平安夢柔話

いらっしゃいませ(^^)
管理人えりかの趣味のページ。歴史・平安文学・旅行記・音楽、日常などについて書いています。

十二単体験 ~新緑の京都で装束体験2

2008-05-30 20:20:19 | 旅の記録
 今回の旅行の主な目的は、京都文化博物館の6階で行われている井筒企画室さん主催のイベント、「紫の縁」(*このイベントは終了しました)に参加することでした。それで、どの装束を着ようかすごく迷ったのですが、やっぱり十二単にしました。

 今回は、なぎさんヨウダさんくたくたさん、それに初対面のろすまりんさん、中田文鳥さんと装束体験をご一緒することになっていました。そして、十二単の姫に変装する方が私を含めて4人、直衣姿の殿に変装する方が二人、それに加えてカメラマンとして隣のおばちゃんもいらして下さり、うちのだんなさんも加えて総勢8人のにぎやかな集団となりました。

 と言うわけで、源氏物語千年紀展の会場で偶然お会いしたなぎさん、ろすまりんさんとご一緒に、予約時間の12時ちょっと前に6階に上がりました。久しぶりの再会を喜び合ったり、初対面の方と挨拶したあと、十二単の着付けをして頂きました。着付けの方と楽しくおしゃべりをしながら着付けて頂きました。

 さて、今回私が選んだのは花橘のかさねの十二単です。以前にも着たことがあるのですが、色がきれいだと思って今回もこちらを選んでしまいました。では、十二単姿の私をご覧下さいませ。


   


 バックがいかにも平安時代風邪で素敵だと思いませんか?姫さまのお部屋っていう雰囲気です。

 ところで、十二単の美しさは長く後に引いた裳だと思います。今回は後ろ姿の写真も撮ってもらったのでそちらもご覧下さい。


   


 では、今度は私をメインにもう1枚。


   


 髪の毛が短い(これでは尼そぎに近いかも)のがちょっと…。今度十二単を着るときはもっと髪の毛が伸びているといいのですが。それともウィックでも買おうかな。

 さて、私は十二単を着るのは今回で5回目。5回目となると重い十二単にもだいぶ慣れ、わりとスムーズに歩くことができました。ただ、この日はかなり暑く、汗がにじみ出ているのがわかりました。平安時代、身分の高い殿や姫に使える女房たちは、この装束でお仕事をしていたのですから、夏は大変だっただろうなと実感。清少納言にしても紫式部にしても、女房たちはやっぱりたくましいです。

 それでも、今回も平安気分を満喫。御帳台で姫になりきって写真を撮ったり、女人舞楽までやってしまいました。十二単で舞を舞うのはかなり大変であまりうまく行きませんでしたが、いい経験をしました。
 双六の盤も置いてあったので、双六の筒を持って首をかしげてみました。でも、遊び方がわからない…。

 それからこんな物もありました。


        


 龍笛と笙です。特に笙をこんなに間近で見るのは初めてだったので感激。思ったよりも太くて短いです。この筒のような楽器から、あの幻想的な音が出るのだと思うとちょっと不思議な気持ちになりました。

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源氏物語千年紀展 ~新緑の京都で装束体験1

2008-05-27 17:19:40 | 旅の記録
 5月16日、待ちに待った日帰り京都旅行の日がやってきました。でも、目覚めがあまり良くない…。昨日、いつもより少し早く就寝したのですが、夜中の2時半頃に目が覚めてしまい、そのまま2時間ほど眠れませんでした。やっとうとうとできたと思ったらすぐに起きる時間です。トホホ…。

 それでも4時間くらいは眠れたのでよしとしましょう。荷物を確認して化粧をして、あ、エリカにご飯をあげなくては。それで何とか支度が整い、家を出たのが7時20分頃。在来線と新幹線のこだまを乗り継ぎ、浜松でひかり号に乗ったときにやっと一息ついたという感じでした。

