マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

NHKスペシャル「スペース・スぺクタル3」を見る(その2)

2019年09月16日 | 科学・原発問題

 「はやぶさ」のリーダー川口淳一郎氏から「小惑星に穴を掘ってくれ」と依頼された佐伯さん。それは、まだ世界で誰もやったことの無いチャレンジだった。彼は色々な方法を考えることとなる。







 ⑤考えぬかれた方法の“ドリル案”や“ロケット案”などでは目的達成は不可能と、彼は知った。最後に辿り着いた方法が「はやぶさ2から発射装置を切り離し、上空で仕込んでいた爆薬を爆発させ、その圧力で弾丸をリュウグウに打ち込んで穴を掘る」という方法だった。この発射装置“インパクタ”の大きさ30センチ。(写真:模型だが、左がインパクタ。右が爆風で押し出され、リュウグウに向かう弾丸)

 ⑥地上で、重さ5キロの爆薬を搭載して100m先のターゲットを狙う実験は、2013年10月に行われ成功。

 ⑦2014年12月、はやぶさ2打上。往復6年の大冒険だった。2018年6月、リュウグウ上空に到着。2019年4月、初めてのミッションに臨むが、大きな危険と隣り合わせだった。インパクタが爆発した際に、こなごなに砕け飛び散る破片ではやぶさ2が破壊される危険があった。緊急避難出来る唯一の安全地帯はリュウグウの裏。その余裕時間は僅か3分だった。(写真右下は進行役の櫻井翔)

   

 ⑧2019年4月5日10時56分13秒インパクタを切り離す。退避は無事成功。カメラにイジェクタ(噴出物)が写っていた。実ははやぶさ2は小型カメラを搭載していた。避難の際に、その小型カメラを分離し、小惑星の裏側で、はやぶさ2の本体の裏側からは見えない噴火の瞬間の撮影にも挑んでいた。カメラは佐伯さんの10年越しの夢が叶った瞬間を写していた。



 ⑨はやぶさ2が、空けた穴へ降り、岩石を採取に向ったのは2019年7月11日。10時06分18秒、生命のルーツに迫る鍵をついに手に入れたのだった。小惑星探査の分野では日本は世界の水準を突き抜けたと杉田教授は語った。(写真:喜ぶ、プロジェクトのメンバー)

 ⑩はやぶさ2は2020年末に地球に帰還する予定。帰ってくるまでにあと1年あまりの旅が残っている。僅か0.1グラムのカケラの分析は宇宙の謎を解き明かす大きな鍵となるそうな。

 太陽系誕生後、小惑星には炭素と氷と熱があった。温泉の様な環境で、炭素のつながりが生まれる絶好な環境となっていていった。その小惑星同士が衝突しリュウグウなどが生まれ、そのカケラが太古の地球に大量に飛来してきた、と考えられている。


 


NHKスペシャル「スペース・スぺクタル3」を見る(その1)

2019年09月14日 | 科学・原発問題

 体調は漸く元に戻った。この1週間ほど、朝のラジオ体操に外出するくらいで、珍しく散歩もしないで自宅にいることが多かった。そこで何冊かの本を読みテレビを見た。テレビでは特にNHKスペシャル「スペース・スぺクタル3」の“はやぶさ2 地球生命のルーツに迫る”が面白かった。既に多くの方が知っている事かも知れないが、備忘録的意味を込めて綴っておく。







 すべての生命は炭素の繋がりで出来ている。「材料となる物質は地球内部から湧き出し、熱い水の中で炭素のつながりが生まれた」(地球説)と考えられてきた。ところが、地球内部には材料となる物質は少なく、生命のルーツにはほど遠いことがわかって来た。「地球説」は行き止まりを見せていた。ところが、飛来した隕石を分析したところ、そこに炭素のつながりを発見し、科学者達は、炭素は宇宙の彼方からやってきたのではないか(宇宙説)と、生命のルーツを宇宙に求め、それが実証的に証明されたとの話だった。はやぶさ2のサクセス・ストーリーの裏話が多かった。

 ①話は2012年に遡る。アメリカ・カリフォルニアで発見された隕石(サッターズミル隕石)を、半世紀に亘って隕石を分析して来たアリゾナ州立大学名誉教授サンドラ・ビッツァレロさんが分析すると、そこには長く炭素が繋がった複雑な物質があった。(写真:炭素のつながりが分析された隕石=サッターズミル隕石とC=炭素のつながりの模型)







