本日は最近読んだこの本を紹介します。
☆かぐや姫の物語 「竹取物語」
著者=高畑 勲(脚本)・坂口理子(ノベライズ) 発行=角川書店(角川文庫)
価格=462円
最近公開された映画「かぐや姫の物語」のノベライズ版。
平安時代初期の古典「竹取物語」を原作として作られたという映画なので、見てみたいと思ったのですが、私は映画館に行く機会をなかなか作れないのでこのノベライズ版を読んでみました。映画は多分、テレビでオンエアーされるものを見ることになると思います。
*以下、ネタバレがかなりあります。
大まかなストーリーは「竹取物語」の原作とだいたい同じでしたが、「うまくふくらませているな」という印象を受けました。それと原作にはあまり描かれていない、かぐや姫の細かい心の動きにもスポットが当てられていました。原作と異なる部分もあります。そのあたりをちょっと書いてみたいと思います。
・うまくふくらませていると思った部分
幼い頃のかぐや姫の様子が詳細に描かれていました。
原作でも、かぐや姫は成長が早かったと描かれていましたが、「かぐや姫の物語」では、姫がどのように成長していったか、とりわけ近くに住むきじしの子供たちとの交流が詳細に描かれています。それが、姫が後に5人の貴公子との縁談を断ることになる伏線のようにも思えました。
・ 原作と違う部分。
原作では、かぐや姫は、ずっと竹藪の近くの翁の田舎の家にいるように描かれていますが、「かぐや姫の物語」では成長すると育ての親の翁・嫗共々、都に出て生活するようになります。都の生活にどうしてもなじめず、田舎での暮らしをなつかしむ姫の様子は少し痛々しかったです。
5人の求婚者に対して。
原作では姫が、貴公子たちに、私のことを本当に大事に思っているなら宝物(絶対に手に入りそうもない)を持ってきてと難題を押しつけたように書かれています。
「かぐや姫の物語」では貴公子たちの方が姫をそれぞれの宝物にたとえたことから、姫が、「それならその宝物を私に持ってきて下さい」と言っていました。
私は原作でこの部分を読んだとき、「かぐや姫ってちょっと高飛車な女ではないの?何か納得できない」と思ったのですが、こういう描き方なら納得がいきます。
きじしの子、捨丸、女房の相模、女童といったオリキャラが登場しました。
特に捨丸と姫の交流は、この物語に更に深みを与えているように思えました。
それと、嫗がいい味を出していました。姫の幸せを願う気持ちは翁も同じなのでしょうけれど、嫗は同じ女性の立場で姫に寄り添い、優しく見守っています。素敵な女性だと思いました。この物語の登場人物の中では嫗が一番好きかも。
・読んだ感想
読みながら、少し涙ぐんでしまいました。
特に石上麻呂の死を知らされた姫が、「私は偽物、私と関わった人は不幸になってしまう」と取り乱す場面は身につまされました。ラストの「あなたが待っているなら帰りたい」にも涙が…。かぐや姫がとても身近に思えました。
ただ、かぐや姫はどうして月からこの世界に降りてきたのかについてははっきりした答えが書かれておらず、大きな謎が残りました。それはそれぞれのご想像にお任せしますということなのでしょうか。
でもそれを差し引いてもなかなか読み応えのある作品でした。
物語のあちらこちらに出てくる童歌の節回しを聴いてみたいとも思ったので映画のテレビでのオンエアーを待ちたいと思います。
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☆かぐや姫の物語 「竹取物語」
著者=高畑 勲(脚本)・坂口理子(ノベライズ) 発行=角川書店(角川文庫)
価格=462円
最近公開された映画「かぐや姫の物語」のノベライズ版。
平安時代初期の古典「竹取物語」を原作として作られたという映画なので、見てみたいと思ったのですが、私は映画館に行く機会をなかなか作れないのでこのノベライズ版を読んでみました。映画は多分、テレビでオンエアーされるものを見ることになると思います。
*以下、ネタバレがかなりあります。
大まかなストーリーは「竹取物語」の原作とだいたい同じでしたが、「うまくふくらませているな」という印象を受けました。それと原作にはあまり描かれていない、かぐや姫の細かい心の動きにもスポットが当てられていました。原作と異なる部分もあります。そのあたりをちょっと書いてみたいと思います。
・うまくふくらませていると思った部分
幼い頃のかぐや姫の様子が詳細に描かれていました。
原作でも、かぐや姫は成長が早かったと描かれていましたが、「かぐや姫の物語」では、姫がどのように成長していったか、とりわけ近くに住むきじしの子供たちとの交流が詳細に描かれています。それが、姫が後に5人の貴公子との縁談を断ることになる伏線のようにも思えました。
・ 原作と違う部分。
原作では、かぐや姫は、ずっと竹藪の近くの翁の田舎の家にいるように描かれていますが、「かぐや姫の物語」では成長すると育ての親の翁・嫗共々、都に出て生活するようになります。都の生活にどうしてもなじめず、田舎での暮らしをなつかしむ姫の様子は少し痛々しかったです。
5人の求婚者に対して。
原作では姫が、貴公子たちに、私のことを本当に大事に思っているなら宝物(絶対に手に入りそうもない)を持ってきてと難題を押しつけたように書かれています。
「かぐや姫の物語」では貴公子たちの方が姫をそれぞれの宝物にたとえたことから、姫が、「それならその宝物を私に持ってきて下さい」と言っていました。
私は原作でこの部分を読んだとき、「かぐや姫ってちょっと高飛車な女ではないの?何か納得できない」と思ったのですが、こういう描き方なら納得がいきます。
きじしの子、捨丸、女房の相模、女童といったオリキャラが登場しました。
特に捨丸と姫の交流は、この物語に更に深みを与えているように思えました。
それと、嫗がいい味を出していました。姫の幸せを願う気持ちは翁も同じなのでしょうけれど、嫗は同じ女性の立場で姫に寄り添い、優しく見守っています。素敵な女性だと思いました。この物語の登場人物の中では嫗が一番好きかも。
・読んだ感想
読みながら、少し涙ぐんでしまいました。
特に石上麻呂の死を知らされた姫が、「私は偽物、私と関わった人は不幸になってしまう」と取り乱す場面は身につまされました。ラストの「あなたが待っているなら帰りたい」にも涙が…。かぐや姫がとても身近に思えました。
ただ、かぐや姫はどうして月からこの世界に降りてきたのかについてははっきりした答えが書かれておらず、大きな謎が残りました。それはそれぞれのご想像にお任せしますということなのでしょうか。
でもそれを差し引いてもなかなか読み応えのある作品でした。
物語のあちらこちらに出てくる童歌の節回しを聴いてみたいとも思ったので映画のテレビでのオンエアーを待ちたいと思います。
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