 ひかり号の中では、最寄りの駅で買ったさけと昆布のおにぎり、それと浜松駅のホームで買ったうなぎのおにぎりを食べました。そう言えば昨年11月の京都旅行の時は、昆布だと思ったのにツナマヨネーズだったのよね。なので今回もどきどきしながら昆布のおにぎりを食べましたが、今回はしっかり昆布だったのでほっとしました。浜松駅で買ったうなぎのおにぎりがおいしかったです。さすが浜松はうなぎの産地です。だんなさんもいつものように車内販売のコーヒーを買ってご機嫌でした。

 そんなこんなで1時間ちょっとで京都に到着。すばらしい晴天で暑くもなく寒くもなく、良かった良かった…。駅からタクシーに乗り、京都文化博物館に直行しました。

 京都文化博物館ではちょうど、「源氏物語千年紀展」が行われていましたのでまずそちらを鑑賞。今年2008年は、一条天皇の皇子敦成親王の五十日の賀の際、藤原公任が紫式部に向かって、「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ(このあたりに若紫の君がおいでになりませんか?」)と声をかけてからちょうど千年になります。それを記念し、京都では色々な催し物が行われているのでした。「源氏物語千年紀展」もその一つです。これは見なければ損ですよね。

 会場は京都文化博物館の三階と4階。まず4階から見てきました。目立ったのは室町時代や江戸時代に描かれた源氏絵の数々です。源氏絵というと「源氏物語絵巻」しか知らなかったので、これほど多くの源氏絵が残っていたことに驚きました。「源氏物語」が長い間、人々に読み継がれていたことを実感させられました。

 私は音声ガイドをお借りして鑑賞したのですが、各展示についてわかりやすく説明して下さっていたので助かりました。音声ガイドの構成も工夫が感じられました。例えば葵の上と六条御息所の車争いの絵の場面説明の際、

男性の声(葵の上の従者)「葵の上様のお車だぞ、どけどけ。」
女性の声(六条御息所の侍女)「こちらのお方はそのように気やすいお方ではございません。」
男性の声「何を言っているんだ。こちらは正室だぞ。」
*だいたいこんな感じだという記憶で書いています。

と言うように、まるで音声劇のようになっていて面白かったです。六条御息所の車はこのあと、後ろに押し出されてしまい、彼女はプライドを傷つけられた恥ずかしさと嫉妬のため、怨霊になって葵の上にとりついてしまうのですが…。

 続いて3階にも行ってみました。こちらも貴重な品がたくさん展示されていましたが、源氏物語と紫式部について説明したビデオが流れていたのでそちらも鑑賞。河原院の跡に渉成園が造られたというのはちょっと疑問…などつっこみどころは少々ありましたが、初心者にもわかりやすい内容のいいビデオだと思いました。廬山寺や宇治、紫式部の墓など、私が以前行ったことがある場所も紹介されていました。こうしてみると私、源氏物語ゆかりの地には結構行っているのよね。あとは光源氏が紫の上を見いだした北山のなにがし寺の候補地である大雲寺や、その雰囲気を感じられるという鞍馬寺に行ってみたいなと思いました。

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第65代 花山天皇

2008-05-21 22:22:00 | 系譜から見た平安時代の天皇
☆生没年  968~1008
☆在位期間 984~986

☆両親
 父・冷泉天皇 母・藤原懐子(藤原伊尹女)

☆略歴

 名は師貞。冷泉天皇の第一皇子として安和元年(968)に誕生しました。2歳の時に、父の冷泉天皇の退位、おじの円融天皇の即位により皇太子に立てられ、17歳で践祚します。

 しかし外戚の力が弱く(後見は母方のおじに当たる権中納言藤原義懐)、藤原兼家一家の陰謀により寛和二年(986)六月二十三日に内裏を抜け出し、花山寺にて出家、退位します。

 出家後は書写山へ参詣したり、叡山・熊野に長期間滞在修行し、正暦三年(992)ごろ帰京しました。東院に住み、以後は寛弘五年二月八日の崩御まで風流三昧の生活を送りました。

