基地の金網に囲まれた古堅小学校




「アメリカへ米軍基地に苦しむ沖縄の声を届ける会」の訪米団団長の山内徳信氏は長年読谷村長を勤めた人である。同じ参院議員の糸数慶子氏も読谷村出身である。ひとつの村から二人も国会議員が居るのはすごいことである。
 読谷村は昔から革新の地盤である。保守系の政治家が村長になったことはないし、国会議員になったこともない。いわゆる、読谷村は革新の砦である。去年9万人(主催者発表)県民大会をやった村として記憶にある人もいるだろう。
 山内徳信団長は「新しい基地を造らせないと、県民が反対し、県議会が全会一致で決議しても政府は造るという。一体、これは民主主義社会の政治、外交なのか。一番大事なのは県民の民意だ」と政府を批判した。

 社民党は旧社会党の中のごりごりの社会主義である。柔軟な社会主義の政治家は民主党に合流した。旧社会党は、昔は北朝鮮を理想国家であるといっていた。在日朝鮮人の北朝鮮への移住を積極的にバックアップしたのが旧社会党であった。北朝鮮はいわゆる社会主義国家であり一党独裁の国である。
 中国、旧ソ連、北朝鮮などの社会主義国家を支持していたのが共産党、旧社会党であり、沖縄の社会大衆党(社大党)であった。彼らは米軍基地の駐留に反対しているだけではなく、資本主義の自由主義経済に反対していた。いわゆる反米主義であり、親社会主義国家であった。

 米軍基地があるから沖縄は戦争に巻き込まれると革新政治家は昔から主張していた。子どもの頃はそれを信じていた。沖縄を攻撃する国は中国だと信じていたが、不思議なことに革新政治家は中国が攻撃するとは一言もいわなかった。
 学校の先生は中国のような社会主義国はアメリカのよう恐慌がないとか、政府が農民のために十年計画をやるから豊かになるとかと中国を誉めていた。先生も革新政治家も中国の悪口は言わなかったから、中国が沖縄を攻撃することはないだろうという考えと革新政治家が米軍基地があるから沖縄は戦争に巻き込まれると言っているので、沖縄を攻撃するなら中国しかないという考えが交錯して、どのように理解すればいいか分からないで高校の頃は悩んだものである。

 大学に入ってからソ連、中国、北朝鮮などの一党独裁国家である社会主義社会には民主主義はないということがわかった。沖縄の革新政治家の発言には見せかけの民主主義はあるが、本当の民主主義はないことがわかってきた。アメリカは労働者を搾取する資本主義であり、帝国主義国家であり、民主主義国家とは認めないのが沖縄の革新政治家である。

 元読谷村長である 山内徳信団長は、「新しい基地を造らせないと、県民が反対し、県議会が全会一致で決議しても政府は造るという。一体、これは民主主義社会の政治、外交なのか。一番大事なのは県民の民意だ」と述べている。県民が反対し、県議会が全会一致しても国が辺野古基地をつくるのも民主主義である。県民は北朝鮮、中国を、そしてアジア情勢を真剣に考えた上で反対しているのか、沖縄の革新政治家は日本・アジアのことを真剣に考えているのか。政治家や知識人は県民にアジア情勢を正確に伝えているか。

 鳩山元首相は首相の立場になり日本全体、アジア全体を見なければならない立場に立った時、自分の論理が覆され、「県外移設」を断念しなければならなかった。普天間基地問題は沖縄県の側からだけで判断できるものではない。普天間基地問題は日本国・アジアの問題であり、普天間基地が必要であるか否かを判断するには日本国の最高責任者である首相の立場に立たなくてはならない。
山内徳信団長は「一番大事なのは県民の民意だ」というが普天間基地は「県民の民意」で決められるようなものではない。国全体で決めなければならない問題だ。国民世論では県内移設に賛成が過半数を超えている。「県外移設」に賛成する国民は10%くらいだ。自分の県に移設していいと思う国民は恐らく0%に近いだろう。
 辺野古区だけは全国の中で唯一普天間基地の移設を受け入れていることを忘れてはならない。