 ②サッターズミル隕石と同じ隕石はどれか。様々な隕を調べていくとサッターズミル隕石と同じ光の特徴を持つ小惑星に行き着いた。その星こそ「リュウグウ」。更に分析するとリュウグウは炭素を豊富に含んでいることが分った。

 ③はやぶさ2はリュウグウのカケラを持ち帰ることで生命のルーツに決着をつけようとした。そのプロジェクトに係わっている東大教授杉田精司氏の話。
 「はやぶさ2は、今年の2月22日に一度リュウグウに着陸し、星のカケラを採るのに成功しているのに何故又そこを目指すのか?。小惑星の表面にある物質ではなく、地下の物質を採取必要があった。“フレッシュ”な物質を採取する必要があった。地下には炭素が長くつながったフレッシュなものが残っているはず。長くないと生命の材料にならない」

 ④“小惑星に穴を掘り地球生命のルーツに迫る”構想は10年前から始まっていた。この作戦の責任者がJAXAの佐伯孝尚さん。初代川口淳一郎氏から「小惑星に穴を掘ってくれ」と告げられていた。世界で誰もやったことの無いチャレンジが始まった。(写真:右が川口淳一郎さんで、左が佐伯孝尚さん。次回に続く)

 

 

 

 


NHKスペシャル「巨大災害」を観る(その2)

2014年09月10日 | 科学・原発問題

 異常気象をもたらした、偏西風の波形の固定は何故起きたのか。
 「アメリカ大気研究センター」で、大気と海の熱を研究している
ケビン・トレンバースさんのデーター分析によれば、異常気象発生当時、世界で最も海温の高い赤道直下のインドネシア近海での海温は、普段の29度より0・5℃~1℃も高くなっていた。この熱が偏西風の波の固定化をもたらしたと、トレンバース主席科学官は指摘する、
 すなわち、今まで以上に、温められた海水は、水蒸気となり熱を伴って上昇する。上昇した水蒸気は水滴に代わるとき凝結熱を放出する。こうして上空に雲が発生する度に凝結熱が発生し、この熱の膨大なエネルギーが偏西風にぶつかったことで偏西風は北側へ大きく押し上げられ、この状態が長く続いたため偏西風の波形が固定されたと彼は主張しているのだ。(雲発生に伴い放出される凝結熱のイメージ図)


(凝結熱が偏西風を北へと押し上げるイメージ図)

 ここまで見てきた因果関係を整理をすると、
 地球温暖化⇒インドネシア近海の海水温上昇⇒偏西風の波の固定化⇒異常気象  となる。

 この海水温度の上昇は異常気象をもたらすだけでなく、海水上昇による海外浸食やサイクロンの襲来により、住んでいる地域を捨てざるを得ない”気候難民”を生んでいる。

 特集は更に”ハイエイタス”に話が及んだ。このハイエイタスとは、初耳だった。非常に興味を抱くと同時に、その後、地球規模で起こる可能性の高い”Mega Disaster ”(異常災害)を空恐ろしいと思った。

 実は地球の平均気温や平均海水温は、この数年はそれほど上昇していない。折れ線グラフで表すとグラフが平らになる状態を”ハイエイタス”(停滞)と呼んでいるそうな。地球の気温はこのまま安定するのか。左にあらず。実は地球外からの熱エネルギーは今は、深海(海面700Mより下の海)に蓄積されているに過ぎず、今後10年後には、再び温暖化が始まると、多くの科学者は考えている。しかも今まで以上の上昇率で。(この数年の気温は横ばい。この状態をハイエイタスと呼ぶ)


(深海での温度は急上昇。これは数年で終わると予想される・・・)


 今後10年ほどでハイエイタスは終わり、更なる温暖化により、特に、日本では、集中豪雨・深層崩壊による土砂崩れ・竜巻などが、今まで以上の頻度で、しかも大きな規模で起こることだろうと、番組は予測していた。
 番組の終わりに、タモリが上手いことを語った。「地球規模の長い歴史に比較すれば、個人の経験はほんの僅か。今までの経験則を超えて”マサカ”ということが起こり得ることを想定しなくてはならない」と。
 




