マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

藤井聡太新棋聖誕生  

2020年07月20日 | 将棋

 多くの人がご存じのように、7月16日、棋聖戦5番勝負第4局は藤井聡太7段が渡辺明棋聖に勝利し、17歳11ヶ月で棋聖位を獲得した。それまでの、屋敷九段の最年少タイトル獲得記録18歳6ヶ月を30年ぶりに更新しての記録達成だった。
 私は16日の午後からずうっとパソコンの前に座り、ABEMAテレビで両者の対戦を観戦していた。最近は画面の一角に現在進行形の棋譜のみならず、AI判断でどちらが優勢かが分かる数値が映し出される。午後に入ってからは渡辺棋聖側の数値は60%を超え、藤井7段側の数値は30%を下回ることもあった。渡辺棋聖得意の“矢倉戦”。これは今日の藤井勝利はないだろうなと半ば諦めながら観戦していた。
 しかし19時少し前あたりから数値の差が詰りだし、82手目藤井7段が☖8六桂と桂を打って形勢は逆転し、AI判定は藤井有利となった。夕食の準備は完了していたが暫し待ってもらい、妻にも観戦を強要しながら見続けると、評価関数値は藤井99%―1%渡辺となった。もう終了かと思いきや、そこから棋聖は1分将棋(1分以内に指さねばならない状態)となってもからも数回藤井玉を追い続けたが、最後には天を仰ぐような仕草の後110手目で投了、藤井棋聖の誕生となった。

 私は棋士のブログを少なくも3つ読んでいる。この中でこの棋戦に関して2人のブログは心に響くものがあった。
 敗者となった渡辺さんの「渡辺明ブログ」はその翌日の午前中に書かれたものだろう。きちんとした自己分析をし、正直な気持ちを書いていた。少しだけ原文を引用させて頂く
 「・・・第3局のように持ち時間を残すという点では途中まではプラン通りでしたが、自信ありという感じで△86桂を指されて、そこでこっちも手が止まったので、この将棋は負けたなと覚悟しました。今後に向けて相手より持ち時間多く残すという指し方を真似するのは無理なので、自分の長所を生かして対抗できる策を見つけるしかないと思いますが、(それが上手くいったのが第3局)。勝ちパターンがそれしかないのでは厳しいので、次の機会までに考えます」と。
 朝日新聞社説も付け加えると、「感想戦に学びたい」の中で「・・・悔しい負け方をした渡辺棋聖が、ていねいな言葉づかいで19歳年下の藤井新棋聖に意見を請うシーンには胸を打つものがあった。」とあった。
 
 もうひとつのブログの著者の片上大輔7段は人物紹介から書くと、彼は東大在学中にプロデビュー。史上初の東大卒プロ棋士となった。弟子の一人に女流カロリーナ・ステチェンスカがいる。彼のブロブ「daichanの小部屋」は読みやすい。 
 「将棋界は彼の出現によって新たな時代に入りました。
彼が強いと同時に華がある、というのは将棋界にとって本当に幸運なことだと思います。これからも楽しませてくれると思いますし、楽しんでいきたいです」とあった。
 私も新棋聖の探求を見続けたい。

 

 


将棋観戦三昧の日々

2020年06月29日 | 将棋

 無観客ながら、プロ野球の公式戦が開幕しサッカーJリーグも再開した。将棋のタイトル戦も2ヶ月ほど遅れで開始された。本来は無観客なのに何故将棋の対戦が延期かと思う向きもあろうが、棋士たちの移動が問題だった。例えば名古屋在住の棋士が東京・千駄ヶ谷にある将棋会館へ行くには新幹線などを利用しなければならない。移動に伴う感染リスクを避けようとしての措置だった。

 漸く開催となれば、その間に延期されていたものを短期間に集中して行わなければならない。過密スケジュールに追われる棋士も出てきている。特にタイトル保持者にその傾向が強い。(写真:昨日の棋戦戦。開始直前)
 将棋の大きなタイトルは現在8つあり、渡辺明3冠、豊島将之2冠、永瀬拓矢2冠に木村一基王位の4人のみがタイトルホルダーだ。

