今回は静岡県沼津市戸田の深海魚をご紹介。この細長い魚はアシロ科のシロチョウマンという魚である。シロチョウマンはアシロ科の中では細長い形をしているようで、アシロ科というよりはソコダラ科の魚のようにも見えるのがユニークである。頭部にトサカのような突起をもつが、この特徴によってシロチョウマン属はほかのアシロ類と見分けられるようである。
なおシロチョウマン属の魚は日本にはシロチョウマン、ニセシロチョウマン、シロガネチョウマン、スカシチョウマンの4種が知られている。世界ではインドー西太平洋に6種類が知られている。駿河湾にはシロチョウマン、スカシチョウマン、シロガネチョウマンの3種が知られているが、この3種の中では本種のみ腹鰭が2軟条なので区別しやすい。
一方シロチョウマンとニセシロチョウマンは鰓耙数で見分けられる。シロチョウマンの第1鰓弓の鰓耙数は28~33であるが、ニセシロチョウマンの鰓耙数は35~38と多い。
アシロの仲間は様々な方法で利用されている。日本では大型になる種が少ないのであまり食用になるというイメージはないが、それでもヨロイイタチウオなどは重要な食用種である。ただしシロチョウマン属の魚は30cm以下のものがほとんどなのであまり食用にされていない。今回は頭と内臓を落として唐揚げにして食べたが、正直、「揚げた、なにか細長いもの」を食べた気しかしなかった。
シロチョウマンの生息水深は140~595mとされるが、200mより深いところに多いであろう。分布域は駿河湾以南の太平洋岸、沖縄舟状海盆。海外ではフィリピン、スマトラ島、オーストラリア北西岸に生息しているようである。
今回は戸田の「ヘンテコ深海魚便」、青山沙織さんより。ありがとうございました。
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