 花山天皇は芸術に優れた人物でした。東宮時代からしばしばその邸に近臣と歌合や歌会を催し、『拾遺』や『後十五番歌合』の撰者にも擬せられています。『花山院御集』もあったようですが散逸しました。現存する御製は一一八首。そのうち長歌一首、連歌二首。
 絵画にも巧みで、工芸・造園・建築のデザインにも優れていたそうです。このあたりは「大鏡」にも多くのエピソードがあります。陰謀により早々と退位させられてしまいましたが、その後は自分の好きなことや趣味に思いっきり才能を発揮したとも言えそうです。ある意味ではたくましく生きた人ですよね。
 また、冷泉上皇の御所の火事の際、いち早くかけつけるなど、父親思いだったというエピソードも伝えられています。


☆父方の親族

 祖父・村上天皇 祖母・藤原安子(藤原師輔女)

主なおじ
 円融天皇 広平親王 為平親王 具平親王 昭平親王など

主なおば
 選子内親王 規子内親王(円融朝の伊勢斎王) 盛子内親王(藤原顕光室)など

主ないとこ
 一条天皇(父は円融天皇)
 源師房・隆姫女王・具平親王二女(敦康親王室)・(女専)子女王(後一条朝の伊勢斎王) (以上 父は具平親王)
 源頼定 源憲定 源顕定 恭子女王(一条朝の伊勢斎王)  婉子女王(花山天皇女御・藤原実資室) 女(具平親王室)(以上、父は為平親王
 藤原重家・藤原元子(以上 母は盛子内親王
 昭平親王の女(藤原公任室)など


☆母方の親族

 祖父・藤原伊尹 祖母・恵子女王(代明親王女)

主なおじ
藤原親賢 藤原惟賢 藤原挙兼 藤原義孝 藤原義懐 藤原光昭

主なおば
 九の御方(為尊親王室) 女(藤原為光室)

主ないとこ
 藤原行成(父は藤原義孝)
 藤原成房 尋円 延円(父は藤原義懐)
 藤原道信 藤原公信(母は藤原為光室)


☆兄弟姉妹とおい・めい

兄弟(○は同母兄弟 *は異母兄弟)
 *三条天皇 *為尊親王 *敦道親王

姉妹(○は同母姉妹 *は異母姉妹
 *光子内親王 ○尊子内親王(円融天皇女御) ○宗子内親王

おいとめい
 敦明親王(小一条院)・敦儀親王・敦平親王・師明親王・当子内親王(三条朝の伊勢斎王)・子内親王・禎子内親王(後朱雀天皇皇后) (以上、父は三条天皇)
 永覚(父は敦道親王)


☆主な后妃と皇子・皇女

 藤原(女氏)子(藤原為光女)

 婉子女王(為平親王皇女)*天皇の退位後、藤原実資の室となる。

 藤原姚子(藤原朝光女)

 藤原子(藤原頼忠女)

 平氏(中務乳母)(平 祐之女) → 清仁親王

平平子(平祐忠女・母は中務乳母) → 昭登親王

 四の君(藤原為光女)


☆末裔たち

 花山天皇の子孫からは天皇は出ていませんので、彼の皇子である昭登親王と清仁親王、そして清仁親王の子孫たちについて紹介します。

・昭登親王(998~1035) 母は平 平子
・清仁親王(?~1030) 母は中務乳母。

 実は昭登親王の母、平子は、清仁親王の母、中務乳母の娘に当たります。

 中務の呼び名で乳母として仕えていた母が、天皇の出家後に懐妊して清仁を生みました。また中務の娘平子も同じころ、皇子昭登を生んだため、清仁は母腹宮(おやばらのみや)と呼ばれ、昭登は女腹宮(むすめばらのみや)と呼ばれました。

