くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「仕事マンガ!」梅崎修

2012-05-31 21:41:47 | 哲学・人生相談
 キャリアデザインというものについて、学校でも取り組みが求められているようです。キャリアスタートウィークとか職業調べとか、総合的な学習の時間に行うんですよね。図書室で学習に利用されるコーナーとしても、「職業」は頻度が高い。
 この本は、図書館に面陳列されていたものです。ヤングアダルトが独立しているので、中学生にも親しみやすいかな、と思ったんですが、わたしの方が近い感覚でした。さもありなん、同じ年です。著書は法政大学准教授の梅崎修さん。「仕事マンガ! 52作品から学ぶキャリアデザイン」(ナカニシヤ出版)。紹介されているマンガは、「自虐の詩」とか「グッジョブ」とか「のたり松太郎」とか「三丁目の夕日」とか「へうげもの」とか「るきさん」とか……。あれれ、職業をテーマにしている部分よりも社会問題を取り上げた項目の作品が多くなっちゃったぞ。えーと、例えばユキエさんですけどね、少女期に新聞配達をしていて、配り終えると清々しい気持ちになる。しかし、配達所に帰ると追加を頼まれて愕然。先程の清々しさが一転して嫌な気分に……という場面が引いてあります。
 コマ絵が目に浮かぶんですよね。わたし、この作品がメジャーになる以前から友人たちに布教していましたから。「光文社コミックス全五巻」、持っています。文庫上下巻、持っています。映画化記念再編集版はさすがに売りましたが。(今更ですが、「自虐の詩」ですよ)
 梅崎さんは、ユキエさんの労働がイサオと比較されていることを指摘し、「彼女の幸福とは、肉体労働とつながった幸せの実感」と結論づけるのです。
 連載当時女子大生だったわたし。最終回までのカウントダウンが気になって、店頭で「宝石」立ち読みしていました……。
 さて、梅崎さんは若者たちの目から仕事についての情報が遠ざけられているように感じるといいます。職の体験はかつて日常的であったのに、今は紙上で眺めるものになっているような。もっとも実になるのはアルバイトなんでしょうけど。
 読んでみたいと思ったものを書いておきます。まずは、「ワーキングピュア」(小山田容子 講談社)、「コンシェルジュ」(いしざきひでゆき・藤栄道彦 新潮社)。「ナースあおい」(こしのりょう 講談社)といったところかな。「エンゼルバンク」も気になります。
 わたし自身、学校現場以外のところにはまるで縁がなかったのでいろいろな世界が垣間見られておもしろかった。た。ちくま新書の「マンガに教わる仕事学」も読んでみたいですね。