魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

マルクチヒメジ

2022年11月18日 23時20分25秒 | 魚紹介

この間のナミスズメダイと同様、これも初めて入手した魚。スズキ目・ヒメジ科・ウミヒゴイ属のマルクチヒメジ。

ヒメジ科の魚は種類が多いが、特に近年インドー太平洋域から多くの新種記載、もしくは種の復活が行われているグループである。この属はヒメジ属などと比べて大型になるもの多くいて、このマルクチヒメジは50cmを超えるくらいにまでなる。本種は下顎のひげがやや長く鰓蓋後縁下を超えること、吻がややとがっていること、オジサンやフタスジヒメジのような暗色横帯がないこと、オオスジヒメジやオキナヒメジのように尾柄付近に暗色斑がないことなどによって、ほかのウミヒゴイ属の魚と見分けることができる。

第2背鰭、臀鰭、尾鰭にはこのように美しい模様が入る。この臀鰭の模様はやや小型種のオジサンに近いところがあるように思う。オジサンは全長20cmを少し超えるくらいであるが、下顎のヒゲが長く、マルクチヒメジ同様に前鰓蓋骨後縁をはるかに越える。

マルクチヒメジは色彩のバリエーションが多い。トップ写真のように赤紫色のものや、上の写真のように黄色いもの、青みを帯びた色彩で体に黄色い模様があるもの、全身灰褐色のものなどが知られている。黄色い色彩のものは観賞魚店でも見られそれなりに人気があるよう。ただし成魚になってもこの色彩を維持できるかは不明だ。この種は先述のようにこの属の中でもオオスジヒメジなどとならんで特に大きくなるものであるため、食用として利用されており、市場にも出ることがある。沖縄ではヒメジの仲間は「カタカシ」と呼ばれ、それなりに値段がつく。本種は伊豆半島以南の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島、海外ではインドー太平洋の広範囲に生息し、その分布域には紅海とハワイ諸島も含まれる。なお、今回のマルクチヒメジは煮つけにして美味しくいただいた。ほかにも刺身や鍋物、焼き物など様々な料理に使うことができる。ヨーロッパ近海ではヒメジ科の欧州産種であるレッドマレットなどは重要な食用魚であり、料理には欠かせないという。日本でもヒメジ科の大型種であるホウライヒメジやオキナヒメジなどは「メンドリ」と称され、ヒゲも生えていることから縁起の良い魚とされてきた。

今回のマルクチヒメジは沖縄本島近海産。「どぅハタ」さんにより釣られ、送っていただいたものである。いつも、ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする