くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「僕の死に方」金子哲雄

2015-10-08 05:41:18 | 歴史・地理・伝記
 正直にいえば、何のきっかけもなければ、わたしはこの本、読まなかったと思います。
 話題になった本って、内容をわかったような気持ちになってしまうし、わたしは金子さんのことを知らなかったのです。流通経済についても関心はありませんでした。
 でも、読んでよかった。金子さんのことをもっと知りたいと思いました。流通の裏にある因果関係とか、人の考え方の考察とか、うなずかされることが多かったのです。
 運動部のキャプテンに選ばれるのは、実力的には五番目の選手。部員投票だとトップ選手は妬まれるから。
 お土産を持参するなら、特定の商品に決めていつもそれを買っていく。すると、その品を目にしたときに自分を連想してもらえる。
 金子さんの場合はコージーコーナーのシュークリームだったそうです。
 この本、読書感想文の原稿指導のために借りてきました。本来なら書誌データがあれば済むところですが、内容に乖離がないか確かめるわけです。
 そしたら、ぐいぐい惹かれてしまって。
 あっという間に読み終えてしまいました。改行の仕方が計算されているというか……。すごく読みやすい。エピソードも印象的です。
 奥さんの稚子さんとの馴れ初め。自分の「嫌い」なものをどう感じているのか。つまり、価値観が合うかどうかを判断するのですね。
 稚子さんに話すことによってアイデアがブラッシュアップされていくようになったということからも、お互いの存在の大きさを感じました。
 本という形で、彼の生き方は残ったのだと思います。