京都市下京区にある風俗博物館では、六条院春の御殿を四分の一に縮小し、その中に「源氏物語」の色々なシーンが人形や調度品の模型などで再現されています。私が初めてこちらを訪れたのは2003年3月、それ以来すっかりファンになってしまい、京都を訪れるといつも立ち寄らせていただいています。
さて、2008年下半期の展示は
●六條院移徙(わたまし)「乙女」より : 六條院が完成し、紫の上達が引き移ってくる場面
●仏名会「幻」より 平安時代の十二月の年中行事 : 御仏名の展示
●御冊子つくり『紫式部日記』より
●女房の局 ~伏籠と重陽節句~
●四季のかさねの色目に見る平安の美意識
●御格子参る 『枕草子』『紫式部日記絵巻』『源氏物語』「末摘花」より : 女房のお勤めの一場面
となっていました。今回も、その中からいくつかをご紹介します。
*この展示は、2008年7月1日より11月29日までとなっております。
さて、最初に目に飛び込んできたのはこれ、糸毛車(身分の高い女性が乗る車)です。
この展示は、六條院移徙(わたまし)の一場面です。
光源氏35歳の8月、六条院が完成しました。そして彼岸の頃、紫の上が六条院の春の御殿に引っ越してきます。この場面は、紫の上や彼女に養育されていた明石の姫君が到着した場面です。それにしても立派な糸毛車です。私も人形のように小さくなってこの糸毛車に乗ってみたいなあ。
では、この場面からもう1枚。車を引いてきたと思われる牛も映っていますね。なお、牛車から降りてきた女の子は明石の姫君だそうです。
牛車の前では引っ越しの儀式が行われています。陰陽師らしい人が祈祷を行っていますね。
現在でも、家を新築した際には神主さんがのりとを唱える行事がしばしば行われていますが、平安時代の引っ越しの儀式の名残なのでしょうね。
さて、東の対には平安時代の十二月の年中行事、仏名会の場面が展示されていました。
光源氏52歳の12月19日から3日間、六条院にて仏名会が行われました。御導師が光源氏の長寿を願って念仏を唱えるのを、光源氏はしみじみと、聞き入っています。しかし、光源氏は年明けとともに出家することを決意しています。「自分の命もあとどのくらいか」と思うと少し複雑だったのでしょうね。
この仏名会は、光源氏の物語の最後を飾る場面でもあります。この場面には、引きこもっていた部屋から外に出てきた光源氏のことを、「まるで光り輝くようでこの世のものとも思えない」と老僧が表現する箇所もあります。光が消える前の一瞬の輝きのようだったのかもしれませんね。
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●六條院移徙(わたまし)「乙女」より : 六條院が完成し、紫の上達が引き移ってくる場面
●仏名会「幻」より 平安時代の十二月の年中行事 : 御仏名の展示
●御冊子つくり『紫式部日記』より
●女房の局 ~伏籠と重陽節句~
●四季のかさねの色目に見る平安の美意識
●御格子参る 『枕草子』『紫式部日記絵巻』『源氏物語』「末摘花」より : 女房のお勤めの一場面
となっていました。今回も、その中からいくつかをご紹介します。
*この展示は、2008年7月1日より11月29日までとなっております。
さて、最初に目に飛び込んできたのはこれ、糸毛車(身分の高い女性が乗る車)です。
この展示は、六條院移徙(わたまし)の一場面です。
光源氏35歳の8月、六条院が完成しました。そして彼岸の頃、紫の上が六条院の春の御殿に引っ越してきます。この場面は、紫の上や彼女に養育されていた明石の姫君が到着した場面です。それにしても立派な糸毛車です。私も人形のように小さくなってこの糸毛車に乗ってみたいなあ。
では、この場面からもう1枚。車を引いてきたと思われる牛も映っていますね。なお、牛車から降りてきた女の子は明石の姫君だそうです。
牛車の前では引っ越しの儀式が行われています。陰陽師らしい人が祈祷を行っていますね。
現在でも、家を新築した際には神主さんがのりとを唱える行事がしばしば行われていますが、平安時代の引っ越しの儀式の名残なのでしょうね。
さて、東の対には平安時代の十二月の年中行事、仏名会の場面が展示されていました。
光源氏52歳の12月19日から3日間、六条院にて仏名会が行われました。御導師が光源氏の長寿を願って念仏を唱えるのを、光源氏はしみじみと、聞き入っています。しかし、光源氏は年明けとともに出家することを決意しています。「自分の命もあとどのくらいか」と思うと少し複雑だったのでしょうね。
この仏名会は、光源氏の物語の最後を飾る場面でもあります。この場面には、引きこもっていた部屋から外に出てきた光源氏のことを、「まるで光り輝くようでこの世のものとも思えない」と老僧が表現する箇所もあります。光が消える前の一瞬の輝きのようだったのかもしれませんね。
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