一口に美味しい魚といってもいろいろな魚があります。アジ、サバ、イワシ、サンマ、サワラ、マグロ、カジキ、ヒラメ、マダイ、マゴチ、カサゴ、キンメダイ・・・。これらの魚は、一般的な魚屋で購入でき、そしてさばき易い魚たち。
しかし、さばきにくい魚もいろいろおります。内臓に毒があり、さばくのには資格が必要な「フグ類」、独特な切り方「つるし切り」でさばく「アンコウ」、匠の技の包丁さばきが必要ともいわれる「ハモ」・・・
今回のエビスダイOstichthys japonicus (Cuvier)は、鎧のように鱗で覆われた姿が特徴的な魚です。包丁が入りにくく、調理には苦労する魚です。
鱗をはぐのに苦労する魚ですが、苦労して剥がして、煮ると大変おいしいものです。鱗つきのまま煮て、調理の前に箸で鱗を取って食べるのも良いと思います。
エビスダイは、イットウダイ科の魚です。肉質はよく、鱗をはぐのに苦労しますがおいしい魚たちです。イットウダイ科の魚はキンメダイ目に含まれ、重要食用種をいくつか含みます。キンメダイ、エビスダイなどのほか、琉球列島ではアカマツカサの仲間を「みんたまーあかいゆ」と総称して食用としますし、南半球や旧ソ連ではヒウチダイ科の大型種オレンジラフィを食用魚として開発しています。
さばくのは大変な魚ではありますが、さばいて、調理し、口に運ぶときには、その大変さが味となって、口腔内に消えていくのです。さばくのが難しいか否かで、魚の味を判断してはいけないのです。