ひろの東本西走!?

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深川黄表紙掛取り帖(山本一力)

2005-06-12 22:59:00 | 17:や行の作家
hukagawakibyoushi深川黄表紙掛取り帖(講談社)
★★★★:80点

様々なやっかいごとの解決請負を裏稼業とする4人組。
ただし、裏稼業といっても殺人などとは無縁で、頭脳とアイデア勝負なのが小気味良し。
主人公は蔵秀であろうが、裏稼業グループ4人組にしたことは面白い反面、かえって各人の個性の際だち等が若干書き込み不足と感じらましれた。その点で物足りなさあり。
登場人物(親分・猪之吉:山本作品ではかなり重要な役どころとなってきました)や題材(金貨の改鋳)など、他の作品と結構色々な面でつながりがあります。

全5編中、中盤の3編「水晴れの渡し」「夏負け大尽」「あとの祭り」がなかなかの出来映え。
「そして、さくら湯」では何と柳沢吉保が登場。
これも良かったのですが、やや味わいに乏しかったかな。

爪田屋鹿助、番頭の靖兵衛、船宿のあるじ善右衛門、冬木屋正左衛門・・・。
この作品では主人公の蔵秀たちよりも、彼らの人となり、考え方・行動の方が印象的でした。
特に、自分だけがぬけがけすることを恥じ、仲間のために大金をはたいて大勝負にかける善右衛門が良かったです。

紀文こと紀伊國屋文左衛門登場。
成り上がりの彼は、深川の伝統と粋の素晴らしさを見せつけられ、くやしい思いもしますが、
何とか深川にとけこもうとする姿がいじらしい。
彼も重要人物になっていくようです。

大田屋精六、由之助父子の強欲さと負けっぷり(まだ完全に負けと決まった訳ではありませんが)が見事。