魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ミナミアナゴ

2021年06月10日 21時03分52秒 | 魚紹介

3月の終わりにぶろぐを削除されましたので、4~5月のできごとも書いていきます。

この魚はアナゴ科のミナミアナゴ。アナゴ科の中でもクロアナゴ亜科に含まれ、この亜科にはマアナゴやクロアナゴといった食用でお馴染みのものが何種か含まれる(ゴテンアナゴやハナアナゴはホンメダマアナゴ亜科という別亜科に含まれる)。

ミナミアナゴの頭部。上唇にはクロアナゴやギンアナゴなどのように溝がなくこれらの属の種類と見分けることができる。また歯については非常に小さく歯帯をなしていることによりアイアナゴやツマグロアナゴなどと見分けることができる。

鋤骨。これの歯帯がやや長めであることにより、よく似たキツネアナゴと見分けることができる。また、キツネアナゴは肛門前側線孔数でも区別できる。キツネアナゴは29~31、ツマグロアナゴは38~40である。

名前は「ミナミアナゴ」だが学名のうち属学名は「日本のアナゴ」という意味であり、タイプ標本の産地は三重県らしい。国内では千葉県から沖縄舟状海盆にかけて広くみられる種で水深300~535mの深海底にすみ、底曳網で漁獲されるものの数はあまり多くはないようである。

ミナミアナゴは一般に食用にされていないが、今回は状態のいいのが入手できたので、かば焼きで食べてみた。食べられるが、小骨がやや多くマアナゴよりは食べにくい感じであった。それゆえ市場にでないのであろう。

今回は戸田「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。ありがとうございました。

 

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バケスミクイウオ

2021年06月09日 21時59分27秒 | 魚紹介

今年の3月末にぶろぐを抹消させられたので、4~5月の出来事も書いています。

この魚はバケスミクイウオという魚である。深海から中層を泳ぎ回る魚だ。

スミクイウオの類については最近、「スミクイウオ科」という独自の科にしていることもあるが、アカムツなどとの関係が気になる。正直まだ科ではなく亜科までにとどめておくべきではなかろうかと思う。

バケスミクイウオの臀鰭棘は3本とされていることが多いが、本種は幼魚のうちは棘の発達が悪く、2本であるらしい。そのため稚魚はほかのヒメスミクイウオ属との区別が難しいことがあるようだ。ヒメスミクイウオ属は従来はスミクイウオ属の中に入れられていたが、日本産種ではスミクイウオ以外のすべての種がヒメスミクイウオ属に移っていった。さらに2種が日本から記録され、ノコバスミクイウオも学名が変更になっている。

この仲間は非常に鱗がはがれやすい。このように底曳網で漁獲されたものでは鱗がほとんどすべて剥がれた状態で上がってくる。今回の個体は「深海魚のたび」さんに見て頂いた。また、沼津市戸田 青山沙織さんの「ヘンテコ深海魚便」の中に入っていた個体である。お二人とも、ありがとうございました。

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スジダラ

2021年06月08日 01時03分03秒 | 魚紹介

3月の終わりにぶろぐを消されたので、4~5月の出来事もアップします。

写真の魚はソコダラ科の深海魚、スジダラ。2つ前の記事で紹介したワニダラとは同じ属の深海性の魚である。

頭部はトウジンなどと大きく異なり弱弱しい感じ。眼もどこか力なく見える。頭部や吻端が凸凹しているのが特徴だ。ヒゲはこの個体では非常に短く、上手く写真には収めることができなかった。よく似たものにハチジョウソコダラというのがいるが、この種は眼径と同じくらいの大きさのヒゲを持つのに対し、本種のヒゲはもともと短く眼径の半分程度である。日本産のスジダラ属は前回ご紹介したワニダラと、先ほど名前を出したハチジョウソコダラのほか、イトダラ、カミダラ、オグロスジダラというのがいるが、このスジダラは最も普通種であると思われる。

なおスジダラは以前に2回見ている。1回は三重県尾鷲の底曳網漁業で漁獲された個体。2回目はこのぶろぐでもご紹介した、アオメエソのパックの中に混ざっていた個体。今回は3回目であるが、今回の個体が一番大きく、しっかりしている。

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シマイタチウオ

2021年06月07日 21時05分24秒 | 魚紹介

3月の終わりにぶろぐを消されたので、4月から5月の出来事もご紹介していきます。

今回ご紹介するのはシマイタチウオ。アシロ科の魚である。本種はシオイタチウオ属に含まれている。この属にはシオイタチウオ、スミツキイタチウオ、マチダイタチウオなど数種が日本から知られるが、戸田で見られるのは本種、シオイタチウオ、スミツキイタチウオくらいであろう。

本種の特徴は背鰭と臀鰭に複数の黒色斑がある。前述の種の中でシオイタチウオは背鰭と臀鰭には斑点がなく、スミツキイタチウオは背鰭に黒色斑が一つだけあるが臀鰭には斑点がない。また頭部には黒色の線が入ることも特徴である。一方、同じように底曳網で漁獲されるウミドジョウという種は背鰭に斑点があり本種に似るが、腹鰭の軟条が1本しかない(シオイタチウオ属は2軟条)であることで簡単に見分けることができる。

シマイタチウオの生息水深は980mより浅い深海である。ウミドジョウは数10~200mであり、本種のほうがより深い。分布域は広く茨城県~東シナ海、台湾までにおよび、日本海では見られないようである。ただしシオイタチウオは日本海にも分布している(実際に私も京都沖のものを見ている)。またシオイタチウオはシマイタチウオよりも浅い60mくらいからも見られるようである。

今回の個体は「ヘンテコ深海魚便」のなかに入っていたもの。青山沙織さん、いつもありがとうございます。

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ワニダラ

2021年06月06日 20時41分25秒 | 魚紹介

ソコダラ科は深海魚の中でもとくに多様性に富んでいるといえるグループの一つだとされる。北極から南極までほぼすべての深海に生息しているソコダラ類は世界で300種以上が知られ、日本でも様々な種が生息している。もちろん駿河湾の沖合底曳網漁業でもソコダラの仲間はいろいろ網に入る。

写真のソコダラ科の魚はワニダラという。ワニダラは名前は聞くものの実際見たのは初めての種類であった。

ワニダラはスジダラ属の魚で、この属の代表的な種は属の標準和名にもなっているスジダラである。下顎にあるヒゲはスジダラのそれよりも長い。また顔つきもスジダラより丸い。スジダラは平らになっている。スジダラ同様に眼の上方に烏帽子状突起はあるものの、本種はあまり目立っていない。

分布域は駿河湾、熊野灘、土佐湾、西太平洋。生息水深は300~500mで、スジダラよりはやや深いように思われる。この個体も青山沙織さんの「ヘンテコ深海魚便」より。ありがとうございました。

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