 このように両皇子ともに天皇出家後の御子であったことから、寛弘元年(1004)に祖父冷泉院の擬子として五宮(昭登)、六宮(清仁)の処遇を与えられ、親王宣下されます。この親王宣下には、両親王の母の身分の低さを理由に、時の左大臣藤原道長が難色を示しましたが、花山天皇の強い希望によって実現したものだそうです。花山天皇が両皇子をいかに寵愛していたかがわかるような気がします。

 その後、昭登親王は最終的には四品中務卿となりました。清仁親王は四品弾正尹となりますが、長元年間(1028~37)の初めに出家しました。

・清仁親王の子孫たち
 清仁親王の子、延信王は万寿二年(1025)、源姓を賜って臣籍に降り、白川家を立て、永承元年(1046)に神祇伯(祭祀を司る神祇官の長官)に任じられました。これより、子孫代々この官に任ぜられて明治二年まで続きます。

 ただ延信の曾孫顕広王までは、他姓の者も神祇伯に任じられることがあったので、神祇伯が白川家の世襲となったのは顕広王・仲資王以降のことです。この顕広から神祇伯に任ぜられると「王」と称するようになったので、(王家)とも称されました。

コメントを下さる方は掲示板にお願いいたします。
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日帰り京都旅行

2008-05-19 11:42:30 | えりかの平安な日々 04~09
 すっかり遅くなりましたが、16日の日帰り京都旅行の簡単な報告をしますね。

 久しぶりの京都旅行の朝、7時20分頃に家を出て在来線と新幹線のこだま、ひかり号を乗り継ぎ、京都に着いたのが10時少し前。タクシーで京都文化博物館に直行しました。

 博物館ではちょうど、「源氏物語千年紀展」をやっていたので、まずそれを鑑賞。室町時代や江戸時代の源氏絵がたくさん展示されていて、「源氏物語」が長い間、人々から愛されていたのを実感しました。

 「紫の縁」は京都文化博物館の6階で行われていました。装束体験の予約は12時からだったので、時間に会わせて6階に上がり、十二単に着替えました。スタッフの方と楽しくおしゃべりをしながらの着付けでした。

 今回ご一緒させていただいたのは私とだんなさんを入れて総勢8人。十二単姿の姫が4人と直衣姿の殿が2人、でも変身をしたのは全員女性です。それにカメラマンが二人。ご一緒できて嬉しかったです。双六遊びをしたり笛を吹いたり、五節の舞姫になったりしました。気分はすっかり平安の姫です。

 装束体験のあとは京都文化博物館の1階の和食の店で昼食を食べました。そのあとは京都文化博物館の周りにある平安時代の邸宅跡を巡ってきました。写真は、京都文化博物館の北隣にある在原業平の邸宅跡を示す看板です。この近くには以仁王の邸宅跡や、待賢門院が鳥羽天皇・白河上皇と一緒に住んでいた御所の跡もありました。色々妄想できそうです。(^^)

 帰宅は夜の9時頃でした。このように、ちょっと疲れましたが楽しい1日でした。ご一緒させていただいた皆様、改めまして楽しい時間をありがとうございました。

 いつもの事ながら、写真などの準備ができ次第、「旅の記録」にて、今回の日帰り京都旅行の旅行記を連載しますのでしばらくお待ち下さいね。

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エリカ、13歳の誕生日

2008-05-15 08:27:52 | 猫のお部屋
 わ~い!、今日は私の13歳の誕生日なのニャン!

 …と、我が家の愛猫エリカが言っていますように、本日5月15日でエリカは13歳になりました。13歳というと、人間の年に換算すると60代後半、つまりエリカは立派なおばあさん猫です。しかも昨年、病気が見つかってしまいました。でも、幸い元気で、あちらこちらを飛び回っています。このように、1日でも長く元気でいてもらいたいです。

 それから、相変わらずおしゃべりです。ニャーと鳴いたかと思ったらギャーと鳴いてみたり、時々ワンと鳴いたり、時と場合によって鳴き方が変わるのは本当に面白い。エリカちゃん、これからもいっぱい楽しませてね。

