい葬式の中で、母と友達だったという吉野(学級委員風)・森川(ギャグ要員風)・陣ノ内(女王様風)が、昔一緒に作ったという同人誌をくれます。中学校の卒業を記念して作ったまんが集。セイヤはなんとなくその本をめくるうちに自分の知らない母の顔を見るような気がしてくるのでした。
続き「青の女王」は小学生の陣ノ内さん、「茜色図鑑」は中学時代の吉野さん、「パステル・ストーリー」は十年前のショーコの視点で描かれています。
わたしが好きなのは、その間にある「ぼくのパーマネントイエロー」。森川さんのことを、芹沢くんが語る物語です。
芹沢くんとは?
実はこの同人誌、四人の女の子に混じって野球部の補欠キャッチャーの芹沢くんも参加していたのです。その彼から、同人誌を作る場所を提供した(担任にメンバーに入れてやってと頼まれた)平岡くんに向けての近況報告の形で書かれています。
芹沢くんと森川さんが偶然コンパで再会して……。
彼女を見る芹沢くんの目や、お兄さんのヒサシさんがいい感じなんです。
わたしも中学校の卒業記念に、友達と同人誌を出したな……と、この本を読んでいて思い出しました(笑)。高校からは文芸部員だったので、そっちの印象が強かったんですね。確かSF小説を書いた、ような気がします。
さて、最終話は「マゼンタでいこう」。吉野さんの娘ミクの視点で、セイヤたちがその後どうしているかが描かれています。
ただ、視点が変わる連作って、一人称と三人称にギャップがありません? セイヤが捉える母親の姿と、ショーコ自身の語りや、ミクが見るセイヤの姿に多少のぶれがあるように感じました。
装丁が素敵です。画は石居麻耶さん。
「空色バトン」(文藝春秋)です。
あ、ところで、吉野さんは平岡くんのことがちょっと気になっていたんではないですかね。
彼女の「楳図かずおとつげ義春を足して二で割ったみたいな絵」で描く、「生徒諸君!」や「はいからさんが通る」の要約みたいな作品については、かなり気になります(笑)