大衆迎合主義自民党候補と反米主義革新候補





 仲井間知事が最初の知事選に挑んだのが2006年である。その時は「向こう3年間で普天間基地を閉鎖する」と公約している。そんな実現不可能な公約をやったのは、この公約を最初にやったのが伊波前宜野湾市長であったが、このキャッチフレーズで市民の支持が革新系の候補者に流れるのを避けるために掲げた公約であった。
 去年の知事選では「県外移設」を公約にした。それも革新系の名護市長が主張し、県知事に立候補した伊波候補も「県外移設」にした。「県外移設」を主張してこなかった。しかし、「県外移設」を公約しないと落選するかもしれないという推測から仲井間氏はまたもや当選するのを目的に「県外移設」を公約にしたのだ。
「3年以内普天間基地閉鎖」も「県外移設」も革新系の政治家が主張したが、選挙になると自民党系の仲井間氏も公約した。仲井間知事は知事になるためにはなりふり構わない無節操な政治家である。

 自民党の支持層は経営者が中心である。革新系は自治労が中心である。マスコミは革新系であり、革新系に有利な情報を記事にする。自治労は反基地運動などをやって県民の支持を得ることができる。しかし、自民系は革新系のような県民の支持を得る活動ができない。沖縄の自民党は革新系の大衆運動と、新聞に掲載する政治コラムのほとんどが革新系の知識人であることに危機感を抱いている。革新系には大学教授も多く、彼らの政治理論に自民党の政治家はコンプレックスを抱いているだろう。

 「普天間基地閉鎖」「県民移設」のキャッチフレーズがマスコミで盛り上がると、当選を最優先している自民党は「普天間基地閉鎖」「県民移設」を公約にして、革新候補者との対立をぼかす戦術に出る。「県外移設」に賛成の県民が自分のほうに投票するのを期待してだ。
 自民党の「県民移設」公約は本心ではなく当選を目的にした大衆迎合主義である。仲井間知事の最近の口癖は「辺野古移設困難」である。これは革新政治家稲嶺名護市長のキャッッチフレーズを真似たものである。

 仲井間知事が「辺野古移設困難」を何度も発言しているのをとらえて、革新系の伊波氏が「私たちが訴える『県内移設反対』と、知事が唱える『辺野古移設は困難』は、同義語ととらえている」と仲井間知事を引き込もうとすると、仲井間知事は「伊波氏とは、考え方が基本的に違う」と言い、「言葉は似ていても内容と考えは違う」と伊波氏とは違うことを主張している。主張はしているがどこが違うのか明確にはしない。できるはすがない。選挙で勝つために革新側との対立をぼかすために「県外移設」を主張したのだから。

 仲井間知事の本心は辺野古移設賛成である。理由は自民党支持の中核である建設業者が辺野古移設をよだれを垂らして待っているからだ。だから、政府との裏取引では辺野古移設を容認したのだ。もし、仲井間知事が「県外移設」反対を一歩も譲らない態度であったら、一括交付金で500億円アップはあり得ないことだ。仲井間知事が辺野古移設を内密に了解したから500億円アップがあったのだ。

 宜野湾市長選候補の佐喜真氏は「移設先は基本的に『県外』だ」と県外移設を主張しているが「基本的」という言葉で「県外移設」をぼかしている。佐喜真氏は「県外」を主張すれば普天間基地の「固定化につながりかねない」と危惧しているからであるが、科学的には正しい判断であるが、それを口にすることができない。

 経営者や建設業者の献金や支持を受けている自民党系の佐喜真候補者は本音を隠して、市民の支持を得るために普天間基地県外移設を主張し、革新系の伊波候補者はアジア情勢と普天間固定化を無視していたずらに普天間基地の県外・国外移設を主張する。

 市民生活の向上を真剣に追及する橋下大阪市長とは政治家として雲泥の差である。基地問題は日米両政府を相手にしたものであり、県の主張が簡単に徒折るようなものではない。それに米軍基地問題は日本・アジアの国々・アメリカに関する問題である。沖縄県のエゴが通用するはずがない。米軍基地問題で日米政府と交渉するなら日米政府と同じように日本・アジアの国々・アメリカの問題に目を向け、日米政府と同じレベルで交渉するべきである。
 
 沖縄は米軍基地があるから戦争に巻き込まれるという理屈を国際情勢の専門家に言えば大笑いされるだけだ。
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