翁長知事を凍らせる菅長官の「査定をする」</

翁長知事を凍らせる菅長官の「査定をする」

 翁長知事は希望していた安倍晋三首相や菅義偉官房長官らとの面会はできないで、沖縄に帰った来た。
面会できたのは山口担当相であったが面会時間はわずか14分間であった。2015年度予算案の沖縄振興費について、知事が「所要額をお願いしたい」と要望し、山口氏は「一緒に頑張りましょう」と答えたというが、たった14分の面会は単なる形式的なものでしかない。安倍政権が翁長知事に対して冷淡であることを知った上京であった。

翁長知事は関係閣僚と会えなかったことについて、内閣発足直後で閣僚らが多忙だったとして理解を示しつつ「残念ではある。次回上京したときにぜひ会いたい。意見交換ができればありがたい」と述べたが、会えなかったのは閣僚が多忙だったからではなく、翁長知事が辺野古移設反対を主張していて、会っても辺野古問題が解決の方向に進まないのが見え見えだったからである。翁長知事に面会するのは無駄な時間を過ごすからである。

翁長知事が知事選挙で圧勝したのは翁長知事の「賢い知恵」と「流暢な説得術」であったが、それが選挙選で通用したのは沖縄二紙の応援したからである。
翁長知事の「「お互いの要求は腹八分六分に押さえて沖縄のアデンティティーで一緒に闘おう」というオール沖縄論は沖縄県知事を勝利するための「浅知恵」である。「浅知恵」で県知事選で大勝利した翁長知事は「浅知恵」が安倍政権にも通用すると思っているようだか、それは翁長知事のうぬぼれである。

翁長知事は安倍政権との関係構築について「一部誤解もあるようだが、会って話せば、国益、県益はそう矛盾しない(と分かってもらえる)」という自信があるようだ。翁長知事は「一部の誤解」をお得意の「浅知恵」的鞭撻で安倍首相を説得しようとしているかも知れないが、翁長知事の「浅知恵」が通用する安倍首相ではない。
知恵でも浅知恵でも安倍政権のほうが翁長知事よりずっと上である。
山口沖縄担当相は翁長知事との会談で失業率や雇用問題の改善を挙げ「上り調子になっているので、ぜひともそれを引き継いで沖縄の経済発展のために頑張っていただきたい」などと述べたが、それは交付金を満額もらうには翁長知事も(安倍政権を支えるように)頑張らなくてはならないですよと翁長知事に暗黙の圧力をかけているのだ。
山口氏は会談に先立つ記者会見では「消費増税を先送りし、財政的に厳しい」と語り、減額の可能性を示唆している。
もし、消費税先送りを減額の理由にすると翁長知事は反論できないだろう。
すでに減額を正当化する方法を安倍政権は考えているのだ。

菅官房長官は山口沖縄担当相より翁長知事の心を凍らせる発言をしている。

菅義偉官房長官は26日午前の記者会見で、2015年度予算案の沖縄振興費について「施行状況を含めて判断する。(過去の振興予算が)具体的にどのように使われたかをチェックする」と述べたのだ。前年当初からの削減の可能性を否定しなかったが、それは表向きのことであり、「チェック」すれば振興予算が無駄に使われたことが次々と暴露されるのは間違いがない。
沖縄振興予算は23年度には約2300億円だったものがどんどん増額して26年度には約3500億円になり、1200億円も増えたのである。莫大なお金は無駄遣いをしないと消化できない。
政府から派遣された一流の会計士がチェックすれば莫大な無駄遣いを見つけるだろう。

翁長知事は仲井間知事が承認した埋め立て申請をもう一度厳しく審査して瑕疵があれば取り消し、撤去すると繰り返し発言している。それに対する菅官房長官のお返しが振興予算の施行状況のチェックである。
翁長市長が埋め立て申請の審査を厳しくするといえばいうほど振興予算の施行状況を厳しくチェックすると菅官房長官は暗に翁長知事に忠告しているのである。
消費税増税の先送りと施行状況のチェックにより振興予算を削減する理由を正当化することができる。
翁長知事は安倍首相や関係閣僚を得意の弁舌で説得できると思っているが、相手は二枚も三枚も上手である。地方の知事が中央政府を弁舌で手玉に取ることなんてできるはずがない。

衆院選挙で自民党は圧勝し、291議席を得た。公明党と合わせると316議席となり安定政権を獲得した。国民の圧倒的な支持を得た安倍政権は自信に満ちている。念願の辺野古移設は確実に進めていくだろう。
翁長知事は沖縄県での知事選・衆院選の圧勝が安倍政権への圧力になれると思っているかもしれないが、それは大間違いである。沖縄では翁長知事派が圧勝したが全国では安倍派が圧勝したのだ。翁長知事が県内圧勝をバックに安倍政権に圧力をかけても安倍政権にとっては痛くも痒くもない。
冷静に考えれば沖縄の状況は今が最悪状態でありこれ以上悪くなることはない。辺野古基地建設を取り巻く状況も今が最悪状態であり、埋め立てを進めていけば状況は悪化するのではなく善くなっていく可能性のほうが高い。