 読谷村に古堅小学校がある。9万人県民大会が行われた読谷飛行場の南側にある小学校である。昔は小中学校であり、私が九年通った母校である。








 見ての通り古堅小学校は金網に隣接している。右側が古堅小学校の運動場で左側が基地である。金網の上のほうは三本のバラ線が引いてあり、飛び越えようとするとバラ線の棘に傷つけられる。しかし、野球やバレーなどをやっていると、ボールが金網を飛び越えて入ってしまうことがある。その時には金網を越えてボールを取りに行かなければならなかった。バラ線をテントに使うカバーのような厚い布で覆ったりして、飛び越えるのを工夫したものだ。何度も金網越えをやった。金網越えは犯罪行為であるが、犯罪行為をやらなければならない学校であった(苦笑)。

 この写真には三本のバラ線を捲いているバラ線が見える。前より飛び越えるのが難しくなったようだ。
 

 小学校の西側である。向こうに見えるのがトリイステーションで勤務しているアメリカ兵の宿舎である。アメリカ兵たちは向こう側から下りてきて、上の写真の左側のビルで仕事をする。そのビルには窓がない。分厚くて不気味な大きい建物である。
 トリイステーションはアジア最大の通信基地である。アジアや世界からの情報が不気味な大きい建物に集まると子どもの頃から聞いていた。アメリカ軍にとって不気味な大きい建物は非常に重要なものであり、建物の下は核シェルターがあると子どもの頃には噂したものだ。子どもの頃には夕方になるとカービン銃を肩に掛けたガードマンが軍用犬(シェパード犬)を連れて見張りをしていた。

 基地に隣接する小学校としては普天間第二小学校が有名であるが、古堅小学校は普天間第二小学校より金網に囲まれている。

「新しい基地を造らせないと、県民が反対し、県議会が全会一致で決議しても政府は造るという。一体、これは民主主義社会の政治、外交なのか。一番大事なのは県民の民意だ」と山内団長は主張する。しかし、山内団長の民主主義思想を疑う。
 
 山内団長の民主主義思想を疑うのは、山内団長は長い間読谷村の村長を勤めたが、村長時代に古堅小学校を移転しなかったからである。現在も、山内団長は米軍基地のせいで沖縄の人々が苦しんでいると主張しているが、古堅小学校が米軍基地の金網に囲まれていることには平気なようである。

 民主主義の根っこには子どもの人権を守ることがある。楚辺から古堅小学校は遠く、楚辺の小学生は毎日長い坂を上り、トリイステーションの前を通って古堅小学校に通っている。
 楚辺の子どもたちにとって古堅小学校は通学に不便である。そして、小学校の半分が金網に囲われている。このような異常な状態を放置している山内団長に民主主義思想は欠落していると考えざるをえない。

 米兵による交通死亡事故の時はトリイステーションで猛烈な抗議大会をやった。渡米には被害男性の遺族関係者も同行するようだが、山内団長も糸数参議員も古堅小学校が基地に隣接している問題は放置したままである。

 革新政治家をつきつめれば反米主義である。米軍基地に反対しているのも反米主義だからであり、純粋な反戦・平和主義だからではない。
 山内団長と糸数参議員は辺野古への移設に反対しているだけではない。沖縄の全ての米軍基地に反対である。山内団長と糸数参議員は全ての米軍基地に反対であることを主張するべきであり、「新しい基地を造らせない」と他の基地は容認するような発言をするのは間違ったメッセージである。

 アメリカ軍が沖縄に駐留している理由は社会主義国家の中国と北朝鮮が存在しているからであるとアメリカは考えている。山内団長、糸数参議員はアメリカの主張に反論できるだろうか。中国は安心できる国であり、決して日本や沖縄に迷惑になるようなことはしない。だから沖縄に米軍基地は必要でないと主張するだろうか。それはあり得ないことだ。山内団長、糸数参議員の口からは中国や北朝鮮のことは一言も出ないだろう。沖縄県民か基地被害で苦しんでいる、辺野古への移設反対は県民総意であるとアメリカとはかみ合わない話をするだけだろう。

 なんの効果もないアメリカに行くより、古堅小学校の移転を考えてほしい。

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