魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ワニトカゲギス

2022年11月01日 23時21分52秒 | 魚紹介

2022年10月の「ヘンテコ深海魚シリーズ」もこれが最後になるでしょう。ワニトカゲギス目・ワニトカゲギス科・ワニトカゲギス属のワニトカゲギス。ワニトカゲギスは属、科はもちろんのこと、それよりも大きな分類単位である「目」の標準和名にもなっている魚なのだが、そんな魚の現物を見たのは今回が初めてである。

ワニトカゲギスの仲間の分類は日本と海外では多少異なるところがあり、ややこしい。海外ではワニトカゲギス科の中にはホテイエソ亜科、ホウキボシエソ亜科、ミツマタヤリウオ亜科、トカゲハダカ亜科、ホウライエソ亜科が含められているが、日本で多く使われている考えではこれらの亜科はすべて科となっている。この科はワニトカゲギス属のみが知られ、日本においては3種が知られており、その中でもこのワニトカゲギスはこの中でもよく知られている種といえよう。

ワニトカゲギスがホテイエソの仲間と大きく異なっているのは、ワニトカゲギスの体側には六角形の鱗状紋があるが、ホテイエソの仲間はこれを有さず、体側は一様に黒っぽいというところである。ホウライエソ科の魚にもこの鱗状紋はあるのだが、ホウライエソの仲間はワニトカゲギスとことなり、背鰭が前のほうにあること、ホウライエソにはある脂鰭がワニトカゲギスにはない点で区別することができる。鱗状紋の下方に発光器が並んでいるが、これはホウライエソにも見られる特徴である。

ワニトカゲギスの下顎にはホテイエソの仲間にもよく見られる「ひげ」がある。このひげの先端に3~4個の糸状物があるのが特徴。これによりホソワニトカゲギスと見分けることができる。ホソワニトカゲギスは下顎のひげの先端には多数の糸状物があることにより、ワニトカゲギスと見分けられる。またホソワニトカゲギスではワニトカゲギスと比べると、下顎のひげが著しく長くなることも特徴といえる。

この科の仲間はおそらくみな中~深層を遊泳し、鋭い牙で小魚やイカなどを捕食する。逆に自らが大きなマグロやカジキなどの餌になることもあるだろう。日本においては東北地方以南の太平洋岸沖、琉球列島、小笠原諸島近海などに分布し、海外でも三大洋の暖かい海域に生息している。底曳網などで漁獲されるが、食用になることはまずない。今回の個体は残念ながらかなりボロボロになってしまっており、食用にすることはできなかった。今回は静岡県戸田「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。いつも、ありがとうございます。

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