平安夢柔話

いらっしゃいませ(^^)
管理人えりかの趣味のページ。歴史・平安文学・旅行記・音楽、日常などについて書いています。

大阪一泊旅行2017年4月 第2回

2017-05-15 18:10:31 | えりかの平安な日々 10~18
 大阪一泊旅行2017年4月 第1回
の続きです。

 1階のロビーに降りたのは多分、5時25分頃。さてどこで待っていようかなと思ったら、名前を呼ばれてひと安心。
 このあとお茶することになっている恐妻家さんと無事に合流できました。
「もっとゆっくりでも良かったのに」
と言われてしまいましたが、しばらくロビーのベンチに座っておしゃべり。
 今回も、ひとちゃんから荷物を預かってきていたので、私からのお土産屋CDと一緒に早速、手渡すことが出来ました。
 そのあと少し音楽談義。
 それと、金吾さんの7月の東京のライブに行きたいのだけど、7月は毎年、同窓会があり、重なったら行けないしまだ連絡がないので動けないでいることも話しました。

 間もなく、お茶することになっているもう一人のファン友さんのちあきさんが降りてきたので、3人で半年ぶりの向かいの喫茶店へ。喫茶店の前には階段が2段、あるのですが、○○センチくらいといつも説明して下さるので本当に助かります。今夜もたくさんお世話になりそう。
 こちらのメロンクリームソーダが気になっていたのですが、考えてみたら私、炭酸は体に合わないみたいなので、もしライブ中に具合が悪くなったら大変なので、いつものようにミックスフルーツジュースを注文することにしました。運ばれてきたミックスフルーツジュース、ほのかにバナナの味がしておいしい。少し薄暗かったので写真は断念しました。
 で、それぞれ注文したドリンクを飲みながら3人でおしゃべり。近況とか、関西人と関東人のメールの違いとか、「iPadを持っていればスマホはいらないよね」という話とか。ライブ前の楽しい時間でした。

 そして6時半頃に再びホテルに戻りいよいよMister Kelly'sへ。
 今回の席は前から2番目。席に座ると従業員の女性が食事の注文を取りに来て下さいま した。
 昼食におにぎり4個も食べて、先ほどミックスフルーツジュースを1杯飲んだのに、とてもおなかが空いていた私。
 こちらでは以前、海の幸サラダとビーフカツサンドを食べたことがあるのですが、どちらもお値段のわりには(?)で少し物足りなかったので、今回はホームページでどのような料理があるかしっかり調べ、何を食べるか決めていました。
 で、おなかがものすごく空いていたら食べようと思っていた、「皮つきフライドポテトと鶏の唐揚げの盛り合わせ」と「バケット」を注文。ポテトと唐揚げの盛り合わせは量が少ないだろうから500円のバケットをつけることにしたのです。この2種類を頼んでも、ビーフカツサンドよりほんのちょっとお値段が高いだけだったのですよね。そしてドリンクはウーロン茶に。

 ところが…。
 運ばれてきた、「皮つきフライドポテトと鶏の唐揚げの盛り合わせ」は大きなお皿にたくさん入っていてびっくり。
 さらにバケットはお皿に4つも乗っていて。
 でもバケットとてもおいしかったので完食してしまいました。
 唐揚げも久しぶりに食べておいしかったのでこちらも完食。
 ポテトもおいしかったのですが、量が多かったし、このあとの打ち上げで食べられなくなったらつまらないし…ということでこちらは半分くらい(3分の1くらいだったかも?)残しました。
 でも、バケットと鶏の唐揚げとポテトだなんて、完全に炭水化物と脂肪の取りすぎですよね。それでもおいしく食べられたってことは、今回は体調絶好調なのかも。

 今回も食事をしている間にライブが始まったので、曲の間は曲に集中し、MCの時に少しずつ食べていました。

なお、楽しかったライブの様子はこちらのページにまとめてあります。

 で、ライブの途中で金吾さん、7月の東京はジャジーナイトを考えているとお話しされていたので、「わあ行きたい」と思わず口から出ていました。このジャズ中心のライブ、私はまだ行ったことないんですよね。そして、ライブレポートにも書いたように、「Modern times」を聴いているときに、絶対に行こうという気持ちに変わりました。
それでライブが終わったあと、お隣の恐妻家さんに、
「決めました、私7月の東京のライブに行きます。同窓会と重なったら同窓会はやめます」
と言ってしまいました。こうして口に出してしまったのでもう後には引けません。帰宅したら早速動き始めなくては。

