魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

スナガレイ

2016年12月09日 23時36分56秒 | 魚紹介

ナイスなミュージックにのせてかどうかわかりませんが更新予告ですっ、した通り。

カレイ目・カレイ科・ツノガレイ属のスナガレイ。スナガレイは北海道のすべての沿岸に分布するカレイ。北海道だけではなく、日本海側では兵庫県浜坂、太平洋岸では福島県近海まで見ることができるという。海外では朝鮮半島~ロシアの沿海州に分布する。この種は有眼側の模様が「砂」のような色彩であることが多いようだ。黒色や灰色の細かい斑紋が見られる。

しかし最も特徴的なのは無眼側。きわめてよく目立つ黄色線が背鰭や臀鰭に沿うようにして走る。

頭部の形状もかなり変わっている。多くのツノガレイ属魚類では頭部背縁はあまりくぼまないがこの種類は頭部背縁が強くくぼむのが特徴。

同じように頭部背縁が強くくぼむものにはハナガレイという種も知られている。この種は日本では北海道にのみ見られ、しかもオホーツク海に面した網走と紋別くらいでしか見られないようである。スナガレイとの区別方法は有眼側に白っぽい斑点があること、無眼側が一様に黄色である、ということである。

よく「味はよくない」とされているようだが今回唐揚げにしたところ全くそんなことは感じられなかった。ただし、美味しいのだが、小型なため身も薄い。北海道ではよく販売されているほか、釣りでほかのカレイ類とともに釣れるという。

もともと四国や九州での生活が長い私にとっては、カレイの同定というのは結構むずかしいものだったのだ。体の一方に眼が偏っている、奇妙なこの科の魚は33種が知られているものの、四国、特に宇和海沿岸ではほとんどこの仲間は獲れない。かろうじてミギガレイ、ヤナギムシガレイ、メイタガレイ属の2種が漁獲されるくらいであった。

だが最近はいろいろなカレイを購入したり、触ったりすることによってようやくこの仲間のことを理解することができるようになった。今回坂口太一さんからカレイの仲間をいろいろ送っていただき、さらに理解を深められた。ありがとうございました。

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ガンコ

2016年12月08日 16時49分29秒 | 魚紹介

このぶろぐにおいてもっとも多く登場しているタイトル。

スズキ目・カジカ亜目・ウラナイカジカ科・ガンコ属のガンコ。ガンコについては過去2回記事を書いているがその時は標本用であり、食するのは今回が初めてとなる。

ガンコの特徴は後頭部にたくさんの棘があること。この特徴により日本に分布するウラナイカジカ科のほかの多くの種と区別することができる。また体も平べったい。異名アンコウカジカは底からきているのだろう。確かにアンコウと間違えられることもある。アンコウよりも深海性が強く水深800mまで見られるが、それよりも浅い深海に生息することが多い。主な漁法は底曳網や刺し網などである。

ガンコには雌雄で差があるという。魚類検索の分類学的付記によれば、雄の背鰭や臀鰭が雌よりも明らかに長く、従来ヒレナガガンコという名前で呼ばれていたようだ。ほかにもいくつかの名前で記載され学名がついたりしているが、現状ではガンコ属は1属1種とするのが妥当なようだ。今回の個体は雌で鰭は長くのびていない。まだ見ぬ雄はどんな鰭のかたちをしているのか気になる。魚類検索で示されているのがそれだろうか。と思ったが、「日本の海水魚」に雄の写真が掲載されていた。

分布域は意外と広く、日本における分布域は太平洋岸は銚子まで、日本海岸では島根県浜田にまで見ることができるという。私は以前兵庫県近海産のガンコをもらったことがある。2010年に今回同様「ガンコ」のタイトルで記事を書いているのがそれだ。ちなみにこのときは背鰭が1基と紹介しているのだがこれは私のうっかりしたミスで、実際には背鰭は2基である。

さきほども書いたが今回のガンコは雌であった。このように赤い大きな粒の卵が多数入っていた。卵は唐揚げでなく煮つけで食べたが美味しかった。

ガンコのよいところは鱗がないこと。だから鍋にそのまま入れて食することができる。しかし今回は唐揚げにして食べてみた、ウラナイカジカ科の魚は唐揚げにしたらいずれの種も美味しく食べられる。ほかには鍋もおすすめ。皮膚が柔軟で鱗もないことが多く、皮も美味である。この仲間はあまり食用として出回ることがない。魚市場などをのぞいて、運良く入手できるような状況にあれば絶対手にしたい魚だ。

