マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

第4章 上級ステップ(1)

2009年06月30日 | 数独

(4)上級ステップ
 ①「XY-wing」 の成立を調べる
 中級ステップまでは(1)マスに数を入れる (2)候補数を消去する手筋、を考察し、一部例外(「2国同盟」)を除いて、ある候補数についての消去を考えました。更に複数の候補数を考える事とし、一つのユニット内を考察(「同盟」関係)しました。ここからは「幾つかのユニットに跨り、複数の候補数」について考えます。
 その手筋は沢山あります。問題解決に登場する事の多そうな「手筋」から順に紹介します。まず「XY-wing」です。「X-wing」が候補数一つについての「手筋」でしたから、複数のユニットの間で成立する「XY-wing」は「X-wing」とはまるで内容が違います。図1を見てください。


           図1
 「XY-wing」の一般的定義では無く、図1に即して”準定義”的な説明をします。マスb2に注目です。ここには候補数は2個{x,y}のみが入る事を図の様に表し、b2={xy}と表現します。その{xy}のマスと同一のユニット(b行)の中のマスがb6={xz}で、かつ{xy}のマスと同一のユニット(2列)の中のマスをd2={yz}とします。この時b6={xz}とd2={yz}の両方と同一ユニットを形成するマスが存在すれば(図では水色印のマスd6)、そのマスに候補数zは存在しない、言い方を変えれば、そのマスからzを消去出来る、これが「XY-wing」の内容です。
 少し記号に拘れば、この事実を『zx-xy-yz』と表現し、真ん中の「xy」(のマス)を「核」と呼ぶ事があります。
 又マスd6の事を「b6、d2の両方のマスを見ることの出来る」マスと呼ぶ事もあります。何故この「手筋」が成立するか。説明は図2をご覧下さい。


           図2
 図2で仮にd6=z と数が確定すれば、連鎖的にb6=x、d2=y と決まり、b2に入る数がなくなってしまいます。
 この「XY-wing」は次のような場面でもその成立条件を満たしていますから、結論として幾つかのマスからzを消去出来るわけですが、図3を見て、消去出来るマスを過不足なく指摘できますか。


           図2
 正解は図3を見てください。


          図3
  {xy}を核として『zx-xy-yz』の「XY-wing」が成立しますから、{xz}と{yz}を見ることの出来る、図3の水色印のマスから、zを消去する事が出来ます。
 さて図4で、「XY-wing」が成立するか否かを調べる局面に立ち至ったとします。どう「XY-wing」は成立しているのでしょうか?
 解答を読む前にお考え頂いても結構ですし、読んだ後例題に挑戦して頂くのでも良いかと思います。(例題は次回のブログで)

             図4
 「XY-wing」攻略の戦略について書きます。
 「XY-wing」は発見が難しいと、”大海原で真珠を探す”事に譬えられますが、そんなことはありません。比較的簡単です。何故なら、候補数が2個のマスについてのみ考えれば良いからで、かなり限定して考察すれば良いからです。図4と図5の両方を見ながら、お読み下さい。

             図5
 マーちゃんは、ペア数の一覧を作ります。例えば{3,2}なるペア数は23と認識し、ペア数を小さい順に並べます(図5左)
例えば19(3)はペア数19は3回登場するという意味で、この重要性は後述します。
 ペア数を小さい順に並べた後、12と13から出来るペア数23がこの一覧の中に登場するか眺めます。ありません。
  12と15のペア数から出来るペア数25は一覧の中にありますから(12 15 25)が「XY-wing」を形成する可能性ありとして図5の右の図に書き置きます。
 丁寧に、全ての場合について調べ尽くし、この組合せを作っていったところ、図の右のような組合せで「XY-wing」の可能である事が判明しました。
 次に、解いている問題用紙を用い、該当するマスの上にオセロ石を置き「XY-wing」の条件を満足しているか調べます。これらを調べるときに例えば19のマスにオセロ石を置くときに、19(3)ですから、19の置き場所3通り全てを調べなければなりません。19(3)はこの点の注意マークの意味もありました。
 さて、(12 15 25) (12 17 27) (13 17 37)
(13 19 39)の全てで「XY-wing」の成立する条件の配置は見出せません。「XY-wing」不成立ですが、最後に(24 25 45)で「XY-wing」が成立している事に気が付き、ホッとします。図6を見てください。