 永瀬2冠と藤井聡太7段の棋聖戦トーナメント決勝戦は藤井7段が勝利し、タイトルへの最年少挑戦者の年齢記録を4日間更新した。現在渡辺棋聖に藤井7段が挑戦中(藤井7段2勝)。
 その渡辺3冠は名人戦で豊島名人に挑戦中(豊島名人2勝1敗)。
 その豊島2冠は叡王戦で永瀬叡王に挑戦中(豊島名人1勝)。
 その永瀬2冠と藤井7段は王位戦の挑戦者決定戦で再び相まみえ、これも藤井7段が勝利。彼はタイトル戦へダブル挑戦となり、木村王位との頂上決戦7月1日から始まる。
 以上書いて来たようにタイトル戦登場は5棋士に集中している。
 私はこれらの対戦をパソコン上Abemaテレビを観戦し、タブレットで日本将棋連盟のライブ中継を観ている。一流棋士同士の戦いはどの対戦も大熱戦となり、終局が夜遅くになることもある。藤井7段のファンである私ははらはらどきどき。昨日の棋聖戦に藤井7段は和服姿で登場し、渡辺棋聖得意の矢倉戦法に対し新手で対抗し快勝していた。最近は将棋観戦に多くのときが過ぎて行く。特に明後日から始まる“中年の星”との王位戦7番勝負は楽しみだ。


折田アマ、棋士編入試験に合格

2020年02月28日 | 将棋

 26日(水)の各種新聞の朝刊で話題となっていたから、御存じの方も多いことだろうが、将棋の折田翔吾アマ(30歳)が棋士編入試験に合格し、この4月1日からプロ4段(フリークラスへ編入)となることとなった。この編入試験試験に合格したのは花村元司九段・瀬川六段・今泉四段に続き4人目となる。折田アマのことは2019/9/29のブログに登場させ受験資格を得るまでを綴っていた。
 今回はその後を記す。編入試験は11月~3月まで、月に一回の合計5回行われ、3勝以上が合格条件だった。私は「将棋連盟ライブ中継」とAbemaテレビで同時観戦した。対戦相手は直近に「奨励会」を卒業したばかりの、実力のある新鋭棋士で、今年1月までの3回の対戦相手と結果は
 第1回 11月25日  黒田尭之四段 ○
   第2回 12月23日  出口若武四段 ✕
   第3回     1月27日  山本博志四段 〇 だった。
 ここまで2勝1敗の成績で、第4回の2月25日の対戦相手が本田奎五段だった。本田五段(22歳)は昨年4月にプロ4段になったばかりで、いきなり王位戦の挑戦者となり、現在まで渡辺王位とは1勝1敗の成績を上げている。藤井聡太7段と並んで超新星と見なされている棋士の1人だ。
 私は白内障の手術を受ける為24日~26日に三井記念病院に入院予定だったが、23日に発熱し、入院をドタキャンしていたので、25日の対戦を観戦出来た。ハラハラドキドキしながら観戦していた。
 Abemaテレビでの観戦内容はAIによる評価値が直ぐに表示される、という時代になっていた。リードを保っていた折田アマが指した一手後の、評価値は本田5段側に触れた。タブレットのライブ中継画面には「折田さんのうめき声がスピーカーから聞こえた。まさに人生を懸けた寄せである」との文字が流れた。その後折田アマの持ち時間は残り1分となり、折田危うしの局面。しかし最後には最善手に近い指し手を連発し勝利をおさめ、合格条件の3勝をあげ編入試験に合格したのだった。(上の写真は局面の評価値の変化図。中央ラインの上にある時は折田優勢で下にある時は本田優勢)

 終局後のインタビューで「2,3年前の状況からしたら、信じられないことです。そうですね、信じられないことです」と語っていた。(終局後の二人。右が本田五段)
 折田さんが編入試験を受験する際に、受験料(50万円)をクラウドファンティング(ネットを通じての資金集め)で募ると最終的に560人の方々から520万円ほどが集まったそうな。ファンの後押しとそれに応えようとする熱意が、この結果をもたらしたと思う。You Tuberでもある折田さん、合格おめでとうございます。


