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頑健なリズム隊と病的なツインギターという組合せの妙

2012-08-04 07:27:00 | 音盤ノート
Marc Johnson "Bass Desires" ECM, 1986.

  ジャズ。けれども、音はボーカル抜きのロックバンドという趣き。カントリー的要素もある。John ScofieldとBill Frisellによる二台のギターバトル作品で、Peter Erskine(d)とジョンソン(b)がバックを支える。

  リーダーのマーク・ジョンソンは最晩年のビル・エバンス組メンバーだが、この初ソロ作ではその影を微塵も感じさせない。哀切感や叙情感はゼロで、雲一つ無い晴天の下でのような、健康でドライな演奏である。アースキンのドラムはシャープでスリリング、ジョンソンのベースもかなり引き締まったものとなっていて手堅い。一方のギター二人は音色もフレーズも珍妙でどこかズレている。フリゼルはエフェクトをかけてレイヤー的な演奏をするのだが、時折前面に出てきて奇妙な音色のソロを聴かせる。もう一人、変態と冠されるスコフィールドの方は、うねうねと続く掴みどころのないギターソロを披露するものの、そのズレ方は通常より控えめかもしれない。

  このように、健康的で骨太なリズム隊の上で、どこか神経症的な二台のギターが這いずりまわるという興味深い作品となっている。この明るさと病気の結合の様を、アメリカ的狂気とでも言おうか。米国ECMによる“Touchstones Series”の一つとして、紙ジャケ廉価盤でも入手できるようである。
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