JALに MRJ導入を促す?!

 JALは勿論日本航空のこと、そしてMRJは三菱重工グループを中心に日本の航空技術のすべてをつぎ込み官民あげて開発に取り組む国産初のジェット旅客機である。かつて国策・国営企業であったJALがこのMJRJに背を向けEMBRAER (エンブラエル)170を導入したのはけしからんと、郷秋<Gauche>は度々書いてきた(最近の「けしからん」はこちら)。

 EMBRAER 170はJALグループの中で地域間(リージョナル)の旅客輸送を担当するJ-AIRの機材として導入されたわけだが、J-AIRでは2000年にBombardier(ボンバルディア)のCRJ200(50席)を運行していたのも関わらず、75席クラスの機材選定に際してCRJ700(CRJ200の長胴型で64-74席)ではなくEMBRAER 170を導入したのである。

 整備費用を考えても、運行乗務員の訓練費用を考えてもCRJ700を導入するのが最も経済的であったにも関わらずEMBRAER 170を導入したそのJALの体質こそが、経営破綻を招いた元凶であることに間違いはないだろう。

 前置きが長くなったが、本題。2月1日の日経朝刊に「国産小型ジェット機「MRJ」―日航に導入検討促す―政府調整」と云うタイトルの記事が掲載されていた。JALは大型の747を全て売却すると同時に50~100席程度のリージョナルジェットを新規に50機導入することを発表していたが、このリージョナルジェットとしてMRJを選定するよう働きかけるとのこと。

 JAL再建の為に巨額の税金が投入されるわけだが、MRJの開発にもまた多くの税金が投入されていることから、JALが導入を計画している50機のリージョナルジェットがすべてがMRJとなれば一石二鳥なのである。つまり、JALについてはEMBRAERとBombardierの2機種大勢からMRJの1機種大勢に行こうすることにより前述の整備と訓練経費を削減できる。MRJについてはJALからの60機(新規50機+CRJのリプレイス10機)オーダーを上乗せすることで採算ベースと云われる350~400機の受注に向けて弾みがつくことになる。

 しかし、JALへのMRJ導入には郷秋<Gauche>も気付かなかった問題があることが判った。つまり、日本政府による海外メーカー締め出しに対してカナダ、ブラジル、アメリカ合衆国などの政府が反発し、政治問題化する可能性が有るというのである。これもまた厄介なことである。

注:以前にも書いているが、飛行機ファンとしてはCRJ、EMBRAER、MRJと同クラスでの沢山の機種が飛んでいる方が嬉しいに決まっているが、ことJALに関しては、経営再建の為には最も低コストのフリートとすることが望まれると云うスタンスで書いた今日の記事である。


 今日の一枚は、珍しく「文写一致」のEMBRAER 170。実機とはディテールが若干異なるようだが、某社のビル内に展示してあったかなり大きなスケールモデルである。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )