三位一体改革、補助金削減 官邸主導で加速 各省割り当て「総仕上げ」正念場




2005年11月 9日 (水) 02:55

 来年度予算案の編成作業が大詰めを迎えるのを前に、小泉純一郎首相が構造改革のアクセルを踏み始めた。八日は、国と地方税財政の三位一体改革で積み残しとなっている補助金削減について、関係七省の削減割り当てを決めた。役所や族議員の抵抗で改革は後退するのが常だったが、「官邸主導」による改革の流れをいっそう鮮明にしている。

 この日、安倍晋三官房長官は閣僚懇談会で、補助金の削減割り当てを指示した。その内容は、厚生労働省の五千四十億円を筆頭に、国土交通六百二十億円▽農林水産三百四十億円▽文部科学百七十億円▽経済産業七十億円▽環境五十億円▽総務十億円-というもの。十四日までに具体案を回答するよう省側に指示した。これまで各省は「ゼロ回答」を続けてきたため、しびれを切らした官邸サイドがねじを巻き、「リーダーシップ」を見せつける形となった。

 厚労省はこれまで約九千億円分の生活保護費の削減を検討しているが、川崎二郎厚生労働相は記者会見で「生活保護(だけ)で六千億円を超えている、というやぼな話をするつもりはない」と、今後の省内調整に含みを残す発言をした。小坂憲次文部科学相も会見で、安倍長官の指示について「順当な手法だ」と述べた。

 また、四日に小泉首相が北側一雄国土交通相に道路特定財源を暫定税率を維持したままで一般財源化するよう基本方針の策定を指示したが、年内の結論を見送る空気が国交省や財務省に出てきたのを、首相自らが強く牽制(けんせい)したものと受け止められている。

 首相をはじめ官邸がリーダーシップを誇示するケースが相次ぎ、自民党サイドも、首相側近の中川秀直氏が政調会長に就任したことで、官邸との歩調はいっそう強まっている。このため、首相周辺は「族議員の影響力はさらに弱まる」と踏んでいる。

 しかし、自民党が官邸に「押さえ込まれつつある」とはいっても、「霞が関が改革への最大、最強の抵抗勢力」(官邸筋)であり、省庁の反撃の芽は消えていない。

 九日には、経済財政諮問会議で、公務員の総人件費改革について民間委員から基本指針が提示される予定だ。

 予算の季節である今月末から年末にかけてが“天王山”。官邸の思惑通り「小泉改革の総仕上げ」への道筋がつけられるか、まさに正念場を迎える。


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