中浦和“ふうるふうる”のたらです。
「松谷みよ子全エッセイ1 わたしの暦」(筑摩書房)から抜粋します。
●覚え書『死の国からのバトン』
時代時代のあるところで、人びとはバスに乗りおくれまいとするように切符を買います。それは大東亜共栄圏の切符かもしれず、魔女狩りの切符かもしれず、反戦の切符かもしれません。私もまたそのように公害批判の切符を手にしただけで、それを免罪符のようににぎっただけで、次の日から書きはじめるとしたら……。
「あんまり早くわかったような気になること、それはわかっていないことではないだろうか。」
ずっきりと胸に響く。自分への戒めの言葉だと心していかなければ。