 さて、チケット代と食事代の支払いを済ませて会場の外に出ると、2月の東京のライブにいらしていたKさんに声をかけられびっくりしてしまいました。関東在住の方なので、まさかこちらにもいらしているとは思わなくて。思わず大きな声を上げてしまった私。
 そのあと、ちあきさんやKさんと金吾さんとの写真撮影会。今回も金吾さんとのツーショット写真を撮っていただき、握手してお土産も無事に渡すことが出来ました。もちろん、しっかりと中を確認して。

 こうして打ち上げ会場へ。会場はホテルの向かいのイタリアンのお店。移動するのに楽でした。心配した雨は全く大丈夫でした。折りたたみ傘、持ってこなくても良かったかも。

 今回、座った席、すぐ近くにちゃーみさんやKさんなど、お知り合いが多かったのでひと安心。金吾さんは別のテーブルでしたが…。

 それでまずドリンクを注文することに。やっぱり乾杯くらいはアルコールが飲みたいよねということで、ワインを注文することにしました。運ばれてきたワインは、グラスに半分くらい入っているだけだったので、これなら大丈夫、全部飲めるかもと思ったのですが。
 周りの方々と乾杯して3口ほど飲んだら何だか顔がほてって熱くなっているのに気づきびっくり。そのことをKさんに言ったら
「もう辞めた方がいいよ、もし倒れたら大変だから」
と言われてしまいました。そこで、ウーロン茶を注文してそちらに切り替えることにしました。ワイン、昔は月に1~2回、だんなさんと飲んでいたのになあ。でも考えてみたらいつも顔がほてって熱くなってしまっていましたっけ。それでも3口でこんな風になることはなかったような。だんなさんがいなくなってからは普段、全く飲まなくなってしまったのでますます弱くなったのかも。

 続いて料理も運ばれてきました。生野菜のサラダと、大きなアサリの酒蒸し。それほどおなかが空いていなかったのですがおいしくて幸せ。
 そして、皆さんと楽しくおしゃべり。音楽に詳しい人が多いので音楽談義とか、色々な地域の人がいらしているので、関東と関西の言葉の違いとか。
 そんな風に色々話していたら、別のテーブルにいらした金吾さんが私たちのテーブルに移ってきて下さいました。しかも私の斜め向かい。やはりちょっと緊張します。

 で今回も貴重なお話をたくさん聞くことが出来ました。
 金吾さんは1979年に、山下達郎さんと「air records」というレコード会社を設立し活動されていたので、達郎さんの曲作りなどのお話もたくさんして下さって。
 で、お二人の曲作りの違いがとても興味深かったです。
 金吾さんは、詩を読んでそこから曲を連想して作曲するのに対し、達郎さんはコード進行やリズムからイメージして作曲をする人なのだそうです。で、そのことを頭に入れてお二人の曲を聴き比べてみるのも楽しいかも…と思いました。
 この日が命日のDannyさんとの思い出も色々聞くことが出来ました。
 で、どなたかが言っていました。金吾さんはDannyさんが亡くなったことを認めたくないのではと。
 確かに、大切な人や関わりが大きすぎた人って、亡くなったことをなかなか受け入れられないと思うのですよね。私にとってはそれがだんなさんなのですが。

 こうしてお話ししている間にも、料理が次々と運ばれてきました。
 食べたのはパスタとミートローフ。
 パスタはナポリタン風、なつかしい味で歯ごたえも良く、とてもおいしかったです。自分の分を食べ終わったとき、
「余ったから食べる人」
とKさんが言ったので思わず、「欲しい」と言ってしまいました。完全に食べすぎですけれど。でも普段、家ではあまり食べないからいいよねと思ったり。
 そんなわけで、ミートローフが運ばれて来たときはほぼ満腹状態。
 でも、おいしそうだったし、ちゃーみさんが食べやすい大きさに切り分けて下さったのでありがたく頂きました。おいしい~。普段はこういう物なかなか食べられないものね。でも、さすがに食べきれなくて少し残してしまいましたが。

 こうしておいしくて楽しい時間、約2時間の打ち上げはあっという間に終わってしまいました。
 そのあと、ホテルの前で自宅に帰る皆様をお見送り。恐妻家さんや本日お知り合いになったNさんなど。こうしてお友達の輪も広がっていきます。みんな 金吾さんのおかげ。