翁長知事の「浅知恵」は安倍政権に通用しない。翁長知事にとって最悪の場合、振興予算は削減され、辺野古埋め立ては進むことになる。

翁長知事の「浅知恵」が通用しないのはまだいる。沖縄二紙と共産党である。
共産党は翁長知事のアイデンティティー論に賛同して翁長氏を支持したのではない。そもそも共産党の日米安保廃棄はイデオロギーであるとともにアイデンティティーである。共産党から日米安保廃棄を外すことはできない。ところが共産党は保守を自認し、日米安保に賛成している翁長知事を支持した。それは日米安保廃棄のアイデンティティーを共産党が捨てたからか。それはあり得ないことである。それでは沖縄の共産党だけは安保廃棄のイデオロギーを腹六分に押さえて翁長氏を支持したのか。共産党は一枚岩の政党であり沖縄支部と本部が分裂することはあり得ないことである。沖縄支部が安保廃棄を腹六分にすることは決してない。共産党はイデオロギーを少しも変更しなかったし腹六分にもしなかった。それではなぜ共産党は翁長氏を支持したのか。

原因を知るにはオスプレイ配備阻止運動の先頭に翁長知事が立った頃に話は戻らなければばならない。
当時那覇市長だった翁長知事は那覇市長選に確実に勝つ方法として、革新との対立点をなくすためにオスプレイ配備反対の先頭に立ち、オール沖縄を組織した。米軍基地反対はずっと革新が主張していて、革新の目玉商品といえるものだった。
オスプレイ配備に対する反対運動の中心は革新がなり、沖縄二紙が広報する係りになっている。革新と沖縄二紙がスクラムを組んだオスプレイ反対が那覇市長選でも革新の目玉になったたろう。
ところが翁長知事はオスプレイ配備反対運動の先頭に立った。そして、オール沖縄の東京行動の先頭にも立ったのである。革新の目玉商品を翁長知事が奪ったのだ。翁長知事との対立点を作り出せない革新は立候補を立てるのを断念した。仕様がないので対立候補を共産党が出したが、那覇市長選は思惑通り翁長知事が圧勝した。

オール沖縄は翁長知事が主張しているような保守と革新の沖縄アイデンティティーでひとつにまとまったものではなかった。オスプレイ配備反対はすでに革新が主張していた。翁長知事は革新が主張しているオスプレイ配備反対を保守であるにも関わらず主張した。翁長市長は革新と同じ主張をしたのだ。
革新はイデオロギーを腹六分にもしなかったし保守のイデオロギーと妥協したわけでもなかった。翁長知事が革新に歩み寄りの革新の主張に賛成したからオール沖縄を結成することができたのである。革新の心は全然変わらなかった。翁長知事のの心変わりで設立したのがオール沖縄であり、東京行動であった。そして、翁長知事の那覇市長選の圧勝であった。

知事選で革新が翁長知事を支持したのは、革新の統一立候補の候補者であった高良鉄美琉球大学教授では当選する可能性がなかったことと、翁長知事がオスプレイ配備反対、辺野古飛行場建設反対を公約にしたからである。
革新のイテオロギーもアイデンティティーも変化はない。変化したのは翁長知事のほうである。

翁長知事の「浅知恵」は安倍政権に通用しないが、本当は革新と沖縄二紙にも通用しない。

「浅知恵」に限界がきて、辺野古埋め立てを容認すれば沖縄二紙と革新は一斉に翁長知事非難を展開するだろう。翁長知事がとんなに「浅知恵」を絞って、埋め立て容認を弁解しても革新を納得させることはできない。
革新が翁長知事を支持したのは沖縄アイデンティティーでもなければイデオロギーを腹六分にしたからでもない。革新のアイデンティティーでありイデオロギーである辺野古埋基地建設反対に翁長知事が賛成したからである。だから翁長知事が辺野古基地建設を認めれば即革新は翁長知事から離れる。そして、沖縄二紙と革新は翁長知事非難を始めるだろう。

イソップ物語より、

昔、鳥の一族と獣の一族がお互いに争っていた。その様子を見ていたコウモリは、鳥の一族が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は鳥の仲間です。あなたたちと同じように翼を持っています」と言った。獣の一族が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は獣の仲間です。ネズミのような灰色の毛皮と牙があります」と言った。その後二つの一族間の争いは終わり、鳥も獣も和解した。しかし、幾度もの寝返りをしたコウモリはどちらの種族からも嫌われ、仲間はずれにされてしまい、やがて暗い洞窟の中へ身をひそめるようになった。

翁長知事はこうもり政治家である。
保守と革新が和解することはない。社会主義である革新は滅ぶ運命である。そこはイソップ物語と違うところであるが、翁長知事は正真正銘のこうもり政治家であるから、こうもりと同じ運命をたどることになる。
保守を自認し、革新にも言い寄り、二つの顔を持つ翁長知事であるが、それは県民を上手にだますことはできた。知事選に圧勝し、衆院選でも圧勝した。
しかし、こうもり政治は選挙には通用するが安倍政権には通用しない。革新にも通用しない。
安倍政権には見放され、革新から非難される時がやがてやってくる。その時は翁長知事だけでなく革新も衰退していくだろう。
沖縄防衛局の変更申請を翁長知事が承認した時が衰退の第一歩である。そのXデーは確実にやって来る。


2014/12/24 に公開

平成26年12月24日水曜日に放送された『沖縄の声』。本日水曜日では、「安倍政権­大勝の意義」、コラム「来年は三年計画最後の年、新しい闘いのはじまり」、「自民党県­連の革新の洗脳から覚醒し、解体出直しを」、この三つのテーマについてキャスターの又­吉康隆にお話いただきます。
※ネット生放送配信:平成26年12月24日、19:00~


出演:
 又吉 康隆(水曜日担当キャスター)
 大城 和桂子(水曜日担当キャスター)


沖縄の声


 次のニコ生放送配信:平成27年1月14日(水)です。

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