
今回は、昨年の暮れに読んだ平安時代関連の本を紹介します。
☆王朝女流歌人抄
著者=清水好子 発行=新潮社
内容(「BOOK」データベースより)
美麗な衣の下で、ひそかに心をときめかし、苛烈に競い、その真情を歌に托した女性たち―。その生涯をたどり時代を見つめ、彼女たちの才華を愛でる著者が、積年の想いを、源氏物語の背景とも重ねて、その歌底にひそむ、心の襞を繙いた待望の書。
[目次]
伊勢
斎宮女御徽子女王
和泉式部
右大将道綱母
清少納言
赤染衛門
*現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。
平安時代中期の6人の女流歌人を取り上げ、彼女たちが遺した家集を中心に和歌を紹介しながら、その生涯に迫った本です。
では、この本を読んだ私の感想を、歌人ごとに簡単に書いてみますね。
☆伊勢
「伊勢集」の書き出しが、「源氏物語」の書き出しと酷似していて驚きました。紫式部は、「伊勢集」を意識して「源氏物語」の冒頭部分を書いたのかもしれませんね。
伊勢というと、藤原仲平や宇多天皇、敦慶親王との恋で有名ですが、宮使え先の主人の宇多天皇中宮、藤原温子(藤原基経女)とも、堅い主従関係で結ばれていたようで、伊勢の新しい一面をかいま見たような気がしました。
☆斎宮女御徽子女王
この方は何と言っても、交際範囲が広く、様々な人と歌のやりとりをしています。
夫の村上天皇とはもちろん、継母であり後宮の競争相手でもあった貞観殿尚侍藤原登子(藤原師輔女)、馬の内侍、源順、また、村上天皇皇女の資子内親王や選子内親王(いずれも徽子女王の産んだ皇女ではない)など…。徽子女王が様々な人たちから慕われていたことを、改めて感じました。
☆和泉式部
和泉式部というと、為尊親王や敦道親王との恋で有名ですが、最初の夫、橘道貞との贈答歌も意外に多いことに驚きました。また、家集からは、晩年にも年若い恋人がいたらしいこともわかるそうです。和泉式部は何歳になっても恋する心を忘れなかった女性なのかもしれませんね。
ただ、娘の小式部内侍に先立たれたときに詠んだ哀切な挽歌が紹介されていなかったのがちょっと残念でした。
☆右対照道綱母
言わずと知れた、「蜻蛉日記」の著者。
なのでこの章は、主に「蜻蛉日記」から歌を紹介しています。彼女が詠んだ歌は、日常生活の中での恋愛の歌が中心で、物詣に出かけた時など、旅行中にはほとんど歌を詠まなかったようです。風景に絡めて恋情をつづった歌なども詠んで欲しかったですね。
☆清少納言
清少納言は、「枕草子」の中では、楽しいことや美しいことを中心に書いていて、日常生活の苦悩についてはほとんど書いていません。しかし家集には、恋の苦しみを綴った歌もあるようで意外でした。
ただ、清少納言の家集は散逸している部分が多いそうです。もっと完全な形で現在まで残っていたら、私たちは清少納言についてもっと知ることが出来たのに…と、ちょっと残念に思いました。
☆赤染衛門
夫の大江匡衡を支える賢夫人というイメージが強い赤染衛門ですが、若い頃の恋人、大江為基のことをずっと忘れなかったようです。彼女が晩年に編んだ「赤染衛門集」は、為基を追慕する目的で作られたとも言われているそうです。彼女もまた、恋多き女性だったのかもしれませんね。
*赤染衛門については、当ブログ内のこちらのページもよろしければご覧になってみて下さい。
☆まとめ
「王朝女流歌人抄」を読んで、平安時代は歌を詠むのが日常的だったということを再認識させられました。現代でいうとメールのようなものなのかもしれません。
そんな彼女たちが詠んだ歌の意味を理解するのはなかなか大変ですが、この本では、一つ一つの歌の意味についても現代語訳されているので、内容がわかりやすいと思います。
それと、この本のもう一つの特徴は、各章の冒頭に、その章で取り上げている歌人の詳しい系図がついていることです。
伊勢や道綱母は藤原北家の人で、遠縁ながら藤原摂関家と血縁関係がありますし、清少納言は天武天皇の血を引いています。このように、和歌だけでなく、彼女たちの系譜も興味深いです。
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☆王朝女流歌人抄
