くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「天山の巫女ソニン」⑤ 菅野雪虫

2009-08-07 05:31:15 | ファンタジー
最終巻です。おもしろかったー。
いつもひっそり出版されるので、見つけるのがちょっと大変なのですが、地元図書館が入れてくれるので、今回も小躍りして借りてきました。しかしいつもわたししか借りていないような気が……。是非皆様に読んで戴きたい!
「天山の巫女ソニン 五 大地の翼」菅野雪虫(講談社)。例によって親切なあらすじつきなので、ここから読んてもそれなりにわかります。
そりゃ通しで読むのがいいに決まってますが、なにしろ探しにくい本なので。装丁もすごくいいのになー。ちなみにカラーは紫ですよ。
ソニンは沙維の末の王子・イウォルの侍女。もともとは天山で「夢見」をする巫女でしたが、能力が安定しないので里に返されました。
口のきけないイウォルの言葉を、ソニンは手を握ることで聞き取ることができるのです。
今回は戦に行くことになったイウォルが、ソニンに思いを伝える場面があって、これからの二人の未来に期待してしまいます。
あ、具体的な言葉というよりはもっと婉曲的なのですが。でも、ソニンには彼の言葉が読めるので問題なく伝わっているでしょう。
でも、相手の気持ちが読めてしまうのって、不幸なことではないのかな、とわたしは思うのですが。読まれてしまう方に不安はないのでしょうか。いくら恋人でも秘密にしておきたいことくらいあるのでは?
ソニンは、イウォルの言葉を聞き取れた人はこれまでもいたのではないかと想像します。でも、口がきけない人の声だとは思わず、素通りされてしまったのかも。

さて、江南、巨山、沙維の王子・王女は平和を望んでいるのですが、世情はそれを許しません。戦争の渦に巻き込まれ、クワン王子が亡命を決意する場面、火事のおきた戦場から戻ってきたイェラ王女が、焦げた髪を切ってしまう場面が印象に残っています。
ソニンは、もう「天山の巫女」ではないけれど、修行で身につけた力とこれからの学習で、さらに人々のために働けるようになるのでしょうね。敢えて今後の彼らのことを予想させつつ筆をおく菅野さんに拍手です。