ひろの東本西走!?

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いっぽん桜(山本一力)

2005-06-19 10:30:00 | 17:や行の作家
ipponzakuraいっぽん桜(新潮社)
★★★★☆:90点

これぞ山本一力ワールド。素晴らしいです。
絶対のオススメ。
なかでも「萩ゆれて」はこれまでに読んだ山本作品の中でも最高・極上の部類。
通勤の電車内で不覚にも涙がこぼれそうになりました。

良いシーンが多すぎると、かえって感想が書きづらいですね。

兵庫とりくが夫婦になる決心をする前後が非常に感動的なのですが、あえて主人公以外を少しだけとり上げると、

   母や親族から祝福されない兄の祝言。
   その席にただ一人列席し、懸命に相手側の客をもてなす妹の
   雪乃。
   そんな雪乃の姿を見て、彼女が一緒に暮らすなら、
   娘(りく)は幸せになれると安堵する両親(玄蔵とおはま)。

   自分が拒んでいる嫁・りくのひたむきな優しさに思わず高枕を
   濡らす志乃。
   「そなたにはつらい思いをさせましたが、詫びを伝えることは
   間にあいました。」

人(家族、好きな人、友・・・)を思う心、思いやる心が実に丁寧に
描かれた作品です。
土佐弁も味わいあり。

「いっぽん桜」
   現代のサラリーマンにも当てはまる物語。
   自分が長年勤めた大店への未練、執着、つまらないプライド。

「そこに、すいかずら」
   三千両の”ひな飾り”。
   二度の火事で両親を失い、店も焼け落ちてただ一人残された
   娘・秋菜。
   紀文、再登場。良い味を出しています。

「芒種のあさがお」
   決まり事にうるさい姑が亡くなって・・・。
   この作品も良いのですが、全体のレベルが高くてちょっと割を
   食った感じですか。

山本作品は偉大なマンネリと評されることもあるようですね。
それも結構。僕は断然山本作品を支持です。

これからも一力はんについて行きます。