 では、最近のエリカの写真を2枚、お披露目しますね。

 1枚目です。エリカが壁ぎわで寝ています。

 

 ここで寝ていると幸せだニャン。


 それでは2枚目です。だんなさんの膝の上で横になっているところです。何か、表情が生き生きしています。

 

 パパの膝の上にいると安心。幸せだニャン。

 親ばかだと思われてしまいそう(もう思われているって)ですが、おばあさん猫になってもエリカはとってもかわいいです♪

*トップページ、あるいはブログ右下に表示されているカテゴリの「猫のお部屋」をクリックすると、今までUPしたエリカの写真と記事が御覧頂けますのでぜひどうぞ。

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春のめざめは紫の巻

2008-05-13 10:52:27 | 図書室3
 今回は、先日紹介した「私本・源氏物語」の続編として書かれた本を紹介いたします。

☆春のめざめは紫の巻 ー新・私本源氏
 著者・田辺聖子 発行・集英社

☆本の内容紹介
 オジンなんてだーいキライ!もはや中年を迎えた光源氏。相変わらず恋まめ、色好みなのだが若き新人類の姫君たちにソデにされ、青息吐息…。恋と笑いで描くおもしろ源氏物語。

*この本は、昭和58年に実業之日本社から単行本として刊行され、その後文庫化されましたが、現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。

 画像は、私が所持している集英社文庫版です。


 上でも書きましたが、「私本・源氏物語」の続編として書かれた小説ですが、必ずしも全作をふまえて書かれたものではないようです。設定は一応、光源氏が明石から帰還した頃から始まっているようですが、原典のストーリーにわりと忠実に書かれていた全作とは違い、かなりオリジナル色が強いです。なのでちょっとがっかりされる方もいらっしゃるかもしれません。

 この小説で取り上げられている姫君は、紫の上、末摘花、玉鬘、近江の君、六条御息所とその娘さん、朝顔斎院、空蝉、女三の宮です。そして、女君本人や侍女たちの語りによって物語が進められています。ヒロインたちはいずれもかなり現代的で辛口になっています。特に、紫の上や玉鬘、近江の君、、女三の宮と言った若い姫君たちからは、源氏は「古い」「好みではない」とあまり評判が良くないようです。
 それに比べてわりと評判がよいのがヒゲの伴男です。そうなんです、ヒゲの伴男、女房とくっついて源氏と女君の仲を取り持ったりなど、全作に引き続いて大活躍しています。

*以下、ネタ晴れ注意です。

 この小説は、原典とストーリーがだいぶ違っていますので、それを楽しむのも一興かもしれません。

 例えば近江の君、彼女は母親が亡くなったあと、「父親の大納言(前の頭中将です)に会いたい」と思って、乳姉妹の五節と一緒に近江から都に出てくるのですが、都に出てきた早々、引ったくりにあってしまいます。そこを救ってくれたのが伴男、そこでひょんな事から源氏に引き取られてしまうのです。そして、近江の君が恋した相手が夕霧だった…というストーリーになっています。

 また、玉鬘は、母親の夕顔が行方不明になったあと、乳母の一家と共に九州に下るというのは原典に沿っていますが、あの恐ろしげな大夫の監に恋してしまうのです。それでも彼女は都に上ることになるのですが、大夫の監のことを忘れることができないのでした。これはなかなか面白い視点だなと感じました。

 わりと原典に沿っていたのは女三の宮の巻です。源氏への降嫁、そして柏木との密通がユーモラスに描かれています。この物語の中で女三の宮は「私は源氏の君となんて結婚したくなかった」「源氏の君なんて嫌い!」「紫の上と比べられるのは嫌!」と言っていますが、これが案外、女三の宮の本当の気持ちだったのではないかしら。