木村新王位誕生

2019年09月28日 | 将棋

 新聞にも大きく取り上げられていたからご存知の方が多いだろうが、一昨夜、将棋の木村一基九段が46歳3ヶ月にして初めて念願のタイトル(王位)を獲得した。それを伝える報道には涙を拭う写真が添えられていたが、涙流したファンも多かったことだろう。私の元へも「うれしくてもう一杯余分に飲もうと思います」とのメールが届いた。こちらから即「私も祝杯をあげます」と返信した。

 テレビなどで解説する彼を見聞きして、木村ファンになった人は多いことだろう。ューモアに溢れた丁寧な解説とファンサービスに人柄の良さがよく表れていた。しかしタイトル戦の挑戦者に6度も名乗りを上げるもことごとく敗退。タイトルには手が届かなかった。王者羽生善治九段が大きな壁となっていた。深浦九段とのタイトル戦では3連勝後4連敗を喫したこともあった。3年前の王位戦はフルセットの激戦の末、羽生王位(当時)に敗退していた。
 自称“おじさん”で、「千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれる中年の星は、夢叶わずに散っていくかも知れなかった。しかし今回の王位戦では、現在最強と言われている豊島名人に4勝3敗で勝利し、念願を叶えてくれた。最年長の初タイトル獲得37歳6ヶ月を塗り替えた。
 一昨夜は勤務のはずが、休講があり、急遽出勤に及ばずとなり、自宅で「日本将棋連盟のライブ中継」を見ていた。木村九段の勝利が確定し、報道陣がなだれ込んで来た。インタビューで、家族への思いを聞かれ沈黙。メガネを外して目頭を押さえると「はぁ…」とため息。さらに「家に帰ってから、伝えたいと思います」と、こみ上げる思いと言葉を絞り出していた。
 
「百折不撓」の姿勢から学ぶことは多い。元気の素をもらった様な気分だ。
 今日から北海道・音更に3泊。ブログ更新は10月3日以降になります。
 
 

 
 
 

 

 


将棋の折田アマ、編入試験の受験資格を満たす

2019年09月04日 | 将棋

 将棋界に新たなドラマが生まれようとしている。藤井七段による最年少年齢更新劇ではない。26歳で止む無く奨励会を退会した男の、奇跡の蘇生譚である。
 現在、将棋界でプロとなるには2つの道しかない。
 (1)その一つは奨励会に入会し、順次クラスを上げ、最終的には30数名が在籍する「三段リーグ」で2位以内の好成績を上げること。
 (2)もう一つは「プロ棋士相手に好成績をあげ」て編入試験の受験資格を得、その試験に合格すること。プロ編入試験は「プロ公式戦で直近成績が10勝以上、かつ勝率が6割5分以上の成績」を収めたアマチュアまたは女流棋士が新四段5人と5番勝負を戦い、3勝で合格となっている。
 折田翔吾アマは8月30日のプロ公式戦で勝利し、直近成績が10勝2敗で受験資格を獲得し、対局後に受験の意志を表明した。彼は奨励会三段リーグに5年間10期在籍したものの、力及ばず、2016年3月に26歳の年齢制限で退会。「一つの人生が終わった。死んだに近い感覚」を味わった。
 




 その後は将棋講師として活動をしながらアマ大会で好成績を収め、出場資格を得た一般棋戦の「銀河戦」で7連勝をあげる活躍。これが受験資格を得る原動力となった。











 かって(1)以外でプロとなった棋士は2名しかいない。一人が瀬川晶司五段で、プロ相手に抜群の成績をあげ、将棋連盟に直訴し特例で編入試験を受けさせて貰い合格。自伝『泣き虫しょつたんの奇跡』は昨年映画化された。
 その後、編入試験は制度化され、その制度のもとで編入試験に合格したのが今泉健司四段。奨励会退会から再起して夢を叶えた2人に折田アマが続くだろうか。銀河戦7連勝中にその2人に勝利しているのが、偶然とはいえ面白い。
 その編入試験が又難関である。試験は11月から月に1局ずつ、最近棋士となった若手との5番勝負。3勝で合格となる。里見香奈女流5冠も編入試験の基準を満たす可能性が高い。しかし彼女は資格を得ても受験しないと語っているが果たしてどうなるか。ここにも注目が集まっている。
 一度ドロップアウトした人間の再生劇はドラマティックで面白い。ワクワクドキドキしながら、私は応援団の一員となる。