TPP問題・田中康夫批判





 小泉首相時代に中国脅威論がはびこっていた。中国の生産力が増大すると日本の企業は衰退してしまうと政治家も知識人も中国の脅威を吹聴していた。中国脅威論が席巻している中で小泉首相は中国の経済力が高まるということは中国に需要が高まるということであり、日本に新たなビジネスチャンスが生まれると中国脅威論を一掃した。
 小泉首相が予言した通り、中国の脅威的な経済発展は中国人を豊かにし、日本からどんどん輸入するようになった。現在は、中国の日本からの輸入は13兆円となり、アメリカを抜いて中国が最大の輸入国となっている。中国からの観光客も増大しているし、農作物や海産物も中国は日本から輸入している。

 TPPは関税をなくし、国の交流をしやすくするということであり、お互いにメリットになることが多いだろう。

 田中康夫氏は、TPPは貿易阻害協定だとTPPを否定しているが、小泉首相時代の中国脅威論と似ていて、やたらと恐怖を振りまいている。

  田中康夫氏は、「TPPは貿易自由化協定ではない。逆に貿易阻害協定。加盟国間の関税引き下げに伴うプラス効果と、非加盟国を排除するマイナスの効果を比較すべきだ」と延べ、TPPはブロック経済であり、TPPに参加すると中国を阻害すると述べているが、TPPに日本が参加しても、日本と中国の貿易は今まで通りに行われるのであって、日本と中国の関係が悪化するわけではない。

 アメリカは自由貿易主義であり、すべての国にTPPに参加してほしいと思っている。中国や韓国、台湾などの国がTPPに参加しないのはそれぞれの国の事情と思惑があって参加していなのであり、TPP参加国が拒否しているわけではない。むしろ、多くの国に参加してほしいのがTPP参加国の希望であり、TPPが中国を中心とする経済圏の確立を阻止するのが目的ではない。

 中国は貿易で有利になるために自国の貨幣である元の価格を為替相場に任せないで政府が安く設定している。為替相場に任せれば元の価格はもっと高くなるのに中国政府が安く設定しているから中国は貿易で莫大な黒字を出している。そのような中国と貿易しているアメリカは莫大な赤字を出している。それでも貿易重視のアメリカは中国と貿易を続けている。

 アメリカとしては中国がTPPに参加するのは大歓迎だ。TPPは自由貿易が原則であり、中国がTPPに参加するのならすべてのTPP参加国の貨幣は為替相場に任せているから、中国も他の国と同じ条件にするために元は為替相場に任せることになる。
 中国は元を為替相場に任せることが嫌だからTPPに参加することはしない。

  田中康夫氏は中国がTPPに対抗してEUとFTAを締結したら、自動車、高速鉄道で競うドイツが中間財の供給で圧倒的優位に立つと述べているが、日本もEUとFTAを締結すればいいのであって、TPPに参加しているからEUとFTA協定をしてはいけないという決まりはない。

 TPPへ参加することで、EUとFTAを提携できないということではないし、中国と貿易が滞ることもない。田中康夫氏の予想はTPPへの誤解を根拠にしている。
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