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網膜走査ディスプレイ

 聞きなれない形式のディスプレイであるがそれもそのはず。ブラザー工業が開発した製品で、2010年11月に日本電気が出荷を予定しているまったく新しい形式のディスプレイなのである。

 目に見える範囲での構造は至って簡単なようである。レンズのないメガネのフレームの「つる」の部分にレーザー光を発射する装置(35g程のもの)を取り付け、さらに眼球の前にレーザー光を反射する透明なガラスを配置し、このガラスで反射させたレーザー光を網膜に照射する。こうすることでこの装置を装着した人の目に、実際に見ている視界の一部に1m先にある17インチ相当の画像が写し出されるというのである。

 クルマのフロントスクリーンに速度情報などを投影する技術は既に実用化されているが(スピーチの原稿を目の前の透明ガラスに投影する「プロンプター」も同じ原理)、この網膜走査ディスプレイはその考え方を更に進め、人の網膜に直接レーザー光を照射し映像を知覚させようという装置である。何か恐ろしいような気もするが、レーザー光の出力は1μW(1マイクロワット、つまり100万分の1ワット)であり、人体には悪影響はないとされている。

 作業場を離れることなくマニュアルを確認することが出来ることなどから、主として生産・メンテナンス現場などでの利用が想定されているというが、TV番組の撮影現場などでも「台本」などを持たずに制作を進めることが出来るようになるから相当便利だろう。これはモータースポーツの世界でも早い時期導入されるんじゃないかな。ドライバーやライダーは「インカム」内臓のヘルメットを着用しているから網膜走査ディスプレイを組み込むことは訳もないことだろ。

 しかしなぁ、なんだか人間がますますサイボーグ化していくような気がしてならないぞ。

追記:今日の記事の元ネタは「日経ビジネス」2009.12.21・28号であることを明記しておきます。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、絶好の散歩道、すみよしの森のメインストリートです。
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