魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

オグロトラギス

2022年11月17日 23時09分19秒 | 魚紹介

サンゴ礁に生息する普通種であるが、久しぶりに入手できた魚。スズキ目・トラギス科・トラギス属のオグロトラギス。

オグロトラギスには従来Parapercis hexophtalmaという学名があてられていたが、この学名のものはインド洋の特産種とされ、従来この学名で呼ばれていた種は現在4種が知られており、オグロトラギスの学名はParapercis pacificaとなっている。学名通り西太平洋を中心とした分布域である。ほかParapercis xanthogrammaがフィジー、トンガ、サモアなどに、Parapercis queenslandicaはオーストラリア周辺やニューカレドニアなどに分布するとされる。

オグロトラギスの雄

オグロトラギスの雌(やや小さな個体)

この仲間は雌雄で頭部の模様が異なる。大体雌は黒色の点があり、雄は細い線が多数入っている。ただし本種ではそれがなく、頬下方にM字または「へ」の字、アーチ状の線が入っているのが特徴。雌はこの仲間はどれも黒い小さな点があるが、それらの位置などで見分けることができる。ただし、写真からの同定は難しいことが多い。雌は前回(2009年)に入手したもの。そのときの個体もこのぶろぐに掲載している。石垣島産の個体。

尾鰭には「オグロトラギス」の名前の由来になっている巨大な黒色斑が入っている。その黒色斑の後方に大きな白色斑がなく、この個体のように少し白っぽくなることにより、よくにたワヌケトラギスと見分けることができる。またワヌケトラギスは頬部や頭部の斑紋もオグロトラギスと大きく異なるので見分けるのはそれほど難しくない。沖縄などサンゴ礁の浅瀬にすむのはオグロトラギス、ワヌケトラギスとダンダラトラギスが多いように思われ、たまにヨツメトラギスやマダラトラギスなどが混ざる。

今回のオグロトラギスは煮つけにして美味しくいただいた。トラギスの仲間なので、煮つけ以外にも、焼き物、揚げ物などにもできるだろう。ほとんど市場には出回らない魚であるが、この科の魚には美味しいものが多い。ベラなどに厳しい評価を下す「沖縄さかな図鑑」では「市場価値はなく、水揚げされることもないが、食べることはできる」とされている。沖縄名では「すなふーやー」だそうだ。

食用になるほか観賞魚としてもまれに流通することがあるが、家庭の海水魚水槽というよりは水族館向けであろう。20cmほどになった成魚は迫力がある。今回のオグロトラギスも前回のナミスズメダイやキツネウオと同じく、沖縄在住「どぅハタ」さんより。いつもありがとうございます。

 

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