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若い頃に楽しめなかった作品を40歳を越えて理解する

2015-11-20 20:24:53 | 音盤ノート
The Sundays "Static & Silence" Parlophone/Geffen, 1997.

  ネオアコ。個人的には発売時にすぐ購入したものの、気に入らずにすぐに売り払ってしまったアルバムである。先日近所のブックオフで280円で叩き売られているのを発見し、久々に聴きたくなってまた買い直してしまった。ザ・サンデイズはすでに活動を停止している1990年代の英国のロックバンドで、本ブログではデビュー作をかつて紹介したことがある。

  前二作にはあった爽やかで疾走感のある曲が無くなり、ただでさえ地味なバンドだったのにさらに地味に聴かせるアルバムである。ただし、一曲目のシングル曲'Summertime'だけはワウワウギターにホーン風のシンセが入るファンキーかつポップな曲で、かなり浮いている。もう一つのシングル曲'Cry’も、モータウンやフィラデルフィアソウルを思わせる泣きのバラードとなっており、ブラックミュージックの影響をかすかに匂わせている。あとはミドルテンポまたはスローテンポのしんみりとしたバラードが延々と続く。バックはギターのコードストロークとアルペジオが中心で、曲によってはディストーションギターや、ホーンまたはストリングスが入りカラフルになることもある。メロディは良く練られており、低めの音程から入って最後には高域で歌いあげるという、女性ボーカルの広い声域を使った起伏のある旋律となっている。でも、地味だという事実は動かせない。

  面倒なことに、英国盤は11曲、米国盤は12曲、日本盤は14曲と収録曲が異なる。米国盤のボーナストラックはどうでもいい曲だが、日本盤に収録されたシングルB面曲'Through The Dark'は珠玉の一品なので、日本盤で聴くことをお勧めする。しかし、英米両盤で最後の曲となる'Monochrome'はアルバムの締めにふさわしい名曲なのだけれども、日本盤では11曲目に収録されており、その後が冗長に感じられるのが少々の難点。若い頃に聴いたときは暗い退屈な曲が続く酷いアルバムだと思ったが、今聴いてみるとペーソス溢れる良いアルバムである。歳はとってみるもんだな。
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