平安夢柔話

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早春の夜は楽しく暖かく ~濱田金吾さんライブ2015年3月14日

2015-03-26 10:19:22 | えりかの徒然なるままに
 3月14日、またまた行ってきました。東京、曙橋のBACK IN TOWNの濱田金吾さんのライブ。
 今回も思い出を残したいので、レポートを書かせていただきますね。

 さて、今回のサポートメンバーは昨年7月26日昨年10月25日と同じく、Paradigm Shiftの4人。ギター担当の松下誠さん、ドラム担当の宮崎まさひろさん、キーボード担当の松田真人さん、ベース担当の富倉安生さん。
 そして幸運にも私、最前列のほぼ真ん中の席でした。

 で、予想通り今回も、オープニングは金吾さんの弾き語りからでした。

 オープニング曲は昨年10月のライブと同じ「SENTIMENTAL MOMENT」。最初からテンションが上がりました。
 2曲目は「RainyDay Cowboy」。ライブで聴くのは初めてなので嬉しかったです。とてもポップなメロディーなので思わず手拍子。日本人の男性とアメリカ人の女性が、肌や目の色の違いから父親に反対され、別れていくという切ない歌詞なのですけれどね。

 3曲目は多分この時期にしか聴けない「エイプリル・フール」。これも大好きな曲なのですが私にはちょっと切ない思い出があるのです。
 3年前、だんなさんが骨折したことで持病の症状が進み、私の運命も変わってしまったのですが、骨折した日が4月1日だったのです。本人が直接、私の携帯に連絡してきたので、知らせを受けたときは冗談かと思いました。
 急いで病院に駆けつけ、夕方に家に戻ったのですが、これから私たちの生活はどうなるのかと不安で、何も手につきませんでした。
 そんなとき、濱田金吾さんの曲に「エイプリル・フール」ってあったっけなあと、ふと思い出したのです。この現実が冗談ならいいと思いました。「笑えないエイプリルフール」って歌詞があったけれど、本当にそうだよねと思ったり。でも、辛くてテープを取り出して聴いてみる気にはなれませんでしたが。
 と、そんなことを思い出しながら聴いていましたが、運命が変わったことで金吾さんの音楽に引き寄せられ、再会でき、いまここにいるのですものね。

 ところで金吾さん、弾き語りの曲の間のMCで、「今ならリクエストに応えられるよ。ワンフレーズくらいならやるから。」と言って下さったのですよね。でも、急に言われても思いつかない…と思っていたら、どなたかが「ビリー・ホリディに背を向けて」をリクエストしました。
で、金吾さん、
「いきなりそれかよ。どんな曲だっけ」
 そうしたらその方がさわりを歌い出したので、私も思わず一緒に歌ってしまいました。そのあと、金吾さんがこの曲のワンフレーズだけ弾き語りして下さいました。

 次に「裏窓」をリクエストされた方がいたので、ワンコーラスを弾き語り。もちろんこの曲は今日のプログラムにはないと思うので、何か得した気分。
 そして、私の一番好きな曲で、過去のライブで2回もリクエストに応えて下さった「Bedside Moon」をリクエストした方がいらして、私も思わず拍手してしまいました。この曲はワンフレーズだけでしたが弾き語りして下さり、すごく幸せ。(^^)

 こうして金吾さんの弾き語りコーナーが終わると、Paradigm Shiftの4人が登場。演奏されたのはポップな「GATSBY WOMAN」。手拍子しながら一緒に歌わせていただきました。やっぱりバンド演奏は華やかで楽しくていいわ~
 で今回も大好きな「悲しきby player」と、「modern times」が聴けたのがすごく嬉しかったです。特に「modern times」は、オリジナルよりおしゃれにジャジーにアレンジされていて、うっとりと聴いていました。

でもサプライズはやっぱり、「素直になってもう一度」でした。
 「次は人に書いた曲をやります」とおっしゃって紹介されたのが、柴田多映子さんに提供された「素直になってもう一度」。大好きな曲なので嬉しくなり、思わず拍手をしてしまいました。
 そうしたら、拍手をしたのは私だけだったようでちょっと恥ずかしくなってしまいましたが、金吾さんから
「知ってる?」
と尋ねられたので、
「知ってます。」
と大きな声で返事しました。
そうしたら
「さすがだね」
と言われ、何か幸せ気分に。そのあと、
「早く食べないと冷めちゃうよ。」
と言われてしまったのでした。

