六合村へ
六合村と書いて”くにむら”と読みます。群馬県北西部に位置し、草津町に隣り合う、人口僅か1700人ほどの小村でした。1900年に草津村から、小雨、赤岩、生須、太子、日影、入山の6つが分離・独立して六合村を作り、本体の草津村は草津町となりました。私見ですが、この分離・独立は昨今流行りの町村合併の逆を行き、この6つのは草津から切り離され、見捨てられたのです。勝手に生きよと言われたに等しい”分離・独立”だったと思います。2010年3月には中之条町に編入合併されました。 宿での相談で、雨模様ながら、この日のコースを沢渡から暮坂峠を越えて六合に到り、尻焼温泉と野反湖を巡ることにしました。暮坂峠に到着する頃には雨足が激しくなり、辺り一面は薄暗さに包まれ、暮坂峠というネイミングの見事さを実感します。車から降りて牧水の詩碑を観ると「枯野の旅」と題した詩が刻まれていて、詩の最後には『上野(かみつけ)の草津の湯より沢渡の湯に越ゆる路 名も寂し暮坂峠』 とあります。
六合に辿りつき、道の駅「六合」の場所が分らず、町役場支所へ入っていくと、私を観光客と分ったからでしょうか、さっと席を立って相談に応じてくれる役場の係りの方の機敏な対応に、私は村興しや観光への心意気を感じ取りました。その道の駅、小ぶりな駅で品数も多くは置かれていません。ここの特産物たる舞茸は買わずに野反湖を目指しました。
ここからは白砂渓谷の深い深い谷沿いの道を北上します。到着した野反湖にはまだ雪が残り、濃い霧で湖はその片鱗をも見せてくれません。10度以下の気温に驚き、暖を求めて尻焼温泉関晴館を目指すも、私達が到着した時間帯にはまだ湯が満ちていないため入湯叶わず、残念な思いで、秘湯の宿を後にしました。
断崖絶壁の渓谷沿いの道の新緑の眺めは素晴らしく、森林浴でのドライブとなりましたが、は谷の遥か下の方に垣間見え、厳しい自然環境の中で生活が営まれていることが推測出来るのでした。 結局、暖は道の駅裏手にある応徳温泉「くつろぎの湯」で取りました。応徳年間に発見されたこの湯も”草津の上がりの湯”の一つで、41度くらいの温度。長時間浸かっていられる湯ですが、ほどほどにして湯から上がり、帰り支度を開始したのでした。(くつろぎの湯々殿)
沢渡の湯に越ゆる路
名も寂し暮坂峠