魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

テルメアジ

2021年06月16日 21時01分07秒 | 魚紹介

昨年末に宮崎県門川の漁師、Wadaさんから同地で漁獲された魚をたくさんいただきました。ありがとうございます。大きめのカマスからチョウチョウウオのトリクチスまでいろいろな魚をいただいたのですが、その中に初めて見る魚も多数入っていたので興奮しました。ちなみに以前ご紹介しました、ヒメオコゼも同じ便のもの。そして今回特に心をおどらせたのは、あるアジの仲間。

 

それが、このテルメアジというアジである。

テルメアジはアジ科メアジ属の魚である。メアジ属はメアジとテルメアジの2種類からなるが、日本では従来はメアジのみ知られていた。テルメアジという名前は非公式的には2008年(の愛媛での魚類学会)から使われていたようだが、2011年に正式に日本から報告され、テルメアジの和名も種の標準和名となった。九州ではここ何年か南方系のアジがいろいろ見られ、イトウオニヒラアジ、ヒシカイワリ、サクラアジ、ヨコヅナマルコバンといった種類が報告されたほか、一時ミヤカミヒラアジ、クロボシヒラアジ、ウマヅラアジなどもかなり多くとれていたように思う。しかし近年はこれらの種が少なくなっているような話も聞くが、やはり黒潮の流れに左右されるのだろうか。

メアジ

 

テルメアジの側線

メアジの側線

本種とメアジは側線の様子で見分けることができるので、それほど区別は難しくはないだろう。簡単に言えばメアジは側線の湾曲部と直走部が同じくらい長いが、テルメアジは直走部のほうが明らかに長い。説明するよりも写真で見ていただいたほうが早いと思う。なお、体側の黄色縦線の有無はメアジでも出るため、同定には使うことができない。

分布域はメアジは世界の熱帯・亜熱帯域に分布しているが、テルメアジは西太平洋とアンダマン諸島以東のインド洋に見られる。タイでは本種の群れがダイバーに人気だが、従来はホソヒラアジの群れとされていた。ただしホソヒラアジとは別種であるので注意が必要である(Fishbaseのサムネの水中写真もテルメアジっぽい...)。ちなみにホソヒラアジは黄色帯の入り方や上顎の歯の有無で見分けることができるようである。国内の分布はメアジが東北太平洋岸から琉球列島、テルメアジは宮崎近海。メアジは刺身や焼き物、揚げ物など様々な料理に向く大変おいしい魚ではあるが、テルメアジのほうは獲れる数が少ないようで、食用となっているかはわからない。ただ、東南アジアでは食用になっているようだ。

この度は門川のWadaさんにお世話になりました。ありがとうございました。

コメント (3)
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