福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

シーラントの話

2007-01-09 | むし歯予防の話

奥歯のかみ合わせ部分は、むし歯になりやすい部位であることは皆さんご存知ですよね。皆さんの歯で前から6、7番目の第1、第2大臼歯の状態はいかがでしょうか?むし歯になって何らかの処置を受けている場合が多いのではないでしょうか? 
乳歯の場合、奥歯が2本ずつありますが、そのうち後ろの第2乳臼歯は乳歯の中でも最もむし歯リスクが高い歯です。これら奥歯のむし歯予防にかなり有効なのが、歯科用のプラスチックやセメントでかみ合わせ部分の溝をシール(封鎖)するシーラントです。
歴史的には歯に対して接着処理をして液状のプラスチックを流して固めるレジンシーラントが主流でしたが、最近、わたくし的にはグラスアイオノマーセメントを使用したシーラントを好んで使用しています。レジンシーラントは接着処理の時に唾液など水分が触れると接着力がかなり落ちるため、そのコントロールが重要です。しっかり出来ると外れにくく予防効果も高いのですが、そうでない場合、早期に外れてしまうという欠点があります。
それに比して、グラスアイオノマーは接着処理が不要でほどほどの接着力がありますので、乳幼児の場合すばやく出来ることもあって重宝します。またグラスアイオノマーは低濃度のフッ素が持続的に出ますので、出たばかりで未成熟な歯を強化したり、初期むし歯であればストップをかけることも可能です。この欠点は、相対的に磨り減ったり溶けてしまいやすいことですが、3~4か月おきの定期的健診を受けていれば、適宜材料を追加するのみで予防効果は維持されます。
それと、奥歯かみ合わせ部分のむし歯リスクは出てから3年間ほどですので、その間いずれの形でもいいから予防できればOKなわけです。シーラントは目的ではなく手段ですから、いずれ全て無くなってしまっても良いということです。

レジンシーラントの場合、唾液が混入しないように、ラバーダムというゴムシート状のものをクランプという金具で歯に留めて行うときちんとできます。これは乳幼児や歯の生え始めでは留めにくいというのが正直なところです。溝部分に流されている白いのがシーラントです。


向かって左はグラスアイオノマーシーラントです(歯の色に近いので何もしていないように見えます)。こちらはラバーダムなしですばやくできるので子どもに対する負担が小さく、適応範囲が広がります。

 

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