今回坂口さんにおくっていただいた北海道産魚の唐揚げ盛り合わせ。左のほうにカレイの仲間も写っている。次はこのカレイについて書こうか、それともまた別の魚のことを書こうか悩むのだ。

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コオリカジカ

2016年12月07日 14時36分21秒 | 魚紹介

昨日は日記を書く途中で居眠りしてしまい、結局ぶろぐ更新はできませんでした。

今日は北海道の魚。スズキ目・カジカ亜目・カジカ科・コオリカジカ属のコオリカジカ。

コオリカジカ属は北太平洋、北大西洋から17種が知られ、日本にはそのうち11種が知られている。多くの種類で櫛鱗が列状になっているなどの特徴がある。コオリカジカは後頭部に1対の棘があり、さらに体側の背側に小さな棘状の鱗が列をなしている。この二つの特徴の組み合わせによって、日本に分布しているすべてのコオリカジカ属魚類と区別することができる。

体側の背側の棘状の鱗列

後頭部の棘

水深70m以深、やや深い海に生息する種で、漁法は刺網や底曳網。本種もおそらく刺網にかかっていたのだと思われる。日本における分布は、コオリカジカ属としては最も広いものと思われ、北海道の全沿岸から日本海岸では山口県、太平洋岸でも宮城県くらいまでは見られる。海外では朝鮮半島やロシア沿海州まで分布。以前宮城県の底曳網でも本種を見たことはあるが、じっくり見たのは今回が初めてである。カジカの仲間は同定が難しいが、きちんとした標本が残っていればなんてことはないのである。

側線上の強い櫛鱗

今回の個体は北海道の羅臼近海で漁獲されたものだ。ちなみに羅臼産のコオリカジカ属魚類の一種にはその名も「ラウスカジカ」というのがいる。ラウスカジカは体側の背側の鱗列の上方に細かい櫛鱗があり、後頭部には棘がなく皮弁があったりし、後頭部の皮弁は1対であることで近縁種やオットセイカジカと区別することができる。ラウスカジカは2006年に新種記載された種類で、羅臼のほかに太平洋岸の浦河でも漁獲されているらしい。水深73m以浅に生息しているようだが、7cmほどの小型種であり、網にかからず出会う機会はそれほど多くないのかもしれない。

今回のコオリカジカは雄の個体で、大量の卵を持っていた。魚は頭を落とした後三枚おろしにして焼いてたべた。我が家の魚料理にはほとんど頭部がない(笑)。じっくり塩焼きにして食べた、鱗は一見硬くて食べにくそうに思われるがよく焼けば骨も鱗もそのままバリバリと食べられる。身は淡泊であり、味はあまり感じられなかった。

今回のコオリカジカもほかの北海道産の魚と同様坂口太一さんから頂きました。ありがとうございました。

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ヒレグロイットウダイ

2016年12月03日 19時39分04秒 | 魚紹介

今日は北海道シリーズはひとやすみ。先月に送っていただいたちょっと変わった南国の魚のご紹介。イットウダイ科のヒレグロイットウダイである。

ヒレグロイットウダイはキンメダイ目イットウダイ科の魚であるが、イットウダイやテリエビスやらが含まれているイットウダイ属ではなく、ウケグチイットウダイ属に含まれる。この属はインドー太平とカリブ海に合計5種が知られており、日本ではそのうちの4種類を見ることができる。

ヒレグロイットウダイはこれまで八丈島、与論島以南の琉球列島から知られているが、日本ではあまり多くないらしい。この個体は長崎で採集されている。しかもかなりイキイキした感じで、長崎の近海で採集されたものと思われる。今年は色々な海域で多くの人が思わぬ熱帯性魚類との出会いを楽しめたそうだ。これらの熱帯性海水魚はよく温暖化と絡められがちであるが、海流のパターンや天候などにもかなり影響されるようだ。和歌山以南あたりであれば越冬可能だが、それ以北のものは冬に死亡してしまう個体も多い。

今回はもう1匹送っていただいた。もう1尾のほうはやや傷があったり、眼がやや死んでいたりしてうまく写真が撮影できなかった。編集もやや適当な感じが・・・。申し訳ない。

背鰭が黒いからヒレグロイットウダイという名前なのだと思われる。背鰭は中央が黒く、縁は白く下方にも白い模様があるのだがちょっとしたミスで鰭膜縁辺の様子を上手く残すことができなかった。この仲間は背鰭が特徴的なものが多い。属の標準和名になっているウケグチイットウダイは背鰭の前方に大きな黒色斑がある。一方ウケグチイットウダイにそっくりなホソエビスにはそれがない。

