平安夢柔話

いらっしゃいませ(^^)
管理人えりかの趣味のページ。歴史・平安文学・旅行記・音楽、日常などについて書いています。

なくなった帽子の行方

2010-08-16 21:09:14 | えりかの平安な日々 10~18
 暑いですね。残暑お見舞い申し上げます。

 最近、なかなか更新できないでいますが、暑くて頭が働かないので、歴史関連の記事の更新はもう少し、お休みを頂くことになりそうです。本は読んでいるのですけれどね…。簡単な感想などは、気が向いたら「読書日記」の方に書くかもしれません。

 さて、今日は日記の更新です。実は、私の帽子がネタを提供してくれました。と言うか、私がとろくさいだけなのですが…。

 私は、目の関係もあって、日射しが強くなる5月末頃から、外出には帽子が欠かせません。現在、かぶっている帽子は縁のついたクリーム色の帽子で、網のような生地で出来ています。それで、デザインも何となく気に入っていますし、何よりもサイズがぴったりなので、すごく重宝しています。

 ところが、私はちょっと悪い癖がありまして…。
 私は、週に2~3回、気分転換を兼ねて電車に乗って静岡まで買い物や食事に行っています。
 それで、電車に乗って座席に座ると帽子を脱ぎ、膝の上に置きます。その上にショルダーバッグを載せています。そうすれば、帽子が座席から落ちませんものね。
 ところが、悪い癖というのが電車を降りるときに出てしまうのです。ついつい帽子のことを忘れ、ショルダーバッグを肩にかけて、そのまま電車を降りようとしてしまうのです。それで、「すみません、帽子が落ちましたよ」と近くの人に教えてもらってはっとする…といった具合です。
 そんなわけで、「このままでは今に帽子を落としてしまう。気をつけなくては」といつも思っていたのですが、今月13日の金曜日についにそれをやってしまいました。

 その日は、2時15分頃にだんなさんと静岡駅で待ち合わせていたので、最寄りの駅を1時40分頃に発車する電車に乗って静岡に行きました。
 静岡駅で電車を降り、ホームの階段を下りようとしたとき、帽子がないことに気がついたのです。今なら間に合うかもしれないと思い、電車の中に戻りましたが、見当たりません。おまけに、「この電車は車庫に引き上げます。ご乗車できません。間もなく発射します。」のアナウンスが…。このまま乗っていたら車庫まで連れて行かれてしまいます。これは大変とあきらめて、仕方なく電車を降りました。

 新しい帽子を買おうと思いましたが、デザインが気に入っていてサイズがぴったりの帽子なんて、ありそうでなかなかないかもしれません。やっぱり落とした帽子のことをあきらめきれなくて、電車が静岡駅止まりだったこともあり、「ひょっとしてどなたかが拾ってくれているかも…」と思い、だんなさんと遅いランチをしたあとに忘れ物センターに行ってみました。
 しかし、それらしい帽子は届いていませんでした。それでも、「電車が車庫に引き上げたということは、ひょっとしたら一緒に車庫まで行ってしまったかもしれませんね」とセンターの人に言われたので、出てきても出てこなくても、明日の朝に、私の携帯電話に電話をして欲しいと頼み、電話番号と名前を紙に書いて、センターをあとにしました。この時点で、私は出てくる確率は五分五分だと思っていました。でも、だんなさんは、「あの帽子はそれほど上等ではないから、盗る人はまずいないよ。大丈夫だ」と言っていましたが…。

 その通りで、その日の夕方、私の携帯電話に、「それらしい帽子がホームの階段付近にありました」と電話が来ました。と言うことは、どうやら帽子は、私が座席から立って歩き出したとき、そのままスカートに張りついていたのかもしれません。でも、私が電車から階段の方に歩いている間に落ちてしまったのでしょう。私はぼーっとしていて全く気がつかなかったのですが。

 土曜日は用事があって行けなかったので、日曜日のお昼に静岡に行き、帽子は無事に私の手元に戻ってきました。これからは絶対に落とさないように気をつけなくては。そのために、電車の中で帽子を脱いでいるときは、膝の上ではなく、ショルダーバッグの中に入れてしまおうと、固く決心したのでした。

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葵の帝 明正天皇

2010-08-08 21:37:48 | 図書室3
 今回は、江戸時代初期の天皇家を舞台にした小説を紹介します。

☆葵の帝 明正天皇
 著者=小石房子 発行=作品社 価格=2100円

内容(「BOOK」データベースより)
 天皇家の乗っ取りを企む家康の野望。幕府を利用しつつ徳川の血を断固拒む後水尾天皇。東福門院と後水尾という強烈な個性の宿命の確執を、政略に翻弄される娘の視点より鋭く描く。好評の書き下ろし女帝シリーズ第4弾。

 タイトル通り、江戸時代初期に女帝として即位した、後水尾天皇と徳川秀忠の娘の東福門院和子との間に生まれた明正天皇(小説では女一宮で通されていたので、以降、小説の内容に触れる時は女一宮と記載します)を主人公にした歴史小説です。

 まず最初に書いておきますが、この本、ネット上の評判はあまり良くありません。

 確かに主人公である女一宮は、古代の持統女帝や孝謙・承徳女帝と比べると性格もおとなしく地味で、業績らしい業績もありません。物語のヒロインとしてはかなり役不足です。
 また、この小説では、即位後の女一宮が養育係のお図や侍女たちと一緒に、御所の築地塀の破れ目から通行人を眺め、庶民の生活について学習するといった、絶対あり得ないようなエピソードも出てきます。そのような点で、好き嫌いが別れる本だと思います。

