くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「神様の裏の顔」藤崎翔

2017-04-09 15:02:04 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 よく本屋で平積みされていて、気になっていたのです。
 人格者として知られる元教師・坪井。彼の葬儀に集まった、同僚・教え子・近所の人……。
 口々に語られる思い出は、彼に相談に乗ってもらったことや、熱心な教師だったというエピソード。娘の晴美は、そんな父親の足下にも及ばなかったと感じます。
 彼女は、地元の小学校で学級崩壊にあい、教師を辞めたのでした。
 妹の友美は、駆け出しの女優として家を飛び出し、父を見とれなかったことを悔やんでいます。
 同僚だった根岸は、息子の素行について坪井に相談しており、余りにもひどい家庭内暴力に「バイク事故で死んでしまえばいい」と口走ったことを思い浮かべます。
 間をおかず、バイク事故で息子は重体に。現場には、今では入手困難なメーカーの登山用のロープの切れ端が残っていました。
 そのロープは、坪井も持っていたはずであることを知った根岸は……。
 殺人、盗聴、ストーカー、暴力事件、次々とわきあがる疑惑。
 果たして「神様」とまでいわれた坪井の正体は?
 藤崎翔「神様の裏の顔」(角川書店)です。わたしは単行本を借りたので、ラストには横溝賞の選評も載っていました。
 候補作の中でも「優等生」との評価は、道尾秀介。
 確かに、裏の顔が暴かれていくことに、さらに展開が続くのではないかと予想していましたが、その通りでした。
 裏に隠されているのは、もうひとつの顔……というダブルミーニングなんですね。
 もうひとつ、内田先生の裏の顔も、インパクトがありました。