中判もデジタルの時代へ

 中盤や中版ではなく「中判」。「ちゅうばん」と呼ばれるのは、35mmフィルムを使う小型と、4×5(しのご)、8×10(エイト・バイ・テン)と呼ばれる大判(シートフィルム。大きさを示す数字の単位はインチ)の中間サイズのブロニー(120、220)と呼ばれるフィルムとそのフィルムを使うカメラのこと。ただし、一言でブロニーと云っても6×9(ろくきゅう)、6×7(ろくなな)、6×6(ろくろく)そして一番小さい6×4.5(ろくよんご。大きさを示す数字の単位はいずれもセンチメートル)といろいろある。

 中判のデジタルではマミヤやハッセルブラッドなどがプロユースのカメラを既に発売しているが、今日からティザー広告か開始されたPENTAX(ペンタックス) 645Dは、アマチュアが使える価格で登場する初めての中判デジタルカメラとなるかも知れない。645Dの構想はPENTAX がHOYAに買収される前からあったのだが、買収によりその登場が危ぶまれていたものである。厳しい経済環境下でPENTAX 645D を世に送り出そうというHOYAの英断には拍手を送りたい。

 がしかし、いったいどんなユーザーがPENTAX 645Dを購入するのかと云えば、郷秋<Gauche>は首を傾げざるを得ないのだが、ここから先は郷秋<Gauche>の偏見と独断に満ちた仮説なので、反論は予めお断りしておく。

 1999年のNikon(ニコン)D1の登場から11年、「DSLR普及元年」と云われる2004年(ニコンD70登場の年だ)から数えても6年を経た現在、画像処理のためのPCを使うことの出来る写真愛好家は、事実上すべてデジタルに移行している。いまだフィルムでの撮影を続けているのは、デジタルを使いこなすことが出来ながらもフィルムの良さにこだわる極一部の愛好家、あるいは「フィルムに留まざるを得ない」、PCを使うことの出来ない、主として中高年の愛好家たちである。

 果たして郷秋<Gauche>の仮説が当たっているとすれば、HOYAの大英断によって世に出るPENTAX 645Dも、買うべき愛好家がいないと云う事になってしまう。もしHOYAがPENTAX 645Dを本気で売ろうとするならば、風景写真にも十二分な2,450万画素を持ちながら、70万円以上と飛び切り高価なニコンD3Xの半額以下であることが絶対条件となるだろう。そうでなければ35mmフルサイズのDSLRに比し取り回しが厄介で、かつレンズラインナップにおいて見劣りのする中判を積極的に選ぶ理由を見出す事が出来ないからである。

 かく云う郷秋<Gauche>は、現在愛用しているAPS-C(D300)から中判ではなく、35mmフルサイズ(Nikon FXフォーマット!)への移行に向けて準備を進めているところである。その準備の具体的な内容は遠からずご報告できるものと思うが、FXフォーマット移行の絶対条件はD900の登場。既に幾度も書いているが、早ければ2/21~23開催のPMA2010に合わせて、遅くとも3/11~14に開催されるCP+までには発表されるものと大いに期待しているのだが、さて如何に。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、先週土曜日に撮影したなるせの森の一本梅。開花状況からは今週末が絶好の撮影日となりそうだが、お誂えの青い空と白い雲があるかどうかは神のみぞ知る、と云うところだろうか。
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