ベラの仲間もいろいろな種類がおりますが、その中でもササノハベラの仲間は普通種で、釣りでもよく釣られます。この「ササノハベラ」という魚の中には実は2種が含まれていたことがわかり、1997年にホシササノハベラとアカササノハベラという2種に分けられホシササノハベラについては新種記載されました。
そのうちのこちらがアカササノハベラPseudolabrus eoethinus (Richardson)。従来は「黒潮型」などという呼び方がされていたもの。この魚は主に太平洋側の荒磯などに普通に見られる魚です。写真の個体は雌型か、幼魚か。大きな雄の個体は黄色っぽい体で頭が赤く、結構美しいベラです。20cmくらいになります。
ササノハベラ属の魚は温帯域から亜熱帯域にかけて生息し、南半球のオーストラリアやその周辺の島々、はてはチリのイースター島やファンフェルナンデス諸島にも分布しています。日本には先述の2種が分布します。世界では10種が東インド・太平洋、東部太平洋に分布します。
アカササノハベラ(雄)Pseudolabrus eoethinus (Richardson)の古い写真
こちらがホシササノハベラPseudolabrus sieboldi Mabuchi and Nakabo。普通種だからということで写真をテキトーに撮影すると使いたいときによい写真が手元にないなんてことにもなりかねません。
アカササノハベラは甲殻類やゴカイ類などを捕食する貪欲なベラで、磯釣りではよく遊んでくれます。幼魚は磯のほか、防波堤にもあらわれます。
残念ながらあまり狙って釣ることはなく、「釣り師」と呼ばれる方々は本種を釣りますとあまり機嫌がよくなるということはないのですが、スズメダイや子メジナとくらべずっと強い引きをして、あまり高度なテクニックがなくても釣りあげることができるという魚です。そして美味しい!塩焼き、刺身でも食べられる魚ですが、やはりベラの仲間なので煮つけにすると美味しいものです。