 実は、後日に執筆予定の旅行記にも書こうと思っているのですが、ライブの前にFB友達2人とお茶し、話し込んでしまったので会場に入ったのは6時半を回っていました。それから食事を注文したので、運ばれてきたのはライブが始まってからでした。
 で、聴きながら食べようと思っていたのですが、やっぱりライブに集中してしまって食べられない。なので、
「休憩時間に食べます。」
と返事したら、
「今から休憩しようか。」
 え~っ休憩なんて嫌、もっと聴きたいよ…と思いました。
「それ、温めてもらった方がいいよ。」
とも言われてしまい、気遣いに感謝し、ちょっと申し訳ないような気持ちにもなりましたが、舞台の金吾さんとこんなに会話できて嬉しかったです。もちろん、「素直になってもう一度」の金吾さんバージョンもとても素敵でした。(^^)

 こんな風に、金吾さんのライブってほんとに暖かいのです。

 休憩時間に無事に食事をし、第2部へ。

 第2部のスタートはやはり、Paradigm Shiftの皆様の曲の演奏でした。
 昨年10月のライブで演奏された曲が素敵だったので、こちらも楽しみにしていました。
  ところが今回は金吾さんの曲とは感じの違う曲をやろうということで、紹介されたのは「春と修羅」という曲。宮沢賢治の詩を英訳し、それに曲をつけたものだそうです。何か奥が深そうですね。

 で、誠さんが
「すごい曲で目が点になりますから帰らないで下さいね。演奏難易度7、視聴難易度5くらいの曲です。」とおっしゃったのでちょっと好奇心が。

 こうして始まった曲、確かに何とも言えない曲でした。
 激しいのでハードロックなのかな?と思いましたが、その一言では片付けられないような不思議な曲。
 そして、4人の演奏がとにかく格好良かったです。4人とも超一流の演奏家だということを再認識しました。特に宮崎さんのドラムがすごかったです。
 そう言えば、この曲をやろうと言ったのは宮崎さんだったとか。

 でも、曲が終わって金吾さんの「cool heart」の演奏が始まったときは何かほっとしました。やっぱり私は金吾さんの曲の方が好きかも。Paradigm Shiftの皆様ごめんなさい。
 」cool heart」のあとのMCで金吾さん、
「みんな、目が点になっていたね。これがParadigm Shiftの正体だからね」
とおっしゃっていましたが。確かにわたし、目が点になっていたかも。

 それで第2部も、「so I love you」「シャレード」など、素敵な曲をたくさん聴けて幸せ。
 それと、金吾さんとParadigm Shiftの皆様とのトークも楽しくて、何回笑ったことか。
 お正月に誠さんが風邪をひき、金吾さんが食べ物を持ってお見舞いに行った話や、金吾さんが田山雅充さんのサポートでテレビ出演(残念ながら私の地元では映らない放送局だったので見られませんでした)した時、田山さんにベストを借りた話など、楽しく聞かせていただきました。
 そして、会場の仲がものすごく暑かったです。みんなの熱気だったのでしょうか。

 でも、楽しい時間はあっという間で第2部もラストの曲に。
 多分、この時期には絶対にやるだろうなあと思っていた「東京 come & gone」が第2部のラストでした。いつ聴いても心にしみます。そう言えば初めて金吾さんのライブに来たときも、この曲が第2部のラストだったのよね。で、すごく寂しくなってしまったのを思い出します。でも今は、「まだアンコールがある」ということがわかっているので、第2部のラストでもそれほど寂しくならなくなりましたが。

 それで、アンコールの1曲目は「Portrait Woman」。今日は、「裏窓」をワンコーラスだけやった以外は私の大好きなアルバム「Gentle travelin」の曲は封印なのかな?と思っていたので嬉しかったです。実はサインしていただこうと思って「Gentle travelin」を持ってきていたのでした。
 続いて、格好良いロック「Run Thru The Night」。元気に手拍子をして楽しむことが出来ました。

 そのあと、もっと聴きたいという会場のみんなの気持ちが一つになり、再びアンコールの拍手。拍手に乗って「金吾、金吾」と「金吾コール。

 それで再び出てきた金吾さん。
「私が金吾です。」
と言って笑いを誘っていました。

 弾き語りで演奏されたのは「Dear song」。昨年4月に逝去されたダニーさんのことを思いながら歌っているのかな?と思いました。
 それで、「Dear song」が最後かな?と思っていたので、 
「この時期だからもう1曲」
と再び演奏が始まったときはとても嬉しかったです。

 それで、始まった曲にびっくり。荒井由実さんの「卒業写真」。わあ、金吾さん、日本の曲もカバーして下さるんだ~。

 でも、金吾さんが演奏された曲の感じはユーミンバージョンより、ハイ・ファイ・セットバージョンの方に近いと思いました。
 そう言えば金吾さんがソロになる前に在席していたクラフトとハイ・ファイ・セットは同じ事務所だったということを、何かで読んだことがあったのを思い出しました。
 それにしても、金吾さんの優しい声が胸にしみて感動しました。そして、次にカラオケに行ったときは絶対、「卒業写真」のハイ・ファイ・セットバージョンを歌おうと心に決めました。