著者=清水好子 発行=新潮社
内容(「BOOK」データベースより)
美麗な衣の下で、ひそかに心をときめかし、苛烈に競い、その真情を歌に托した女性たち―。その生涯をたどり時代を見つめ、彼女たちの才華を愛でる著者が、積年の想いを、源氏物語の背景とも重ねて、その歌底にひそむ、心の襞を繙いた待望の書。
[目次]
伊勢
斎宮女御徽子女王
和泉式部
右大将道綱母
清少納言
赤染衛門
*現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。
平安時代中期の6人の女流歌人を取り上げ、彼女たちが遺した家集を中心に和歌を紹介しながら、その生涯に迫った本です。
では、この本を読んだ私の感想を、歌人ごとに簡単に書いてみますね。
☆伊勢
「伊勢集」の書き出しが、「源氏物語」の書き出しと酷似していて驚きました。紫式部は、「伊勢集」を意識して「源氏物語」の冒頭部分を書いたのかもしれませんね。
伊勢というと、藤原仲平や宇多天皇、敦慶親王との恋で有名ですが、宮使え先の主人の宇多天皇中宮、藤原温子(藤原基経女)とも、堅い主従関係で結ばれていたようで、伊勢の新しい一面をかいま見たような気がしました。
☆斎宮女御徽子女王
この方は何と言っても、交際範囲が広く、様々な人と歌のやりとりをしています。
夫の村上天皇とはもちろん、継母であり後宮の競争相手でもあった貞観殿尚侍藤原登子(藤原師輔女)、馬の内侍、源順、また、村上天皇皇女の資子内親王や選子内親王(いずれも徽子女王の産んだ皇女ではない)など…。徽子女王が様々な人たちから慕われていたことを、改めて感じました。
☆和泉式部
和泉式部というと、為尊親王や敦道親王との恋で有名ですが、最初の夫、橘道貞との贈答歌も意外に多いことに驚きました。また、家集からは、晩年にも年若い恋人がいたらしいこともわかるそうです。和泉式部は何歳になっても恋する心を忘れなかった女性なのかもしれませんね。
ただ、娘の小式部内侍に先立たれたときに詠んだ哀切な挽歌が紹介されていなかったのがちょっと残念でした。
☆右対照道綱母
言わずと知れた、「蜻蛉日記」の著者。
なのでこの章は、主に「蜻蛉日記」から歌を紹介しています。彼女が詠んだ歌は、日常生活の中での恋愛の歌が中心で、物詣に出かけた時など、旅行中にはほとんど歌を詠まなかったようです。風景に絡めて恋情をつづった歌なども詠んで欲しかったですね。
☆清少納言
清少納言は、「枕草子」の中では、楽しいことや美しいことを中心に書いていて、日常生活の苦悩についてはほとんど書いていません。しかし家集には、恋の苦しみを綴った歌もあるようで意外でした。
ただ、清少納言の家集は散逸している部分が多いそうです。もっと完全な形で現在まで残っていたら、私たちは清少納言についてもっと知ることが出来たのに…と、ちょっと残念に思いました。
☆赤染衛門
夫の大江匡衡を支える賢夫人というイメージが強い赤染衛門ですが、若い頃の恋人、大江為基のことをずっと忘れなかったようです。彼女が晩年に編んだ「赤染衛門集」は、為基を追慕する目的で作られたとも言われているそうです。彼女もまた、恋多き女性だったのかもしれませんね。
*赤染衛門については、当ブログ内のこちらのページもよろしければご覧になってみて下さい。
☆まとめ
「王朝女流歌人抄」を読んで、平安時代は歌を詠むのが日常的だったということを再認識させられました。現代でいうとメールのようなものなのかもしれません。
そんな彼女たちが詠んだ歌の意味を理解するのはなかなか大変ですが、この本では、一つ一つの歌の意味についても現代語訳されているので、内容がわかりやすいと思います。
それと、この本のもう一つの特徴は、各章の冒頭に、その章で取り上げている歌人の詳しい系図がついていることです。
伊勢や道綱母は藤原北家の人で、遠縁ながら藤原摂関家と血縁関係がありますし、清少納言は天武天皇の血を引いています。このように、和歌だけでなく、彼女たちの系譜も興味深いです。
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