 しかし…、なぜか私、この小説をかなり面白く読みました。

 その理由は、ずっと以前から、明正天皇という女帝のことが気になっていたからだと思います。

 上でも書きましたが彼女は、天皇家を思い通りにしようとする徳川家の娘、東福門院和子と、天皇家を徳川の思い通りには絶対にさせないと考えている後水尾天皇との間に生まれました。つまり仇同士の両親の間に生まれたのです。
 東福門院については、何とか天皇家に溶け込もうと努力するものの、なかなかそうはいかないという微妙な立場について書かれた本を、何冊か読んだことがありました。政略結婚の悲劇とも言うべきでしょうか。
 しかしそのたびに思うことは、何もわからない7歳の幼さで天皇にさせられてしまった明正天皇の立場や気持ちはどうだったのかしら?ということでした。そこでこの、「葵の帝 明正天皇」を手に取ってみたわけです。

 確かに、両親のせめぎ合いの話が多く、その間で苦悩する女一宮は天皇というよりも、平凡な一人の皇女というイメージを受けました。しかし、女一宮の心の動きはかなり詳細に描かれていて、それほど退屈には思えませんでした。お忍びでの行幸など、ちょっとはらはらさせられる場面もあります。

 それと、やはり脇役に個性的な人物が多かったです。

 後水尾天皇や東福門院はもちろんですが、私の印象に強く残ったのは、女一宮の養育係のお図という女性です。
 お図は、女一宮に日本の歴史や古典を教えると同時に、女一宮が立派な女帝になれるように心を配り、「人には誰でも宿命というものがある。おかみの宿命は、天皇家と徳川家の融和を図ることです。」と諭します。女一宮はお図の教育によって成長し、何度も心が救われることになるのです。

 もし、この小説にお図が登場しなかったら、本当につまらない話になっていたと思いますので、私はこちらで紹介しなかったかもしれません。

 それに、お図がいなかったら、女一宮が譲位後に心のよりどころとする一介の僧、江玉和尚との出会いもなかったわけですし。
 そうそう、私は上で、女一宮がお図や侍女たちと一緒に御所の築地塀の破れから通行人を眺めるなんてあり得ないエピソードだと書きました。が、実はこのエピソードが、女一宮と江玉和尚を出逢わせる伏線となっているのです。なのでこのエピソードは、小説としては大変面白いです。

 この「葵の帝 明正天皇」では、一生独身を強いられた女一宮は、お図と江玉和尚によって心が救われたと描かれています。地味な作品ですが、私にとっては心に残る1冊になりそうです。明正天皇の勅願寺である京都山科の十禅寺にも、いつか訪れてみたいと思いました。


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「美貌の斎王 桓武妃酒人内親王」の復刊にご協力下さい

2010-08-03 21:44:08 | お知らせ・ブログ更新情報
 本日、とっても久しぶりに復刊ドットコムで復刊リクエストに投票しました。

 投票した本は、『美貌の斎王 桓武妃酒人内親王(藻里良子著 文芸社)』という本です。

 この本は、光仁天皇の皇女で、伊勢斎王に卜定されて伊勢に下向し、母と弟の非業の死によって斎王を退下、その後、桓武天皇の妃になった酒人内親王を主人公にした歴史小説です。

 私はこの本のことを、2年くらい前にmixiの友人に教えて頂きました。酒人内親王には興味があるので、タイトルを見て「読みたい」と思い、amazonのページに行ってみたところ、品切れになっていました。でも、「この商品が購入可能になった場合、メールでお知らせします。」という表示が出ていたので、メール受信の登録をしておきました。

 その後、mixiの別の友人から、「楽天で購入可能になっているよ。」と教えていただいたので、早速、購入手続きをしたのですが、2日後、「この商品は品切れです。」というメールが届きました。

 それから2年近く、古書店でも探しているのですが、見つかりませんし、。amazonからのメールも届いていません。どうやら絶版になってしまっているようです。
 そして今日、「美貌の斎王」で検索をかけてみたところ、復刊ドットコムのリクエストページが見つかったので、早速投票してきた…というわけです。

 この復刊ドットコムというサイトは、絶版本をリクエスト投票によって復刊しようというサイトです。リクエストが100票になると、復刊交渉をしていただけるのだそうです。4年くらい前、この復刊ドットコムのリクエスト投票によって、「平安時代史事典」もCD-ROMで復刊したという実績もあります。

 そのようなわけで、酒人内親王を主人公にした小説は貴重だと思いますので、読みたいと思われた方、興味を持たれた方、サイトへの会員登録が必要ですが、ぜひ復刊リクエスト投票にご協力下さい。よろしくお願いします。

「美貌の斎王 桓武妃酒人内親王」の復刊リクエスト投票ページへ

 なお、酒人内親王の母、井上内親王も、娘の朝原内親王も、伊勢斎王でした。祖母・母・娘と三代で斎王を勤めたのは彼女たちだけです。そのため彼女たちは、「三代の斎王」と呼ばれています。
 三代の斎王については、当ブログの「旅の記録」の、「斎王に逢う旅」内の、「斎宮の10分の1模型」のページもご覧下さいませ。


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