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若者よ、福島を出よう~地元誌の貴重な提言

2012-11-25 23:18:00 | 原発問題/一般
巻頭言~ムダなことをしているのかもしれない(政経東北11月号)

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 環境放射線量は、県北保健福祉事務所(福島市御山町、10月23日9時)0・72μSv/時。近くの信夫山公園には「利用は1日1時間程度にして下さい」という案内板が設置してある。少し離れた小鳥の森駐車場(福島市岡部・渡利)に線量計が設置してあり、24日9時の数値は1・48μSv/時。ここにも信夫山と同じ案内板がある。

 これまで高い数値を示したのは、霊山・日枝神社の3~4μSv/時(5月17日)、磐梯山・弘法清水の6~7μSv/時(5月24日)。そこに注意を喚起する標識はなかった。おそらく、もっと数値の高いところが旧住地域内にたくさんあるに違いない。なぜ、国や自治体が詳しく調べて立ち入り禁止にしないのか分からない。

 大震災・原発事故から1年8カ月、環境や土壌や食べ物の放射能に、われわれは鈍感になっているような気がする。

 どうしようもない現実があるのは否めない。例えば、除染。昨年から今年にかけて柿の木を除染したものの、あんぽ柿の生産を自粛することになった。何年経ったら安心して生産できるのだろうか。除染しても再び数値が上がるという話もよく聞く。原因は分からないが、何らかの遮断効果や風による移動などが考えられるほか、除染の効果が低いことなども挙げられる。もしかすると、われわれはムダなことを繰り返しているのかもしれない。

 国・東京電力はそれを承知で、だらだら除染しているのではないかと疑っている。その理由は、金のかかる根本的な解決(すなわち移転に伴う保障)を避けるためである。

 ムダと言えば、農産物の輸出である。汚染されていなくても、外国人がフクシマ産を恒常的に買うとは考えにくい。おそらく、輸出額より関係者の渡航費など販促コストの方が上回っているはずだ。売れない農産物をつくり続けるのはむなしい。国・東京電力の対応を待っていたら勤労意欲を失い、貴重な人生を棒に振りかねない。

 だから、あえて言う。若い人は福島を出よう。大人も仕事を求めて福島を出よう。残った人は放射能に注意しながら、悔いのない人生を送ろう。

 いつ戻れるか分からない中で、自治体の実態がないのに自治体を名乗り、選挙をやるのは違和感がある。首長、議員、職員の待遇が従前通りというのも理解できない。そこに住んでいるなら、そこの自治体に住民票を移し、庁舎などをつくるべきでない。もちろん、保障は一丸となって求めていく。
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「東北圏と中央を結ぶユニークな政治経済情報誌」と自分で標榜しているように、「政経東北」誌のスタンスは他誌とはかなり変わっている。宮城県内でも一部の書店で販売されているものの、実際には福島県内だけを購読対象エリアとして想定している雑誌が、福島県民の数を減らし、自分の存立基盤を脅かすことにもつながる避難を勧めるというのは極めて珍しい。しかし、福島県内の客観情勢から言えば、この指摘は正しい。中通りの大半の地域はチェルノブイリの基準を当てはめれば避難対象区域であり、本来、人など住んではいけないところなのだ。

『国・東京電力の対応を待っていたら勤労意欲を失い、貴重な人生を棒に振りかねない。だから、あえて言う。若い人は福島を出よう。大人も仕事を求めて福島を出よう。残った人は放射能に注意しながら、悔いのない人生を送ろう。』という指摘は、まさにこの間、当ブログが抱いていたモヤモヤ感をすっきりさせてくれるものだ。除染にしても、他地域の人たちから汚染食品を出荷する加害者呼ばわりされ、汚染を気にしながら行う農作業にしても、ほとんど人生の無駄遣いに近い。

『国・東京電力はそれを承知で、だらだら除染しているのではないかと疑っている。その理由は、金のかかる根本的な解決(すなわち移転に伴う保障)を避けるためである』というのはどうだろう。飯舘村では、除染に3000億円以上の経費がかかると試算されている。一方で、飯舘村は1700世帯しかない小さな村だから、移住のために1世帯1億円ずつ配っても除染の半額で済む上、効果が出るかどうかもわからない除染と比べて移住は確実に住民を被曝から守る効果がある。現状ですらそのような状態なのだから、今後、効果が上がらないとわかっているのにだらだら除染を続ければ、結果として福島県全体で見ても移住より高くついた、ということになりかねない。

『いつ戻れるか分からない中で、自治体の実態がないのに自治体を名乗り、選挙をやるのは違和感がある。首長、議員、職員の待遇が従前通りというのも理解できない』という指摘もその通りである。全域避難となった町村は住民サービスも公共事業も一切できないのに自治体を置き、選挙で首長や議員を選ぶ。避難で農家は農地を失い、サラリーマンは失業し、安定収入のない状態で日々の暮らしにも事欠く状態なのに、労働者の年収の何倍もの議員歳費を、ほとんど何もすることのない議員が当然のように受け取っている。仮設住宅に住んでいる住民からすればやりきれないだろう。「そんなことに使う無駄金があるなら被災者のために使え」と、被害を受けなかった当ブログでさえ叫びたくなる。

地方自治法第94条に、驚くべき条文がある。「町村は、条例で、…議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる」という規定だ。市は議会を必ず置かなければならないが、町や村は、必要を認めなければ議会を置かなくていいのである。ロクに仕事もしていないのに、穀潰しのように税金を浪費する避難町村の議会などいっそ廃止してはどうか。代わりに有権者総会を置き、有権者にいくばくかの報酬を支払いながら、所属する自治体の予算や条例を直接決めてもらう。そのほうがはるかに有益で適切な決定を下せるのではないかと思う。

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