 そして、私が一番面白いと思ったのが空蝉の巻です。原典にも描かれている、方違えに来た光源氏が空蝉の部屋に忍んでいくところはこの物語にも出てきますが、原典にはほとんど登場しない空蝉の夫、伊予介が登場します。そしてこの伊予介がとても素敵に描かれているのです。伊予介と空蝉の会話もユーモラスなのですが、空蝉が本当の愛に気づかされるラストは感動的です。

 この本を通して読んで感じたことは、「女は強い」です。とにかく元気が出ます。ひと味違う「源氏」の世界、ぜひ堪能してみて下さい。

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私本・源氏物語

2008-05-07 20:11:51 | 図書室3
 今回は、「源氏物語」をもとにした連作小説を紹介します。

☆私本・源氏物語
 著者・田辺聖子 発行・文芸春秋

本の内容紹介
 父は帝、舅は左大臣という恵まれた一族の星「ウチの大将」こと光源氏を、従者の目で描いた長篇。古典がこれほどまでに面白く解釈され、物語化された小説も少ない

*この小説は、昭和55年に実業之日本社より単行本として刊行され、その後文庫化されましたが、現在では絶版のようです。興味を持たれた方、図書館か古書店を当たってみて下さい。

 画像は、私が所持している文春文庫版です。


 この小説は「源氏物語」の現代語訳ではなく、著者の田辺聖子さんが創作した光源氏の従者、伴男という中年のヒゲ男から見た光源氏の恋愛遍歴や日常を描いたものです。つまりキャッチフレーズは、「従者は見た!光源氏の実態と女君たちの真相」といったところでしょうか。

 この小説で取り上げられているのは、原点で言うと明石の巻まで、登場するヒロインは夕顔、紫の上、末摘花、源典侍、朧月夜、花散里、六条御息所、明石の上の8人です。他に、空蝉と葵上もちょこっと登場します。あらすじは「源氏物語」の原典にだいたい沿っていますが、ヒロインたちの性格や行動はだいぶ違っています。ちょっとネタ晴れになってしまいますが、一例を紹介しますね。

 まず紫の上、彼女は雀取りの大好きな乱暴でおてんばな女の子、おまけにすごくませていて、光源氏をたじたじにしてしまいます。そして花散里は色気より食い気の当時としては変わった姫様、光源氏はおいしい物が食べたくなると彼女のもとを訪ねる…といった具合です。源典侍の邸に使えているのはみんなおばあさん、さすがの光源氏も参ってしまいます。そのおばあさん達に比べると源典侍は色気があって若々しく、原点で描かれているよりも魅力的に感じました。
 しかし、一番びっくりしたのは末摘花と明石の上の設定でした。この二人のことを書くとものすごいネタ晴れになりますのでここには書きませんが、「こんな解釈もあるんだ~」と驚かされますよ~。

 それからこの小説は伴男の語りというスタイルで話が進んでいくのですが、伴男は光源氏のことを「ウチの大将」と呼んでいます。つまり、「親分」という意味のようです。この伴男がなかなかいい味出しているのですよね。何か、「中年の希望の星」という感じがします。伴男から見た光源氏は、とにかく言い出したら聞かないわがまま坊ちゃん、世間知らずで大飯食らい、みやびとはほど遠く、そこがまた愉快です。
 それと、男性陣の会話はすべて関西弁、このあたりもユーモラスで、特に源典侍の章などは上方落語を読んでいるような感覚でした。ちゃんと落ちもありましたし。

 このようにとにかく面白い小説です。「源氏物語」を現代的なパロディのように仕立てているので違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はとても楽しく読むことができました。

 なお、この「私本・源氏物語」には続編と番外編も出ています。こちらも読み終わりましたら紹介したいと思っています。

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ちりとてちん 総集編

2008-05-06 14:50:12 | えりかの平安な日々 04~09
 昨日と今日の朝8時35分から放映された「ちりとてちん」の総集編、見ました~。やっぱりいいドラマです。

