安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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JAL、解雇攻撃の裏で自民党に政治献金~こんな連中に解雇されてたまるか!

2010-12-26 23:56:27 | 鉄道・公共交通/交通政策
当ブログで最近、JAL問題を集中的に追及しているせいか、同じく整理解雇に疑問を持っているあるブログ主さんから情報提供があった。何の因果かわからないが、ネットで公共交通問題や安全問題に関する情報発信をしていて最も嬉しいのはこんなときだ。

それはともかく、驚くべき内容なので、まずはご覧いただこう。

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日航側、経営危機でも献金 2250万円自民に 07~09年(しんぶん赤旗)

 「整理解雇」の強行を計画する日本航空(会社更生手続き中)の子会社が経営不振にもかかわらず、2007年~09年に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)に計2250万円の献金を行っていたことが2日までに明らかになりました。09年分の献金は、日本政策投資銀行(政投銀)が日航に670億円の融資を決定した直後に行われました。融資にからんで、当時の自公政権が「支援宣言」を行った経緯があり、献金との関係が注目されます。

 国政協に献金をしていたのは、日航の子会社「ジャルセールス」(東京都品川区、資本金4億6000万円)です。同社は献金額上限の750万円を07年からの3年間、毎年献金していました。

 この時期の日航は08年2月に発表した「再生中期プラン」で4000人規模の人員削減を打ち出すなど、経営悪化に直面していました。

 09年6月には、自公政権の関係閣僚が日航の再建策を協議。日航が政投銀などに要請していた2千億円規模の資金のうち計1千億円を同月に調達していました。

 国政協への献金は、融資決定直後の6月30日に行われました。

 当時の金子一義国交相が「しっかり指導・監督していく」と支援を表明して、調達にこぎつけました。

 しかし日航は今年1月に経営破たん。このうち、政府が債務保証した政投銀の焦げ付きのうち、469億円が、国民負担となっています。

 日航は「担当者不在で答えられない」と回答しました。
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経営再建で青息吐息のはずが、半世紀近くにわたって自分たちを食い物にしてきたはずの自民党にしっかり政治献金をしていたというのだから呆れる。自民党に便宜を図る見返りに、瀕死の状態になったら支援してもらうという度し難い癒着の構図だ。こうなると、経営危機という前提条件そのものも怪しくなってくる。当ブログ管理人は当事者ではないが、こんな連中に解雇されてたまるかという思いが募る。

JALには、客室乗務員らの整理解雇以前にやるべきことがある。自分たちを半世紀近くにわたって食い物にしてきた自民党に対し、政治献金の返還請求書を送りつけることだ。

これだけでは仕方ないので、今日は、副操縦士の解雇問題について話をしよう。

あまり知られていないが、航空機の操縦には機種ごとに操縦免許が必要だ(この事実は、テレビ番組「ガイアの夜明け」が取り上げるまで当ブログ管理人も全く知らなかった)。B747とA380では別々の操縦免許が必要だし、同じボーイング社製の機種でも、B747とB777では別の操縦免許が必要となるのである。航空業界で、乗務員のストライキが高い闘争力を持つ背景にはこのような制度があるわけだが、一方で、乗務員にとっては、新型機種が導入されるたびにその機種の操縦免許を受けるため勉強しなければならないという厳しい世界でもある。

そして、ジャンボ機には操縦席が2箇所あり、左右どちらの操縦席からでも同じ操縦ができるという事実もあまり知られていない。原則としては、機長が左、副操縦士は右の操縦席に座ることになっているが、どちらに座っても操縦できる内容が変わるわけではない。航空会社によっては、副操縦士の機長昇格試験を兼ねたフライトでは、副操縦士が機長席に座って操縦を行うことさえあるのだ(実際、1985年に御巣鷹に墜落したJAL123便は、佐々木副操縦士の機長昇格試験を兼ねたフライトであったため、佐々木副操縦士が機長席に座っていた。墜落後、そのことが事故原因であるかのように報道したメディアが一部にあったが、ほとんどの航空専門家は左右どちらの操縦席からも同じ操縦ができることを根拠に、こうした報道を否定している)。

このことは、他の交通機関と異なり、航空機では副操縦士は機長と同じ権限を行使できるとともに、運行上も同じ責任を負い、機長に万一の事態が発生した場合は直ちにその役割を全面的に引き受けなければならないということを意味する。パイロットは風邪薬を服用するだけでも乗務できないし、機長と副操縦士は、飛行中に2人揃って食中毒になる事態を避けるため、フライト前には食事も決して同じものを摂らないという。航空業界では、副操縦士は常に機長と同じ覚悟で乗務し、乗客の安全を直接支えているのだ。

「機長さえしっかりしていれば、少しくらい副操縦士なんて解雇したってかまわない」という考えの方がいるとしたら、そうした考えは直ちに改めてほしいと思う。新型機種が導入されるたび、その機種の操縦免許を受けるため機長と同じように勉強し、いったん乗務すれば機長と同じ権限を行使でき、運行上も同じ責任を負っている副操縦士を大量に解雇することは、直ちに安全崩壊につながる。

くどいようだが、経営危機のさなかに自民党への政治献金などの乱脈を続け、その責任も取らないまま大量解雇を行おうとしている恥知らずの経営陣に、改めて強く警告する。23年前、国鉄で引き起こされた差別解雇は、不完全な形ではあるが司法の場で断罪された。差別解雇をした下手人たちは、尼崎事故による107名死亡の罪で今、法廷に引き出されている。航空労働者はみずからの名誉にかけ、最後まで事故だけは防ぐよう努めるであろうが、君たちがもしこれでも解雇を強行するなら、航空労働者は、全労働者の名において、何十年かかっても君たちへの告発を続けるであろう。

そして、「自分たちの過去の行動なんて、世間は数年もすれば忘れてくれる」と君たちがもし思っているなら、後悔することになると警告しておこう。なにしろ当ブログと安全問題研究会は、25年前、御巣鷹に散った520名(そして、1名に数えられることもなく散った胎児1柱)の無念さえ今も決して忘れていないのだ。
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