 今回はちゃーみさんに部屋の前まで送っていただきました。今回も、ライブでも打ち上げでも色々な皆様のお世話になりました。ありがとうございました。
 一人になると一気に気が抜けてしまったような。
 でも、今夜のことを思い出すとやっぱり幸せ気分。
 だんなさんがいなくなったときには、これからは新しい友達はいらないし、ひっそりと生きていけばいいと思っていた私が、金吾さんに再会し引き寄せられたおかげでこんなに楽しいことに巡り会えるなんて。
 今回もライブと打ち上げに参加できた幸せをかみしめていました。

第3回へ続く。

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大阪一泊旅行2017年4月 第1回

2017-05-06 19:20:23 | えりかの平安な日々 10~18
 4月15日・16日と、濱田金吾さんのライブに参加するため大阪に行ってきました。今回も楽しい思い出を残しておきたいので旅行記も書かせて頂きます。

 今回、一番心配したのはお天気。
 15日の天気予報、あまり良くなかったのですよね。静岡の天気予報は曇りのち雨、大阪も確かそのような予報だったのでは。
 放送局によってはゲリラ豪雨とか言っている所もありました。そんなことになって電車が止まったら大変。
 ちなみに、私が出かける日の天気予報は良くないことが多いのですが、たいてい外れます。それに、今までに金吾さんのライブに18回行っているのですが、雨に降られたのは3回だけ。そのうち2回はほとんど影響ない小雨でした。なので晴れ女を自称しているのですが。
で皆さん、考えていることは同じのようで、参加される何人かがお天気のことを話題にしていました。
 それで私、 、
「晴れ女の私が行くので大丈夫です。」
なんてコメントしてしまいましたが、そんなことを言って大雨になったらどうするの?と、自分でつっこんでいたりしていましたが。

 さて、当日は朝から素晴らしい晴天。見たところ、雨は降りそうにありませんでした。
 でも、何かあっても困るので、出来たら11時半の新幹線に乗りたいと、早めに家を出発。というのは、月1回の病院診察を受けるために病院に寄らなくてはならなかったからです。昨年末のように、病院が長引いて予定より1時間も遅い新幹線に乗ることになったら大変ですから。
 でも心配したほどのことはなく、病院はわりと空いていて、10時前に診察が終わってしまいました。ただ、血圧が140もあってびっくりしましたが。でもこれは、これから遠出して楽しいことがたくさん待っているので興奮している影響だよね。

 というわけで、気持ちが高ぶっているので何かあっても困るので、駅での誘導をお願いして静岡駅へ。
 で、車内放送を聞いてちょっとびっくり。新大阪行きのこだまは毎時29分なのに、24分と言っていたのです。それで気がつきました。確か先月にダイヤ改正があったのですよね。ここ数年、静岡に止まる新幹線の時間はほとんど変わっていなかったのでそんなこと考えていませんでした。これは、帰りの新幹線の時間も変わっているかもしれないから確認しなくては。

 静岡駅に着くと、誘導の駅員さんが待っていました。このまま新幹線の方に誘導されそうになったので、お土産屋さんで買い物をするので途中下車をしたいことを告げると、お店まで言って下さいました。
 そこで、店員さんに手伝って頂いてお土産と、新幹線の中で食べようと昼食用におにぎりとお茶を購入。お店の外では駅員さんが待っていて下さいました。
 こうして今回はずっと誘導して頂いたので、道に迷うこともなく、目が疲れることもなく、新幹線の待合室に落ち着くことが出来ました。感謝。
 切符はいつもながら自由席なので、11時24分のこだまに案内していただけることになりました。こちらに間に合わなかったら指定席券を買い、12時過ぎに出るひかり号に乗ろうと思っていたのですが、そうならなくて良かった。節約できるところは節約しなくちゃね。
 時間があったのでまず、お土産屋で買った物を全部、布製のトートバッグに入れ替えました。紙袋は敗れる可能性があるので怖いので。
 そのあと、SNSでの書き込みをチェック。コメントがたくさん来ていたので、お一人お一人に返信し、一息ついたところで駅員さんが迎えに来て下さいました。さあいよいよ大阪へ出発。((o(^-^)o))

