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【転載記事】福島の児童、なぜ甲状腺がんにかかりやすいのか?

2014-02-21 22:55:40 | 原発問題/一般
福島の児童、なぜ甲状腺がんにかかりやすいのか?(人民網日本語版)

 福島県で甲状腺がんと診断されている児童数が33人に達し、昨年11月の26人から7人増加した。福島県の児童の間で、なぜ甲状腺がんが多発しているのだろうか? 科技日報が伝えた。

 甲状腺がんと放射線量の間にはどのような関係があるのだろうか? 放射線量の安全範囲は何ミリシーベルト以内なのだろうか? なぜ児童の方が発症しやすいのだろうか? 記者はこれらの疑問を巡り、このほど解放軍総病院第一付属病院腫瘍一課主任、博士生指導員の肖文華氏と、北京大学第一医院血液内科主任医師の王文生氏を取材した。

 ◆放射線量と甲状腺がんの密接な関係

 肖氏は、「甲状腺は人体で最大の内分泌腺だ。甲状腺ホルモンは甲状腺から分泌されるホルモンで、人体の正常な成長・発育を維持する非常に重要な要素だ。ヨウ素は甲状腺ホルモンを分泌する上で必要な原料だ。ヨウ素の含有量と甲状腺がんの間には、直接的な関連性がある」と指摘した。

 肖氏は、放射線量と甲状腺がんの高い関連性について、「甲状腺は放射線に直接さらされるが、これは重要な要因だ。それから甲状腺がんは幼児期に接触した放射線量と関連しており、接触した年齢が早いほどがんの発症率が高まり、発症する年齢が低くなる。日本の放射能汚染は、児童に大量の放射線を浴びせた特殊な例だ」と語った。

 ◆ヨウ素131が原因か

 王氏は、「福島の甲状腺がんの発症率が上昇しているのは、原発の放射能汚染により、ヨウ素131という大量の放射性物質が出たためかもしれない。これはヨウ素の放射性同位体で、甲状腺はこれを吸収すると損傷を受ける。放射線をどれほど浴びればがんになるかについては具体的な数値がないが、医学界では浴びる量が増えるほど危険性が高まるとされている。甲状腺ホルモンは成長・発育の維持、代謝促進などの多くの重要な機能を持つ。甲状腺はヨウ素を利用し、甲状腺ホルモンを生成する。ゆえにヨウ素131が甲状腺ホルモンの原料として甲状腺に吸収された場合、発生する放射線が甲状腺の細胞の染色体を傷つけ、深刻な場合は染色体の断裂を引き起こす。人体には染色体の自己修復能力が備わっているが、修復の中でミスが発生した場合、正常な細胞が悪性の細胞に変わり、甲状腺がんの原因になる。甲状腺上の皮膚の細胞が悪性腫瘍に変化した場合、甲状腺がんと呼ばれる。甲状腺のリンパ節の細胞が悪性腫瘍に変化した場合は、甲状腺リンパがんと呼ばれる」と説明した。

 実験でX線をラットの甲状腺に照射すると、甲状腺がんを引き起こし、細胞核の変形、甲状腺ホルモンの生成の大幅な減少により、がんを引き起こすことが可能だ。また甲状腺を破壊し甲状腺ホルモンを生成できなくすると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が大量に分泌される。TSHは甲状腺の濾胞の増加を促し、甲状腺濾胞細胞の発がんを促す。

 ◆免疫機能が低いほど発がん率が上昇

 肖氏は、「甲状腺がんの主な治療法は手術で、核種の使用、ヨード治療などを補助とする。甲状腺がんの手術には甲状腺そのものの手術と、頸部リンパ節の除去がある。甲状腺の切除範囲については定説がなく、最小で辺葉の切除、最大で甲状腺全体の切除となっている」と話した。

 王氏は、「体内の一部の細胞が腫瘍になったとしても、悪性の腫瘍になるとは限らない。体内の免疫細胞の監視機能は、悪性に転じる細胞に対しても重要な働きを持つ。大多数の腫瘍は、高齢者の間でよく見られる現象だが、これは免疫機能の低下と直接関連している。原発の放射能汚染を受けた児童が甲状腺がんにかかりやすいのは、児童の細胞増殖が旺盛で、放射線に対して敏感であることと、免疫機能がまだ完全に発育していないことと関係している。児童がウイルスに感染しやすいことがその一例だ」と語った。(編集YF)

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この記事は、「人民網」日本語版に2014年2月20日付で掲載されたものであり、「人民網」は「人民日報」(中国共産党機関紙)の系列である。つまり、中国共産党・中国政府直属の報道機関だ。

言うまでもなく、中国は核保有国であり、中国政府の立場が「核兵器維持」であることは間違いない。その中国で、放射能の健康被害に関することを、研究者が中国政府直属の媒体に発表することができるのである。先日、報道の自由度において日本が前年の53位から59位にランクを下げたこと、各国を5段階に分けた分類で日本が上から2番目の「満足できる状況」から主要先進国で唯一、3番目の「顕著な問題」のある国に転落したことが報道されたが(参考記事)、日本では政府系の媒体には原発推進、健康被害は「たいしたことはない」とする立場の御用学者しか記事を発表できないことを考えると、もはや日本の学術界の自由度は中国をも下回る事態になった、といえるだろう。

中国では、今、中国共産党内で党員同士が議論するのにはかなりの自由が保障されている。共産党支配体制の転覆を意図したものでない限り、政府批判もかなり自由にできる(もっとも、何が政府転覆に該当するかを判断するのが党中央だからアテにならないが)。昨年の全人代では中国政府の大気汚染対策に対し、採決で2割近い反対票が出たとも伝えられた。日本人は、何かというとすぐ中国を「途上国」扱いにして見下すが、「政府系の媒体に学者が政府見解と異なる見解を発表する自由」に関して言えば、今、完全に日本より中国のほうが上であることをこの記事は明らかにしてくれた。

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