 まず昨日の前編、オープニングテーマが流れてきてなつかしくてたまらなくなりました。小説本を読んでストーリーは知っているものの、最初の方はほとんど見ていないので画面を食い入るように見つめていました。正太郎おじいさんがいい味出していました。そして、「愛宕山」の落語の入ったカセットテープが、このドラマの大きな伏線になっていたのですね。
 喜代美ちゃんと糸子お母ちゃんが、「おじいちゃんが天国で幸せでありますように」「もう一度おじいちゃんに会えますように」「喜代美が幸せになれますように」と言いながらかわらけ投げをするシーンは泣けました。

 そのあとも、笑ったり泣いたりの連続でした。草若師匠復活のシーンも見ることができて良かったです。…というわけで、テレビを見終わったあと、腫れた目のまま買い物に行った私です。

 そして今日も、テレビの前にしっかり座って後編を見ました。草々兄さんが壁を壊して喜代美ちゃんの部屋に入り、「今日からおまえが俺のふるさとや」と言うシーンはいいですね。草々兄さんすてき♪師匠との別れはやっぱり悲しかったです。そして、「お母ちゃんのようになりたい」にはやっぱり涙が…。

 もちろん総集編ですから多くのエピソードがカットされていました。喜代美ちゃんがお囃子を失敗するところや、草若師匠とおじいさんの地獄での再会、小草若復活のシーンなど、見たかったシーンがカットされていて残念でした。でも、時間がないので仕方がないことなのですが…。制作者も涙をのんでカットしたんだろうなあ。
 ただ不思議なことに、総集編を見ていたら、カットされたシーンがすーっと頭の中に浮かんでくるのです。それだけ内容の濃いドラマだったのですよね。

 ビデオにもしっかり録画しました。…と言っても、我が家のビデオ、再生はできるのですが、やっぱり2台とも録画できなかったので、お義母さんに頼んで母屋のテレビのビデオで録画してもらいました。感謝です。このビデオは永久保存版にします。

 こうなったら欲が出てくるもので、全編見たいですね。来月にはDVDボックスが発売されるようですが、高くてちょっときついので、レンタルで探してみようかな。再放送もちょっと期待です。

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楽しみなこと♪

2008-05-02 21:20:32 | えりかの平安な日々 04~09
 世間はゴールデンウィークですが、私の生活は普段とほとんど変わりません。今週末も全く予定がないです…。

 ただ、このゴールデンウィーク中に、とっても楽しみなことがあるのです。(^_^)/

 昨年10月からこの3月まで放映され、途中からではありますがすっかりはまってしまったNHK朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」の総集編が総合テレビにて放映されるのです。放映時間は、

 前編 5日(月) 午前8時35分から
 後編 6日(火) 午前8時35分から

 の前・後編2回です。会わせて約200分だそうで、特にあまりしっかり見ていなかった前編が楽しみです。ああ、5日が待ち遠しい。また喜代美ちゃんや徒然亭一門、小浜の家族の皆様にお会いできるのでわくわくです。ビデオにもしっかり撮る予定です…と書くと、「えりかさんの家のビデオは壊れていたのでは?」と不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが、実は寝室にある小さなテレビについているビデオなら録画できるみたいなのです。なので録画に挑戦します。どうかしっかり撮れますように。

 あ、そうそう、関西限定で7月に放映されることが決まっていた外伝ドラマ、BSで全国放送が決まったそうです。NHKさんに要望メールを出した甲斐がありました。喜代美ちゃんの兄弟子の草原・小草若・四草を中心としたドラマだそうで、こちらもとっても楽しみ♪

それから…、これはゴールデンウィーク中のことではないのですが、京都文化博物館で行われる紫の縁に、再来週の平日に参加することにしました。今回も日帰り旅行ですが楽しみです。どの装束を着ようか迷ったのですが、やっぱり十二単にしました。平安時代にタイムスリップできる展示もとっても素敵みたいですし、京都文化博物館の周りには源氏物語ゆかりの邸宅跡もたくさんあるようなので、そちらもじっくり見てきます。

 このように、今月は楽しみなことがたくさんあってわくわくです。

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