魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ナミアイトラギス

2021年06月05日 00時08分58秒 | 魚紹介

3月の終わりに勤務していた会社社長氏によりぶろぐを消されたので、4月と5月に起こった出来事も書いていきます。

4月にヘンテコ深海魚便を購入した際、その中に久しぶりに見る魚も入っていた。ホカケトラギス科のナミアイトラギスという魚である。

ナミアイトラギスはホカケトラギス科の魚で、クラカケトラギスなどを含むトラギス科とは別の科の魚である。見た目はコチの仲間のようにも見えるが、頭部にはほとんど棘などがみられないので、頭部がとげとげしているコチ科の魚とは見分けやすいであろう。

ナミアイトラギスの体表には黄色い輝く斑点がはいる。もっとも、これは本種のみの特徴ではなく、ほかの多くのアイトラギス属の魚にも見られる。深海魚ではあるが、美しい魚なのである。

アイトラギス属の魚は本種のほかに、アイトラギス、イトヒキアイトラギス、ソメワケアイトラギスなどが知られている。いずれも同様に深い海に生息し、底曳網で漁獲され、ある程度大きく育ったものなどはフライなどで食される。ナミアイトラギスとこれらの種との見分け方は側線にある。これらの種とくらべ、ナミアイトラギスの側線は急に曲がっている。

分布域は駿河湾以南の太平洋岸、島根県、山口県の日本海岸、九州の西岸。海外では韓国、台湾、中国沿岸、フィリピンなどである。本種は日本では水深200mを超える場所(ただし150mほどの場所でも漁獲される)で底曳網漁業などにより漁獲される。しかしながらあまり利用されていない。今回は小さな個体であったので、唐揚げにして食べてみたが、しっかりうまみがあり、かつ骨も気にならず食べやすかった。青山沙織さんのヘンテコ深海魚便より。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シロチョウマン

2021年06月04日 15時35分00秒 | 魚紹介

今回は静岡県沼津市戸田の深海魚をご紹介。この細長い魚はアシロ科のシロチョウマンという魚である。シロチョウマンはアシロ科の中では細長い形をしているようで、アシロ科というよりはソコダラ科の魚のようにも見えるのがユニークである。頭部にトサカのような突起をもつが、この特徴によってシロチョウマン属はほかのアシロ類と見分けられるようである。

なおシロチョウマン属の魚は日本にはシロチョウマン、ニセシロチョウマン、シロガネチョウマン、スカシチョウマンの4種が知られている。世界ではインドー西太平洋に6種類が知られている。駿河湾にはシロチョウマン、スカシチョウマン、シロガネチョウマンの3種が知られているが、この3種の中では本種のみ腹鰭が2軟条なので区別しやすい。

一方シロチョウマンとニセシロチョウマンは鰓耙数で見分けられる。シロチョウマンの第1鰓弓の鰓耙数は28~33であるが、ニセシロチョウマンの鰓耙数は35~38と多い。

アシロの仲間は様々な方法で利用されている。日本では大型になる種が少ないのであまり食用になるというイメージはないが、それでもヨロイイタチウオなどは重要な食用種である。ただしシロチョウマン属の魚は30cm以下のものがほとんどなのであまり食用にされていない。今回は頭と内臓を落として唐揚げにして食べたが、正直、「揚げた、なにか細長いもの」を食べた気しかしなかった。

シロチョウマンの生息水深は140~595mとされるが、200mより深いところに多いであろう。分布域は駿河湾以南の太平洋岸、沖縄舟状海盆。海外ではフィリピン、スマトラ島、オーストラリア北西岸に生息しているようである。

今回は戸田の「ヘンテコ深海魚便」、青山沙織さんより。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ヘンテコ深海魚便」を受け取りに行く

2021年06月03日 00時27分59秒 | 

ぶろぐが3月末に勝手に消されたので、4月と5月に起こった出来事も載せていきます。

4月22日にまた戸田に行ってきた。今回戸田に行ったのは、戸田で深海魚に会うのが目的ではなく、これ。

深海魚の詰まった箱、「ヘンテコ深海魚便」を受け取るため、というのがその理由である。深海魚が水揚げされるとき、魚を発泡スチロールの中にごちゃまぜに入れて送付する、というものであるが、この箱に入っている魚も色々な種類が見られ、面白い。なお、ヘンテコ深海魚便は戸田まで行かなくても、料金を振り込めば送ってもらうことも可能。底曳網のシーズンである9月から翌年5月半ばであれば購入できる。担当は戸田の地域おこし隊の青山沙織さんである。マスクごしではあるが、いろいろ会話をさせて頂いた。ありがとうございました。

中に入っている深海魚の同定などもされておらず、ただ詰めただけ。それがまたうれしいのだ。魚やエビの詳しい紹介はまたの機会に。

富士山はやはり美しい。前回は戸田の出会い岬、県道17号沿いで撮影したのだが、今回は県道18号からの撮影。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海生物に会いに行く