(70年後、日本近海の海面水温はでは2~3℃上昇)

 おまけ

(9月9日は満月。自宅ベランダから撮影)


NHKスペシャル「巨大災害」を観る(その1)

2014年09月09日 | 科学・原発問題

 8月30日(土)に、NHKスペシャル番組「巨大災害」のうちの第1集”異常気象”を観た。かねてより興味を抱いていたテーマについて、切り込んだ分析をしてくれるだろうと期待していたが、その期待を裏切らない出来栄え。コンピューター・グラフィクなども多用して分かり易い説明がなされていた。録画はしてあったが、映像をパソコン上に映し出し、画像をスキャンしたくてオンディマンド配信とした。1回の代金は216円。




 今年に入ってから、日本でも、世界的規模でも異常気象が相次いでいる。異常気象とは30年に1度以下という、極めて稀な状況の気象と定義されているとのことだが、今年だけで、全国150カ所以上で、最高気温・降水量の観測記録が更新されたという。
 関東地方を中心に大雪が降ったのは2月。6月には北海道では37度8分まで温度が上昇し、東京では流氷の様に流れるヒョウが降った。8月、四国では雨量が1000mmを超えた地域が観測され、広島県では豪雨による土石流が発生し、甚大な災害となり、多くの方が亡くなった。
 一方アメリカ大陸西海岸では、2月に、500年に一度という大干ばつに見舞われ、同じ頃、アメリカの中部から東海岸にかけては平年を20度も下回る寒波に襲われ、大雪が降った。


       (大量に降って流れる雹)


 何故同じ時期に異常気象が多発していたのか?イギリス気象庁は、そのメカニズムを分析し、異常気象の原因は偏西風にあるという結論に達した。偏西風の北側では寒気、南側では暖気を帯びるが、風の波が移動することによって寒気と暖い空気が交互にやって来て、寒と温が数日ごとに入れ替わる。かくして偏西風は地球の熱のバランスを保つのに役だっているのだそうな。
 しかし、今年は、偏西風の風そのものは例年の様に流れているが、波形が同じ位置に固定されてしまい、暖かいところと寒いところが固定化されてしまったのだ。温かい空気と冷たい空気がとどまり続けることが何回も繰り返されり、異常気象に繋がったとの分析が説明された。(右写真の上が寒気で、下が暖気。その境目の白い波動が偏西風、という概念図)

 ではなぜ偏西風の波の位置が固定化されたのか。(その2で)
 

 


”大飯原発”訴訟に画期的判決

2014年05月28日 | 科学・原発問題

 5月21日、福井地裁は、定期点検中の関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を認めない判決を言い渡した。東京新聞・朝日新聞でその詳細を読んでいたが、5月22日に知人のHさんから「司法も未だ捨てられない」と題するメールが届き、この判決の全文が載るサイトが紹介されていたので、早速、その全文をプリントアウトし、熟読した。裁判の判決文には失望させられることが多かったが、この判決文は、裁判官の真摯な思いも伝わって来くる画期的なもの。そのサイトのURLは、http://www.news-pj.net/diary/1001 以下の私の文よりもそちらの一読をお勧めしたい。

 主文をまとめると「大飯原発から250キロ圏内に居住する原告に対する関係で、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」となる。
 ”はじめに”で、人格権に触れ「この権利は憲法上の権利であり、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。(中略)とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのもに基づいて侵害行為の差し止めを請求できることになる」として、判決文は、人格権侵害のおそれがあるか否かを具体的に検討していく。
 まず当然に検証対象として取り上げたのが福島原発事故。「15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない」。この様に、原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは福島原発事故で十分に明らかになった、と断じた上で、、「(大飯原発再稼働に)かような事態を招く具体的危険性が万に一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる」と書かれている。この最後のフレーズを読んだとき、感動が来た。兎も角嬉しかった。「司法も未だ捨てられない」に同感した。
 
 その後、冷却機能の構造上の欠陥について詳しい分析を加えている。その詳細の全文を理解したわけではないが、原発問題の再学習には格好の教材を提供してくれたものとも思う。
 最後に、「原子力発電所の稼働がCO2の排出削減に資するもので環境面で優れている」との関西電力の主張に対しては「福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」と断罪した。