赤毛のアンシリーズの最終巻「アンの思い出の日々」を先日、読了しました。
赤毛のアンシリーズについては、「こちら」と「こちら」で書きましたが、「アンの娘リラ」で完結だとずっと思っていたので、続きの巻が出ていたとは驚きでした。
実はこの巻の原稿は、作者L・M・モンゴメリが亡くなった当日(1942年4月24日)に何者かによって出版社に持ち込まれたものだそうです。しかし、そのままの形で出版されることは長い間ありませんでした。
どうしてそうなったかと言いますと、この原稿は反戦の色が強く、第2次世界大戦のまっただ中だった当時としては差し支えあったとのこと。その後、何らかの理由によって埋もれてしまったのでしょうね。
そして4年前、ようやくモンゴメリが望んだ形で本国カナダで出版され、昨年、アンを初めて日本語に翻訳した村岡花子さんのお孫さんの村岡美枝さんによル邦訳で日本でも新潮文庫から刊行されました。購入しようかとも思ったのですが、「もう少し待てばサピエ図書館(視覚障害者用のネット図書館)にUPされるかもしれないので少し待ってみよう」と思って待っていたのですが、2週間ほど前にUPされているのに気がついたのでようやく読むことが出来たわけです。
それで本の内容なのですが、15編の短編と、アンやアンの息子で第1次世界大戦で戦死したウォルターによる詩、それとブライス家の人たちの語らいで構成されています。
短編はアンの住んでいるグレンセントメアリ村周辺の人たちのエピソードが中心で、アンやアンの家族たちは脇役か噂話で登場する程度です。でも、アンの世界と設定は同じなので、親しみ深く読むことが出来ました。思いがけない展開の話が多かったですが、幼い頃、心を病んだ伯母と庭を散歩したときに出会った生年を忘れられずにいる妄想いっぱいの女性が主人公の「思い出の庭」と、両親と死に別れ、親戚をたらい回しにされる愛情に飢えた少年が主人公の「パットはどこへ行く」が特に好きです。
特に「パットはどこへ行く」は、「こんな偶然な話ってあるのかしら」という展開のようにも思えますが、運命に引き寄せられるとか、偶然とか、最近そのような体験をしたばかりの私なので、「こういう事もあり得るかも」と思いながら読みました。
アンやウォルターの詩やブライス家の人たちの語らいの部分では、アンの家族たちの新たな一面が発見出来ます。「アンの娘リラのリラとケネスは無事に結婚したんだ~」とか…。
それと同時に、ウォルターの戦死がブライス家の人たちに与えた影の大きさも感じました。特に、ウォルターが詩を書くことを批判的に見ていた家政婦のスーザンが、彼の死後、そのことを後悔するくだりが印象的でした。
この「アンの思い出の日々」は、第2次世界大戦勃発の時期、つまりアンの孫の世代までの時代の出来事が語られます。喜びや夢といった明るい部分だけでなく、復讐や死や裏切りなど、人生の闇の部分、戦争が人に与える悲しみなど、思い部分もありましたが、読むことが出来て良かったと思います。やっぱりアンシリーズは私の永遠の愛読書です。
アンの思い出の日々(上・下)
ルーシー・モード・モンゴメリ 村岡美枝・訳 新潮文庫 各778円
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赤毛のアンシリーズについては、「こちら」と「こちら」で書きましたが、「アンの娘リラ」で完結だとずっと思っていたので、続きの巻が出ていたとは驚きでした。
実はこの巻の原稿は、作者L・M・モンゴメリが亡くなった当日(1942年4月24日)に何者かによって出版社に持ち込まれたものだそうです。しかし、そのままの形で出版されることは長い間ありませんでした。
どうしてそうなったかと言いますと、この原稿は反戦の色が強く、第2次世界大戦のまっただ中だった当時としては差し支えあったとのこと。その後、何らかの理由によって埋もれてしまったのでしょうね。
そして4年前、ようやくモンゴメリが望んだ形で本国カナダで出版され、昨年、アンを初めて日本語に翻訳した村岡花子さんのお孫さんの村岡美枝さんによル邦訳で日本でも新潮文庫から刊行されました。購入しようかとも思ったのですが、「もう少し待てばサピエ図書館(視覚障害者用のネット図書館)にUPされるかもしれないので少し待ってみよう」と思って待っていたのですが、2週間ほど前にUPされているのに気がついたのでようやく読むことが出来たわけです。
それで本の内容なのですが、15編の短編と、アンやアンの息子で第1次世界大戦で戦死したウォルターによる詩、それとブライス家の人たちの語らいで構成されています。
短編はアンの住んでいるグレンセントメアリ村周辺の人たちのエピソードが中心で、アンやアンの家族たちは脇役か噂話で登場する程度です。でも、アンの世界と設定は同じなので、親しみ深く読むことが出来ました。思いがけない展開の話が多かったですが、幼い頃、心を病んだ伯母と庭を散歩したときに出会った生年を忘れられずにいる妄想いっぱいの女性が主人公の「思い出の庭」と、両親と死に別れ、親戚をたらい回しにされる愛情に飢えた少年が主人公の「パットはどこへ行く」が特に好きです。
特に「パットはどこへ行く」は、「こんな偶然な話ってあるのかしら」という展開のようにも思えますが、運命に引き寄せられるとか、偶然とか、最近そのような体験をしたばかりの私なので、「こういう事もあり得るかも」と思いながら読みました。
アンやウォルターの詩やブライス家の人たちの語らいの部分では、アンの家族たちの新たな一面が発見出来ます。「アンの娘リラのリラとケネスは無事に結婚したんだ~」とか…。
それと同時に、ウォルターの戦死がブライス家の人たちに与えた影の大きさも感じました。特に、ウォルターが詩を書くことを批判的に見ていた家政婦のスーザンが、彼の死後、そのことを後悔するくだりが印象的でした。
この「アンの思い出の日々」は、第2次世界大戦勃発の時期、つまりアンの孫の世代までの時代の出来事が語られます。喜びや夢といった明るい部分だけでなく、復讐や死や裏切りなど、人生の闇の部分、戦争が人に与える悲しみなど、思い部分もありましたが、読むことが出来て良かったと思います。やっぱりアンシリーズは私の永遠の愛読書です。
アンの思い出の日々(上・下)
ルーシー・モード・モンゴメリ 村岡美枝・訳 新潮文庫 各778円
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