 こうして楽しくて暖かいライブが終わりました。今回もあっという間の3時間。
 でも、5月にまた来ることになっているのでそれほど寂しさを感じませんでした。旅行記にも書こうと思っているのですが、無事にCDにもサインしていただけましたし。(^^)

 改めまして素敵なライブを聴かせて下さった濱田金吾さんとParadigm Shiftの皆様、本当にありがとうございました。

濱田金吾さんの公式ホームページこちらのページより、2015年3月14日のライブのセットリストをご覧いただけます。

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玉の緒よ 式子内親王の生涯

2015-03-08 09:58:20 | 図書室3
 今回は、源平争乱期から鎌倉初期という激動の時代を生きたひとりの女性の生涯を描いた小説を紹介します。

☆玉の緒よ 式子内親王の生涯
 著者=神部眞理子 発行=文芸社 価格=1836円

[出版社商品紹介]
 平家の繁栄と凋落、源氏の台頭など、激しい時代のうねりの中で翻弄される式子内親王の生涯を史実とともに繊細流麗に描いた歴史小説。


 百人一首89番目の歌「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする」をはじめ、情熱的な恋の歌を詠んだ事で知られる式子内親王の生涯を、激動の時代の移り変わりと共に描いた小説です。
 私は2年ほど前から式子内親王の歌に心惹かれていて、彼女のことを色々知りたいと思っていたので手に取ってみました。

 この小説の主人公はあくまでも式子内親王ですが、物語の前半部分と後半部分に他に一人ずつの主人公がいるという印象を受けました。

 小説前半のもう一人の主人公は式子の兄、以仁王です。
 この小説はそもそも、以仁王が密かに元服するところから始まっていますし、源頼政、仲綱など、彼と関わりの深い人物もたくさん登場します。以仁王の視点で物語が展開する場面も多いです。

 そして、以仁王が平家との宇治川の戦いで戦死したあと、彼と入れ替わるように登場するのが後半部分のもう一人の主人公、藤原定家です。前半の以仁王と同様、彼の視点で物語が進む場面がちらほらあります。
 式子内親王の忍ぶ恋の相手は誰かという問題には色々な説があり、定家とか、法然、あるいは式子には恋の相手はおらず、あくまでも想像の恋によって歌を詠んだとか、様々なことが言われています。
 法然も、式子の心を救うという重要な役で登場しますが、この小説での式子の忍ぶ恋の相手はあくまでも定家です。しかも相思相愛、でも決してその感情を表に出すことは許されないという感じに描いています。読んでいて少し切なかったです。

 その他、定家の姉、中将、竜寿という式子の女房たちは終生、式子の許に従い、彼女と定家を結びつける重要な役として登場しますし、吉田経房も、式子の家司として協力する好意的な人物に描かれています。
 そうなのです、この小説、マイナーな人物も含めて源平、鎌倉初期の人物が総登場します。それらの人物がどのように描かれているかも、この小説を読む楽しみだと思います。
 特に私は、登場シーンが一カ所だけでしたが、藤原多子が強烈でした。

 もちろん、式子の心の動きや行動もかなり詳細に描かれています。

 ただ、小説の3分の2くらいが終わるまで、式子は肉親や親しい人が政争の渦に巻き込まれ、心を痛めてはいるもののあくまでも傍観者のように思えました。そのようなわけで式子の影は薄く、ストーリーも何か単純で淡泊に思えてしまったのですよね。

 しかし、式子が同居していた八条院子内親王と以仁王の忘れ形見の姫を呪った疑いをかけられ、八条院御所を出て白河押小路殿に移り、やがて出家という道を選んでいくあたりから、物語が一気に動き始めます。 

 その後も式子の身の上には不幸が降りかかります。
 父・後白河院からせっかく譲られた大炊御門殿は九条兼実に横領されたまま返してもらえず、他人の邸宅を転々としなければならなかったり、橘兼仲夫妻の託宣事件に巻き込まれて洛外に追放されそうになったり…。
 「私はみんなに迷惑をかける。生きていても価値のない人間なのだ。」と反問する式子に私は、「絶対にそんなことはないよ。あなたはたくさんの素晴らしい歌を作ってしっかりと後世に名を残したのだから」と語りかけてあげたくなりました。

 でもこの小説、決して暗くじめじめした場面ばかりではありません。
 式子を支えるたくさんの人たちの暖かい心遣いにはほっとさせられますし、ラストシーンを読んだとき、「この本を読んで良かった!」と思いました。そしていつまでも式子内親王のことを考えていたい気持ちになりました。感動が長く心に残る、そんな1冊です。

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