ヒレグロイットウダイの背鰭。

ホホベニイットウダイの背鰭。黒い矢印が背鰭最終棘

ホホベニイットウダイ

以前紹介したホホベニイットウダイは背鰭の最終棘がその前の棘よりも短いという特徴があり、背鰭の最終棘はその前の棘よりも長いという特徴をもつウケグチイットウダイ、ホソエビス、そしてヒレグロイットウダイと区別できる。カリブ海に生息するNeoniphon marianusは実物を見たことがないが、John E. Randallの「Caribbean Reef fishes」の写真を見た限りでは、最後の棘とその前の棘はほぼ同じ長さのようにも見える。カリブ海にはこの仲間によくにたノボリエビス属というのが2種いるのだが、臀鰭棘と軟条部の長さの違いから見分けられるのだと思われる。

なおホホベニイットウダイとヒレグロイットウダイの色彩は大きく異なっているのだが、意外と色彩をかえたりすることができるらしい。ヒレグロイットウダイでも赤みを帯びた色彩の個体が写真に撮られていたりする。おそらく「ナイトカラー」、夜間の色といえるのかもしれない。また生息地も若干違う。ヒレグロイットウダイとウケグチイットウダイはサンゴ礁のごく浅い場所に生息していて、後者は磯採集で出会えるチャンスもあるようだが、ホホベニイットウダイは水深数10mの海底に生息している。

以前ホホベニイットウダイを焼いて食した時は骨が硬くて食べにくかった。小型だったのも影響しているのかもしれない。今回はその反省で刺身にして食したのだが、それは美味しいものであった。この属で食していないのはウケグチイットウダイとホソエビスの2種のみ。ホソエビスは日本では石垣島から記録されている。海外では東アフリカ~マルケサス諸島にまで分布しているのだが、これも数は多くはないようだ。Googleで検索してみると、ウケグチイットウダイの体側にある線が、線というよりはむしろ点であるような模様になっていた。いつかは出会いたい、幻のイットウダイ科魚類である。

今回のこの個体は長崎県の「たくじー」さんこと石田拓治さんに送っていただきました。ありがとうございました。

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ドロギンポ

2016年12月02日 10時12分16秒 | 魚紹介

北海道は沖縄に比べると魚の種類は多くないが、独特な魅力がある魚が多数いう。しかし、なかなかお目に罹れない魚も多い。

写真の魚、ドロギンポは書籍の図鑑、たとえば「日本の海水魚」などでは見たが、インターネットで検索してもなかなか画像が出てこなかった。ドロギンポはスズキ目・ゲンゲ亜目・タウエガジ科・ドロギンポ属の魚。ドロギンポ属は本種1種のみ。日本では北海道臼尻、釧路、オホーツク海沿岸にのみ見られ、海外ではオホーツク海から朝鮮半島日本海沿岸にまで見られる種。沿岸域の水深10mほどの海底に生息する磯魚である。

体側に明瞭な側線がないタウエガジ科の魚はほかにも何種かいる。やはり日本では北海道にしか分布しないムロランギンポは本種に結構似ていて、この魚を送っていただいた坂口太一さんも悩んでいたようだ。ただしムロランギンポは背鰭の前方に眼状斑が数個あることが多く、本種には背鰭に不明瞭な斑紋が数個ある。その後図鑑を見たらドロギンポと同定できたらしい。さすがである。なおこちらの同定結果もドロギンポであった。ドロギンポとムロランギンポの簡単な区別方法は、腹鰭の有無だ。ムロランギンポには腹鰭がない。

ドロギンポの腹鰭。腹鰭は明瞭にあるのだが、極めて小さい。また左右の鰓膜は癒合し峡部を横切るような形となり、鰓膜が切れ込むトンガリギンポ類やメダマギンポ類、ネズミギンポと区別することができる。このうち見たことがあるのはネズミギンポくらいだが、近いうちに送っていただけるということなので、その時はまたこのぶろぐでご紹介したいと思う。

この個体は大きな卵を持った雌の成魚であるが、タウエガジの仲間であり、卵を食するのは勇気がいる。今回は肉だけ食用にした。ドロギンポという名前からあまり美味しい魚とは思われにくいのだが、実際は極めて美味な魚であった。今回はぶつ切りにし、唐揚げにして食べたが、肉は白身でやわらかい感じ。ほかに一緒に送っていただいた魚しい種と唐揚げで食したのだがこれがまた美味であった。

坂口太一さんありがとうございました。

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