2021年06月02日 00時13分35秒 | 

ぶろぐが3月末に勝手に消されたので、4月と5月に起こった出来事も載せていきます。

4月にはちょっと静岡県沼津市の戸田漁港に行ってみたくなったので、4月3日に行ってきた。この戸田では深海魚を獲る底曳網漁業が盛んにおこなわれている。そのため、実際に行ってみたかったのだ。到着したときには深海魚の選別が行われており、すこし見せてもらうことができた。夏は禁漁となり、9月に再開する予定。また行ってみたいものだ。

カタダラと思われるもの。深海性のタラの仲間で、ソコダラ科のアナダラ亜科、もしくは独自のアナダラ科とされる。最近は後者を採用することも増えてきたようだ。ほか、イッカクダラ科やバケダラ科もソコダラ科に入れられたり、独立した科とされたりしている。

ヘダトロール。地元の特産品を販売する店舗の横に立っている無料の小さな水族館である。中には水槽があり、そこで戸田の魚を飼育している。水槽は二つしかないが、そのうちの一つでは深海魚たちの生きているようすを見ることができる。

ナヌカザメはトラザメ科の小型種である。写真はシマシマ模様が目立つのだが、これは幼魚の特徴のようである。成魚も1mくらいの小型のサメであり、おとなしい性格であまり泳ぎ回らないため、水族館としては最も飼育しやすいサメであろう。家庭の水槽でも飼えなくはないほどだ。ただし大きくなるため大きめの水槽と、それに比例した大型の水槽用クーラーを必要とする。

ツボダイは深海性の魚の中では比較的飼育展示に耐える種類とされる。幼魚のうちは独特の模様が眼を引く。大きく育ったものは食用になるが、ここで飼育されている個体は食用にはしないだろう。ほか、シビレエイやオオモンハタ、サギフエ、各種クモガニ類などを見ることができた。

これらの水槽では家庭水槽用のクーラーとしてもお馴染み、ゼンスイのZRシリーズが使用されていた。ただしこれだけで夏場の高気温下耐えられるのか、ちょっと気になるところではある。ろ過槽はジェックスのメガパワーと思われる。確かこのほかに上部ろ過槽を用いていたと思う。外部ろ過槽と上部ろ過槽を併用して使用するというのはなかなかすぐれたアイデアである。

ヘダトロールの横にある店舗ではいろいろな特産品が販売されていた。深海の生物としてはアカザエビ、赤エビ(種不明)、オオコシオリエビ(通称がさえび)、ムツの幼魚やオオメハタなどを販売していたが、目玉は何といっても、世界最大の甲殻類であるタカアシガニ。戸田の名物なのである。タカアシガニは結構高かったので、今回は小型のエビを2種ほど買うなどした。また、深海魚ではないが、地場のブダイなどの磯魚なども販売されていた。

夕方の富士山。天気は曇っていたが夕方はきれいな夕焼けであった。帰りは大瀬崎や三津を経由し、海沿いの道をゆっくり走って岐路についた。

旅のシメは「さわやか」。沼津に2か所あるのだが、これは沼津ではなく函南の店。御殿場にある店舗に次ぐ、日本最東端さわやかである。あいかわらずげんこつハンバーグが美味しい。待ち時間が100分以上もあったが、それでも食べたくなる魅力がある。函南の店は伊豆縦貫道からのアクセスもしやすく使いやすい店舗である。この後日、また戸田を訪問することになる。これはまた別に書こうと思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヨシノゴチ

2021年06月01日 02時20分58秒 | 魚紹介

3月の終わりにぶろぐ抹消されましたので、4~5月の出来事なども掲載しています。今回ご紹介するのはコチ科の一種で、ヨシノゴチという種類。4月に購入した長崎県産のものである。

ヨシノゴチはマゴチに似ているが、体は明るい茶褐色で暗色の斑紋が網目模様を形成するという特徴がある。マゴチのように体側に黒い模様が入っていないのも特徴的であろう。その体色からシロゴチと呼ばれるが、長崎の市場関係者の間ではホンゴチ、もしくはゼニゴチと呼ばれ、最近ではスナゴチとも呼ばれるらしい。たしかに砂のような色彩をしており、この名前が望ましいようにも思えるが、標準和名でスナゴチと呼ばれるコチの仲間もいるので注意しなければならない。ほかのコチ同様に小魚などを食べているようである。また生息場所はマゴチよりも沖合、九州の西岸ではマゴチよりも深場で漁獲されるという。

なお、ヨシノゴチについては学名はまだ決まっていない。昔はマゴチと一緒に「コチ」とされていたが、集団遺伝学的にも生態学的にも別種として扱うべき、とされている。ちなみに日本産のコチ属魚類3番目の種が奄美、沖縄などからしられている。これがミナミマゴチであり、これがよく「コチ」の学名とされたPlatycephalus indicusらしい。この個体は雌であり大きな卵巣を持っていた。身は刺身にして食べたが美味しかったが、今回は写真を撮るのを忘れてしまった。印束商店 石田拓治さんより。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする