菅首相の最初の外遊がベトナム 感慨深い

菅首相の最初の外遊がベトナム 感慨深い
 
菅首相が初の外遊先に選んだのがベトナムであった。感慨深いものがある。
 ベトナムといえばすぐに脳裏に浮かぶのはベトナム戦争である。高校生の頃からベトナム戦争は激しくなっていった。嘉手納飛行場からはB52重爆撃機が飛び立ち南ベトナムに爆弾を落として帰って来た。嘉手納に行くときはベトナム人を殺しに飛び立つB52爆撃機をよく見た。
 アメリカ軍は敗北しベトナムから引き上げた。ベトナムは社会主義国家であるし日本とは対立関係にある。ベトナムを空爆したB52爆撃機は沖縄から飛び立った。ベトナム人は沖縄を憎んでいるだろう。だから、ベトナム人が沖縄にくることはないと思っていた。
 具志川でコンビニエンスストアを経営している時、夜になると店の側でで10人くらいの若者がたむろするようになった。彼らは外国語で話していた。沖縄の若者ではない。彼らの国を聞くとベトナムであると言った。ベトナム人が沖縄に来ることはないと思っていた私は驚いた。
 具志川には日本語学校があり、彼らは日本語を学ぶために沖縄に来ていた。ベトナム人を殺害するB52が飛び立った沖縄にベトナムの若者が来たことに戸惑いがあった。戸惑いはあったが嬉しかった。20年前のことである。
 
 ベトナムのことでもう一つ嬉しいことがある。ベトナムが環太平洋パートナーシップ(TPP)に参加したことである。ベトナムは社会主義国家である。民主主義国家とは対立関係にある。ベトナムはアメリカと戦争した国である。ベトナムがTPPに参加することは考えられなかった。しかし、ベトナムはアメリカがリーダー的存在であったTPPに参加したのである。
 民主主義国家のTPPは自由主義経済を基本としている。社会主義は独裁国家である。ベトナム政府にとって独裁支配に支障が生じる恐れがあるTPPである。しかし、ベトナム政府はTPPに加盟した。独裁支配より経済発展を優先させたのだ。
 社会主義国家だから中国との関係を優先してアメリカとの関係は敬遠すると考えると思うが、社会主義国家は協力しあうと思うのは間違っている。



ロシア連邦は近隣諸国を軍事力で制圧し、ロシアに従属させて拡大した。主従関係が存在していたのがソ連である。
ベトナムは2008年頃から、年率30%近い高インフレや通貨安といったマクロ経済の不安定化に苦しめられていた。原因は中国との膨大な貿易赤字にあった。鉱物や農産物など一次産品を輸出し、大量の原料、資本財、中間財などを輸入していたからだ。中国はベトナム経済を発展させるのではなく苦しめていたのだ。ベトナムが経済復興するためには社会主義国家中国ではなくアメリカを中心とする民主主義国家と関係を深めることだった。

 ベトナムがTPPに参加したのは嬉しかった。かつてアメリカと戦争をした社会主義国家ベトナムを迎え入れたアメリカと民主主義国家の寛容も嬉しかった。
 TPPはトランプ大統領によって米国が抜けた。成立が危ぶまれたが安倍政権の必死の努力でTPP11の成立にこきつけた。日本がTPPのリーダーになったのである。安倍政権を引き継いだ菅首相がTPP参加の社会主義国家ベトナムを最初の外遊先にしたのは意味深い。
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