 外を見ると雨は全く降りそうになくてひと安心。多分、電車が止まることはないよね。
 まだ返信していないコメントがあったのに気がついたのでそちらに返信し、しばらく携帯でネットサーフィン。
 そして掛川に着いた頃にお茶とおにぎりをテーブルに並べて昼食にすることにしました。朝食が早かったのでものすごくおなかが空いてしまったんですよね。
 まず、手に取ったのは鶏五目のおにぎり。おいしい~。 
 続いて、たらこのおにぎり。おにぎりってどうしてこんなにおいしいのかしら。
 そして、しらすご飯のおにぎり。
 残ったさけのおにぎりはおやつか夜食にとっておこうと思っていたのですが、何だかもっと食べたくて。
 そんなわけで三河安城あたりでこちらも食べてしまいました。このおにぎり4つは後ほど、みんなからつっこまれることになるのですが。でもおいしく食べられるって幸せですよね。
 あとは、好きな音楽を聞いたり、時々ネットをチェックしたりしてゆっくりと大阪へ。ネットチェックをしていたら、京都でものすごい雨が降ったことを知ってびっくり。やっぱり向こうは雨なのかな。窓から外を見た限り、米原あたりまで雨が降っている所はないような気がしたのですが。

 そんなこんなで約2時間半で新大阪に到着。
 こちらでも、誘導の駅員さんが待っていて下さいました。話し方もアクセントも静岡と違うので、「ああ大阪に来たんだ~」とこの時にいつも実感します。
 で早速、帰りのこだまの新幹線の時間を尋ねてみました。今までは毎時43分発だったのですが、54分に変わったそうです。しっかり頭に入れておかなくては。

 そのあとはタクシーで宿泊ホテルへ。こちらも素晴らしい晴天で雨の気配は全くなし。
 ホテルに到着後、タクシーの運転手さんに上りのエスカレーターの前まで連れて行って頂きました。もう3回目なので、このあと、カウンターまでは一人で大丈夫だと判断したからです。
 今夜のライブ会場、Mister Kelly'sはこちらのホテルの1階にあります。エスカレーターに乗るとき、マイクのテストをしているような声が聞こえたので、もう準備が始まっているのかとわくわく。始まるまでが待ち遠しいなあ。

 少し迷いましたが、2階奥のカウンターまで何とかたどり着けてひと安心。チェックインの手続きと、明朝の朝食堂までの送り迎えをお願いしました。それと、今日もライブ前にファン友さんとお茶することになっていて、待ち合わせが5時半Mister Kelly'sの前なので、余裕を持って5時20分に部屋へのお迎えもお願いしました。

 今回は8階の部屋。シングルですが部屋もベッドも広くていい感じ。
 到着すると荷物を降ろし、iPadを取りだして到着したという記事をフェイスブックにUPしました。iPadだいぶ慣れてきましたが、文字入力はまだまだ遅いです。
 そのあとは4時半に目覚ましをかけ、ベッドに横になって一休みすることにしました。でもいつものことながらこれが眠れないのよね。それでも力を抜いて横になっていれば、長旅の疲れは取れるかなと。

 そんなわけで余裕を持って、4時20分頃に起き上がって支度することに。洗顔をして化粧をして。そうそう、気持ちが弾んで、♪午前3時を過ぎてラジオは♪と、金吾さんの3rdに入っている「Jazz singer」を口ずさんでいました。今日やって下さるかしら?
 そして支度が済むと荷物の最終チェック。今日は、だんなさん、部屋でゆっくりしていたい」と言っているようだったのでお留守番をしていただくことにしました。羽を伸ばして来いってことなのかも。
そして時間までネットチェック。
 その途中で、地元の友人の書き込み発見。何と、仕事の帰りに雨に降られ、ぬれてしまったとか。時間的に私が静岡県内を出たあとのようです。ん?やっぱり私は晴れ女なのかも。(^^)
 窓から外を見たところ、雨は降っていないようでしたが、念のためにトートバッグに折りたたみ傘を入れることに。この傘、3ヶ月前に買って、外出時はいつもカバンに入れて持ち歩いているのですが、まだ一度も使ったことないんですよね。
 そんなわけで支度完了。

 そして、5時20分ぴったりにホテルの方がお迎えに来て下さいました。ちょっと早いかも?でも私が待つ分ならいいよねと思いながら、いよいよ部屋を出発です。

第2回へ続く。

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橘三千代

2017-05-01 10:12:07 | 図書室3
久しぶりに自信を持って紹介できる歴史小説に出会えました。

☆橘三千代 上
 著者=梓沢 要 発行=新人物往来社(kadokawa)

内容(「BOOK」データベースより)

女帝の時代陰で女帝を操ったひとりの女がいた!犬番の娘から己の才覚一つで、位人臣を極めた後宮女官・橘三千代。初めて描かれる橘三千代の愛と野望の生涯!『百枚の定家』につづいて俊英が書き下ろす渾身の歴史巨篇。