            図6
 『a1-c2-g2』で「XY-wing」の条件を満たしています。それらのマスで『54-42-25』が「XY-wing」。よってa1とg2を見る事の出来るマスg1(水色印マス)から5を消去出来ます。
 g1={37}となった結果、g1=h2={37}で「自明の2国関係」が成立しますから、h3から7が消去でき、h3=2が確定し、後は、問題が堰を切ったように解決に向かいます。
             

 


第3章 中級ステップ(9)

2009年06月30日 | 数独

(2)「候補数を消去する」手筋
 ⑨「オセロ石」を用いる
 さて図1はf行で「自明の4国同盟」と「隠れた4国同盟」が成立する事を示すものです。i行の考察に入る前に、ここで又「オセロ石」を用いて、視覚的に「4国同盟」を見抜く方法を紹介します。



             図1
 用意するものは図2の様な用紙で、各マスにはオセロ石を置ける程度の大きさのものを用意してください。
 図1のf行で、マスf1の候補数は{4、5、7}です。この事実に対応し、図2の1行(a行)の様に4、5、7列に石を置きます。(本当は黒面が上に来るのですが、この図では赤印をつけています)
 以下、f2には候補数の{3,4,5}が存在する事柄に対しては、2行(b行)の3列、4列、5列に石を置きます。f3に候補数はありませんから3行(c行)には石は置きません。以下f9に対応して9行(i行)の様に石を置き図2が完成します。この図を見ながら視覚的に考えようという訳ですが、若干省略が可能です。「自明の4国同盟」に登場するマスの候補数は4個以下です。候補数が5個以上のマスを考察する必要はありません。そこで候補数が5個以上のマスに相当する図2の行、d行とf行とi行から石を取り除いた図3で考えます。


            図2
 下の図3で上手く4行を選び、その4行に登場する数が4個!となる様な4行が存在するかを考えるわけです。それは、実は「Jerry  Fish」を探す事と同じではありませんか。比較的簡単に、a行(実はf1マス)、b行(実はf2マス)、e行(f5マス)、h行(実はf8マス)が「Jerry  Fish」を構成す事が読み取れると思います。
 「自明の4国同盟」は{f1、f2、f5、f8}で成立と言うわけです。


            図3

 では「隠れた4国同盟」の成立はどうは。「隠れた4国同盟」に登場する候補数はそのユニットの中で4回以下と言う条件がありますから、登場する回数が5回以上の候補数は考える対象から外します。図2のオセロ石の配置から5回以上登場する候補数4と5に対応する4列と5列からオセロ石を取り除いた状態が図4です。
 図4で上手く4列を選び、その4列に登場する行(図4ではa~i行。実際はそれに対応すf1マス~f9マス)が4個のものを見出すわけです。これまた「Jerry  Fish」の探索と同じです。列についての考察で「Jerry  Fish」を探すわけで、これまた容易に1列、6列、8列、9列が「Jerry  Fish」を構成し、登場する行はd行(実はf4マス)、f行(実はf6マス)、g行(実はf7マス)、i行(実はf9マス)であることが分かると思います。
 {f4、f6、f7、f9}の4マスが「隠れた4国同盟」構成です。


            図4
 さていよいよi行の考察です、図1のi1~i8マスの候補数の存在に対応してオセロ石を置きます。図5の様になります。


             図5
 「自明の4国同盟」では5個以上の候補数の登場するマス(上の図ではd行)からオセロ石を取り除いた図6で、行についての「Jerry  Fish」を考察します。これにはかなり時間を要すると思いますが、視覚的にその成立が無い事が確かめられると思います。


            図6
 最後に「隠れた4国同盟」の考察ですが、図5で5回以上登場する候補数はありませんから、削除する列は無く、図5そのものを対象にして、列についての考察で「Jerry  Fish」の成立を考察します。これもかなり時間が掛かることと思いますが、丁寧な視覚的観察により、「Jerry   Fish」不成立を確かめられる事と思います。
 一般的に言えばf行対応のオセロ石の状態図2や、i行対応のオセロ石状態図5の、行と列の考察で「自明の4国同盟」と「隠れた4国同盟」が考察出来るわけで、「自明」と「隠れた」が統一的に考察出来ます。
 最後に9マス全部が未知のユニットはどう考察するのかと言う問題が残りますが、「自明の4国同盟」と「隠れた4国同盟」考察が、実は「5国同盟」の考察になっていることを指摘しておきます。「4国同盟」を超えて考察する必要は無い!のです。