くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「活版印刷三日月堂 星たちの栞」ほしおさなえ

2017-04-12 21:58:28 | 文芸・エンターテイメント
 ずっと前に買ったんです!
 車のトランクに入れたまま、ふと気づいたら二冊めも出ているではないですか。
 読まなきゃと思いつつ、代車になったり奥に入れていて見つからなかったりして、先日息子の体験入塾のときに探し当ててやっと読みました。
 ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 星たちの栞」(ポプラ文庫)。
 舞台は川越。店主亡き後空き家だった印刷所に、孫の弓子が帰ってきます。手キンという印刷機械で刷り上げられる、デジタルとは違う活版印刷の世界。
 誕生日にもらったレターセット。喫茶店のコースター。結婚式の招待状。
 それぞれの印刷物に思い出があり、ぬくもりとともに手渡される。
 コースターには高浜虚子の俳句が刷ってあるそうです。
「われの星燃えてをるなり星月夜」
 インパクトがありますね。この店のコーヒーを飲んでみたい。
 また、このコースターが縁で、弓子は高校の文化祭でワークショップをすることにもなります。
 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」からのフレーズをちりばめた展示にも、心ひかれます。

 わたしは文芸部だったので、自分の文章が活字になることへの強い憧れがありました、 今では簡単に字を打つことができて、印刷もスピーディーです。 
 でも、活字を拾い、レイアウトして刷り上げるのは、相当の手間ですね。
 それを惜しまない心が、あるから伝わるのだろうな、と感じました。