橘三千代 下
 著者=梓沢 要 発行=新人物往来社(kadokawa)

内容(「BOOK」データベースより)

名族・橘氏はたったひとりの女から始まった!天武・持統・文武・元明・元正・聖武―六代の天皇に仕え、後宮を束ねて皇位継承に絶大な影響力を持った橘三千代。美努王の妻から藤原不比等のもとへ―激しくしたたかに生きた波瀾の一生を鮮烈に描く雄渾の歴史巨篇。

*この本は2001年3月に新人物往来社から単行本として発行されたそうですが、現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。

 紹介文にもありますように、天武天皇から聖武天皇までの六代の天皇に女官として使え、文武天皇と聖武天皇の乳母として権勢を振るった女性、橘三千代の生涯を描いた小説です。 

 三千代は元々、県犬養三千代といい、決して家格の高い家の生まれではありません。幼いときに母を失い、継母との折り合いはあまり良くなかったものの、しっかり者の乳母に育てられ、乳兄弟や兄たちに囲まれてのびのびと子供時代を送りました。。
 そして15歳の時に初めて出仕、最初、美努王の妻となり、のちに藤原不比等と再婚、多くの子女にも恵まれ、上で書いたように2人の天皇の乳母として位人臣を極めます。

 で、この本を読んだ感想はやはり、三千代のたくましい生き方にすっかり魅了されてしまいました。
 例えば、軽皇子(後の文武天皇)や首皇子(後の聖武天皇)を皇太子にするときの手段を選ばない様子、しかし、その蔭で犠牲になった人たちのことも決して忘れていないところが人間的でもありますが。
 文武天皇の夫人になっていた宮子(不比等が別の妻との間にもうけた娘)が妊娠すると、再び乳母になろうと、不比等の子を絶対に身ごもってやると決心するところ、それを実行してしまうところなどすごい。ちなみにこの時に宮子が産んだのが後の聖武天皇、三千代が産んだのが後に聖武天皇の皇后となる安宿媛(光明皇后)です。
ラスト近くに聖武天皇の気鬱を治そうと、文字を書いた亀を偽造するところはどきどきしてしまいました。ともあれ、自分の才覚ひとつでのし上がっていったところは見事です。

 更に、持統・元明・元正といった女帝たちや三千代の子供たちなど、オリキャラも含めて脇役の人物もとても魅力的に描かれていました。
 登場場面は少ないのですが、特に印象に残ったのは三千代のいとこ、安倶利女です。
*以下、ネタバレがあります。知りたくない方は少し飛ばして読んで下さいね。
 彼女は「私は草壁皇子の子を産む」という野望を持って三千代と一緒に宮中に仕え始めるのですが、事件に巻き込まれて宮を去ってしまいます。
 その後、三千代の兄と結婚するものの子のないまま先立たれ絶望するのですが、「今度は子をたくさん産めという夫の遺言を思い出し、10歳も年下の同族の男と再婚、10人近い子をもうけるのです。
 三千代とは全く違った生き方ですが、こちらもたくましいと思いました。そしてそのたくましさが後世、三代の斎王に受け継がれるのかと。作者のイキな仕掛けですね。
 なお、この安倶利女という女性は多分、作者の創作だと思います。調べてみたところ、井上内親王の母方の祖母(あえてこういう書き方をしますが)は未詳とのことでした。だからこそ想像できるわけで。(^^)

 そうそう、草壁皇子の描き方もとても良かったです。私はどちらかというと王津派だったのですが、この作品の優しくて繊細で、それでいて強いところのある草壁皇子がとても好きになりました。ただ、唐突に退場してしまってびっくりしましたが。

 そして、やはり不比等というのはすごい政治家だなと。藤原氏の基礎は不比等と三千代によって築かれたものかもしれませんね。
 不比等の息子たち、いわゆる藤原四兄弟もなかなか個性的に描かれていて良かったです。長屋王事件の前の藤原四兄弟が決して一枚岩でなかったのが少し意外でしたが。四兄弟の中で一番目立たない麻呂が、亀を偽装するときにしっかり存在感を現していたのが嬉しかったです。

 というようにこの作品、登場人物の描き方や筋運びなど、最初から最後まで楽しく読むことが出来ました。もちろん、歴史小説なので特に後半部分は登場人物たちの臨終などシビアな部分はありますが、久しぶりに面白い歴史小説を読むことが出来たという印象です。お薦め☆です。

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